075 コウキの旅路2
扉を開くと最初に目に飛び込んだのは、中央の玉座に座る国王とみられる初老の男性と、まだ若いコウキよりも年下であろう少年が隣に立っている光景だった。
中央にはカーペットがひかれ、両脇に数人の兵士が警備にあたっている。
コウキは一歩前に出てあいさつをする。
「失礼します。アイリス王国より参上しました勇者コウキと申します。この度はお時間頂きありがたく思います」
コウキは頭を下げ、最大限の敬意を示す。
「面をあげよ。此度の来訪ご苦労であった。バルドゥス王より書状を賜り、魔王復活についての話は一通りきかせてもらった。魔王復活は、人類……いや世界滅亡の危機といえるであろう。我がアストロム王国も魔王討伐に最大限の助力をすると約束しよう」
国王の言葉に一行は再び頭を下げ礼を尽くす。
「700年前突如として現れた魔王に、世界は混沌の渦に巻き込まれ、ろくな準備も出来ず、勇者も英雄もそれぞれが散り散りとなり戦っていた。だが此度は信託により、あらゆる体制を整えて戦地へ赴けるであろう。そのうちの一つが勇者と英雄の合流だ。一騎当千といわれる彼らが結託し、魔王という強大な悪を討ち滅ぼす要となる」
国王は立ち上がりコウキに歩み寄る。
「そして勇者コウキよ。そなたには皆の道を示す希望の光として、世界の命運を委ねる」
跪くコウキと目線を合わせるべく、国王自らも膝をついた。その瞬間、広間にどよめきが走る。
「誓ってほしい。いかなるときも決して希望を捨てずに、使命を果たすそのときまで、歩みを止めぬと」
コウキは国王の民を思う慈愛に満ちた威厳と、王でありながら、対等に話し合おうという姿勢に感銘をうける。
「……勇者の名に懸けて誓います」
コウキの言葉に国王は満足したのか、はたまた緊張が解けたのか、先ほどの威厳のある顔つきとは代わり、笑みを浮かべ頷いた。国王は立ち上がり再び玉座に座る。
「早速だが我が国の英雄を紹介しよう」
そういうと隣にいた少年が一歩前にでる。その少年は黒髪が目までかかっており、背も小さく、どこか頼りない感じだ。
「破壊神の異名をもつ英雄ティオ=アークスだ」
すると少年はすこしおどおどしながら挨拶を始める。
「み、みなさん、は、は、はじめま……はじめしゅっ……!」
大事な挨拶で盛大に噛んでしまったティオに王は頭を抱える。
「すまない、この子は極度の人見知りでな。戦闘中はそんな事無いんだが……まあ、共に旅すればそのうちまともに話せるようになるやもしれぬ。だが……」
王はコウキをまっすぐ見据えて真剣な顔をする。
「間違いなくこの国最強の魔導師だ」
王の言葉にコウキ達は息をのむ。
その間もティオはペコペコ頭を下げてあたふたしてしまっている。
そこでコウキが提案する。
「戦闘中はそうでもないんですよね?なら俺と手合わせしましょう。お互い実力を計れた方が連携もとりやすいですし」
「ちょっとコウキさん!いきなりなにいうんですか!」
突然のコウキの発言にマリアは慌てて止めにはいる。
だが意外にもティオは頷き、小さい声で「お願いします」と言っている。
「よし、決まりだな!」
一行は手合わせをするべく場所を訓練場に移す。
国王も遠くから手合わせを見届けるようだ。
大勢の魔導師が訓練場を囲うように配置され、防御結界を発動した。
並大抵の攻撃では破壊できない分厚い防御結界にエリスは感心する。
「さすが王宮魔導師ね。でもここまでする必要が……?」
すると近くにいた魔導師が口を開く。
「ティオ様が手合わせするときはこのくらいしないと城内に被害がでてしまいますので……」
その言葉にマリアもエリスも目をまるくして驚く。
「こ、コウキさん大丈夫……ですよね?」
マリアはすでに防御結界のなかにはいりティオと向かい合っているコウキを心配する。
だが間もなく手合わせは始まってしまう。
「俺はコウキだ!よろしくなティオ!」
コウキの挨拶に消え入りそうな声で返す。
「よ、よろしくお願いします、コウキさん……」
「じゃあ始めるか!いくぞ!」
コウキが剣を構え、戦闘態勢に入ると、ティオの体から微かな魔力光が溢れ出し、魔法が展開された。
するとティオの体を包むように魔道具が装着されていく。
黒を基調とした人型のロボット、背中にはブーストのような青い光が放出された翼が生え、腕には剣とライフルのようなものを装備している。
まるでアニメにでてくる戦闘型のロボットだ。
「な、なんじゃそらあ!!」
今まで勇者としての威厳を保っていたコウキは驚きのあまり、つい素が出てしまった。
彼の目の前には、ファンタジー世界には存在しないはずの、異世界の技術と、圧倒的な破壊力が立ちはだかっている。
勇者コウキの威厳は崩れ去り、ただの高校生に戻ったその瞬間に、この世界では想像もつかない、衝撃的な戦闘が始まろうとしていた。
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