080ゴブリン殲滅依頼2
王都を出発した一行は道中魔物と遭遇することはあるが、難なく倒し順調な往路となる。
それぞれの役割が明確化していて、パーティとして効率よく機能しているのがわかる。
新たに仲間に加わったメリアも遠距離兼支援という重要な役割を担うことになり、戦闘時には大いに貢献してくれている。
「俺たちなんだかんだバランスのいいパーティになってきたよな」
ミナトがふと呟くとシスカも頷きながら答える。
「そうね、近距離の私とミナト、中距離のクレイグ、遠距離のセイラとメリア。これならどんな敵でも臨機応変に対応できるわね」
セイラもシスカに続き口を開く。
「場合によっては私は中衛、メリアさんは近接にも対応できますしね」
セイラの発言の通り、実はメリアは弓の他に短剣を二丁持っている。
風のように流れる動きで近くの敵を瞬時に切り刻む。
やはり今までソロでやってきただけあり、一人で完結する戦いかたを会得しているようだ。
「さすがにシスカさんやミナトさんみたいには行きませんが、今回の坑道のような狭いところでの戦闘だと弓も使えないので、短剣を持っていてよかったです」
「私も今回このグローブのおかげで魔力の制御が前よりも格段によくなってきています。おかげで中距離の魔法の連発もかなり安定してきました」
クレイグも購入したグローブが手に馴染んできているようで少し嬉しそうに見える。
揺れる馬車のなかでパーティとしての役割を再認識しあう一行は約一週間の時を経て目的地の廃坑付近に到着する。
「あれが今回の依頼の場所ね」
シスカは地図を確認しながら指を指す。
「特に入り口に見張りがいるという訳では無さそうですね。かなり奥の方を根城にしているのでしょうか?」
「その可能性が高いわね。そうなると中はかなり暗いかもしれないけど、セイラの光魔法があれば大丈夫ね」
シスカとクレイグのやり取りにセイラは頷く。
「はい、光魔法のホープライトで常に照らし続けることは可能なので灯りに関しては任せてください!」
松明も一応あるが、片手が塞がってしまう上衝撃などで消えてしまう恐れもあるので、暗い場所でのセイラの光魔法はとても有用性がある。
場合によっては強い光を放ち、目眩ましとすることも可能だ。
一行は廃坑への突入の準備を進める。間もなく準備を終え「よし、いくぞ!」というミナトの掛け声と共に中へと入っていく。
中にはいるとカビのような湿った匂いと、朽ちた木材や、かつて使われていたであろうレールのようなものが目につく。
中は薄暗く天井もさほど高くはないので、剣を振るうと当たってしまいそうな程だ。
「剣を振るうには天井も低いし、間合いが取りづらいな」
ミナトはそう判断し、すぐに素手による体術へと戦闘スタイルを切り替えた。
「あいにく私はこれしかないからうまく立ち回るわ」
シスカは剣とそれを応用した魔法しか使えないので、狭く使いにくくても戦闘スタイルは変えられない。
「わたしもあまり派手な魔法は使えませんね。もしここが崩れでもしたら大変ですし」
セイラもまた普段のように多を一掃するような魔法を使えないと判断し、威力を抑えた魔法や、一点集中の攻撃に切り替えるようだ。
クレイグはいつも通りサポートと細かい魔法を、メリアはすでに短剣にもち変えている。
「よし、じゃあ注意して進もう。セイラ、灯りを頼む」
ミナトの指示にセイラは光魔法を発動する。
「ホープライト!」
発動と同時にパーティメンバーの頭上をくるくると回る光が現れる。
辺りをほどよく照らし視界の確保ができた。その灯りを頼りに一行は奥へと足を踏み入れる。
しばらく進むと動物の死骸や、糞尿、そして生臭い血の匂いが混じった強烈な異臭が鼻をついた。
「くさいな」
「この臭いはどうにかならないのかしら」
一行は異臭に鼻をつまむ。
「浄化系の聖属性魔法が使えればどうにかなりますが、私たちは誰も使えませんね……」
セイラは冷静に考えるが、この臭いは今のメンバーでは消し去ることはできない。
収まらない異臭に、いずれ聖属性の魔法も使えるようになろうと心に決めたのであった。
その後も進み続けると、ついに巡回しているゴブリンに遭遇する。
下級のコブリンソルジャーが2体、不気味な話し声のような音をたてながらこちらに向かって歩いてくる。
「仲間を呼ばれると厄介ね。気付かれないように倒しましょう。私は右、ミナトは左をよろしく」
シスカはそう言うと、ミナトに視線で合図を送った。
次の瞬間、二人は足音を立てずに、ゴブリンの背後に回り込む。
シスカは剣で首を一閃、ミナトは手刀で首の骨を砕いた。
二匹のゴブリンは悲鳴を上げる間もなく倒される。
その後も巡回しているゴブリンに出くわしたら同じ方法で気付かれないように進み続ける。
すると少し開けた空間で数匹の食事中のゴブリン達に出くわす。
中には体の大きいホブゴブリンの姿もあった。
このまま放置して先に進めば、間違いなく後方から挟み撃ちのリスクを負う。
「この数での暗殺は難しいわね。ここで仕留めるわよ」
シスカの決断に、一行は頷き、戦闘態勢をとった。今回の依頼、最初の集団戦が始まる。
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