079 ゴブリン殲滅依頼1
翌朝、零閃の狼煙はギルドに集まっていた。各々が充実した休暇を楽しめたようだ。
「森はよかったです……。木々に囲まれながら一日中ぼーっとしてました。おかげで元気もりもりです!」
メリアは楽しそうに昨日の出来事を話していた。
「私は久しぶりに兄弟と会ってきましたが、みんな可愛くて、一緒に遊んでいたらあっという間に一日が終わってしまいました」
セイラもまた充実した一日を過ごせたようだ。
「二人とも休暇を楽しめたようだな。クレイグはなにか発見はあったか?」
ミナトの言葉にクレイグは頷く。
「はい、収穫ありです!改めて王都をゆっくりみて回れましたし、露店でこんなものも見つけました」
そう言うと、手に付けている革製のハーフグローブのようなものを見せながら説明する。
「これは杖と同じ効果があり、魔力の効率がよくなる品らしいです。わたしは杖よりも指の先から魔法を出す感覚に慣れてしまっているので、こちらの方が性に合うかと思いまして。やはりランクが上がるにつれ、魔力の管理はしっかりしておかないといけないなと思い購入しました」
「そんなものもあるんだな。自分ではつくれないのか?」
「私の技術ではまだちょっとした装飾品くらいしか作れません。このような魔力電導性の高い皮工芸は専門外なので、購入する方が確実でした」
その言葉にシスカが反応する。
「ちょっとした装飾品って、十分立派なものくれたじゃない」
クレイグは笑いながら「父さんはもっとすごいんです」と言い謙遜するが、おそらく比べる相手が悪いのだろう。アダマンタイトの剣といい、加工が難しい鉱物を一日で仕上げてしまう凄腕の職人だ。
「俺たちは城でコウキ達の話を聞けたよ。それに大きな書庫もあったんだ。城からの許可も出てるし、今度はみんなも一緒にいこうか」
書庫という言葉にセイラは嬉しそうに反応する。
「是非行ってみたいです!」
メリアとクレイグも同様に興味があるみたいだ。
「よし、じゃあ話はそのくらいにして依頼を受けようか!」
ミナトの掛け声に皆意識を変え、依頼の張られた掲示板を眺める。
掲示板はランクごとに別れてはいるものの、討伐、調査、採取、護衛と、いろいろな種類の依頼がところ狭しと並んでいるため、程度のいい依頼を探すのは意外と難しい。
そのなかでひとつの依頼書が目に止まる。
「廃坑を根城にしたゴブリンの巣殲滅。特記、ゴブリンジェネラルの存在を確認……。難易度B+。なあこれなんでこんなに難易度高いんだ?ゴブリンってE級相当の魔物じゃなかったっけ?」
ミナトはシスカに依頼書を見せる。
「これはゴブリンジェネラルがいるからかしらね。ジェネラル単体でもB級の魔物な上、ゴブリンの根城ともなると統率がとれた多種類のゴブリンたちはE級とはいえ厄介よ。ただ……」
シスカは考え込むような顔をしながら話を続ける。
「ジェネラルの存在までしか確認できてないようだけど、その規模だとゴブリンキングがいる可能性もあるわね。依頼上はB+だけど、キングもいるとなるとA相当の依頼になるわ」
「じゃあ俺たちではランク的に受けれない依頼になるのか」
その言葉にシスカは、獲物を見定めたかのように少しにやついた顔で口を開く。
「いいえ、Bランクの依頼として正式に受ける。それでもしキングが出現したら内部的にはAランク相当になるから報酬も跳ね上がるでしょうね」
「ギルドの規定的にそれは大丈夫なのか?」
ミナトは少し後ろめたくなるが、シスカは説明を続ける。
「ええ、キングが確認できない以上Aランクにはならないし、仮に受注後に確認できたら討伐するもしないも冒険者の自己責任。だけど、討伐すればそのランク相当の報酬アップは約束されるわ。ギルドの規定に則ってるから大丈夫よ。それにいると決まったわけではないしね」
ミナトは少し考える。
「わかった。じゃあこのゴブリン殲滅の依頼で決定だな?」
「ええ、いいと思うわ」
シスカに続き他の三人も了承する。
一行は依頼書を持ちリビアのところへ向かう。
「おはようございます、零閃の狼煙のみなさん!」
リビアはにこっと笑い挨拶をしてくる。
「おはようございます、リビアさん。今日も依頼の受注にきました」
ミナトはそう言うと、先ほどの依頼書をリビアに差し出す。
「はい、確認します。こちらは国営依頼の、ゴブリンの巣の掃討ですね。場所はここから北西方向に位置する昔使われていた坑道になります。地図に詳しい場所を記しておきます。中は狭く、暗いうえ、ゴブリンジェネラルの統率で下級のゴブリンも一段と厄介になっていますので油断なさらないよう、気を付けてください」
リビアはそう言うと、場所の記された地図と依頼書を渡す。
「ありがとうございます。ではいってきます!」
「いってらしゃいませ!」
手を振るリビアを背に、一行はギルドを後にする。
「国営依頼か。あまり気にしないで受けてしまったけど、これがSランクにあがるための国に貢献する、ということなのか?」
「私も依頼主まで詳しくみてなかったけど、おそらくそうゆうことだと思うわ。Sランクになるためには定期的にこのような依頼は受けるべきかもね」
彼らはSランクを目指す以上、国営依頼を今後は積極的に受けるべきだと判断する。
その後依頼内容と地図を再確認し、正確な場所を把握した。
「この距離だと馬車で一週間くらいはかかるわね。準備を済ませたら早々に出発しましょうか」
シスカの声に一行は頷き、食糧などを準備し、馬車へと乗り込む。
「よし、出発だ!」
ミナトの力強い声と共に、新たなBランクの依頼を胸に、零閃の狼煙は王都を後にした。
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