073 第二の勇者パーティ
魔王に関する書物に没頭していると、あっという間に時間が過ぎていたようだ。
書庫の扉が開き、マキナが迎えにやってくる。
「ミナトさん、シスカさん、そろそろ約束の時間が来ましたので来賓室に向かいましょう」
(もうそんな時間か……知識こそが最大の武器だと確信した。また時間があるときに見にこよう)
「読み足りなかったわ。また時間が取れたときに来ましょう」
シスカもまた自身に魔法に関する書物を読んでいたが、とても読みきれるものではない。
二人はまた近いうちに来ることになるだろう。
「すいません、お待たせしました。さすがにこれだけの書物が置いてあると、知りたい知識がいくらでも揃いますね!」
「気に入っていただけたならよかったです。またいつでも来てくださいね。では行きましょうか」
マキナはそう言い、来賓室へと案内してくれる。
「ちなみにお二人はどのような書物を読まれていたんですか?」
マキナの問いにシスカが先に答える。
「わたしは氷と雷の魔法が使えるから、それに相性のいい次なる属性魔法を模索していたわ。今のところこれというものはないけれど、気になる内容はたくさんあったわ」
やはりシスカは時間が全然足りなかったようだ。
この膨大な量の書物から自身に必要な情報を見極めるのは大変ではあるが、その知識は強くなるためには必ず必要になってくるだろう。
「氷と雷ですか……。どちらも相手の機動力を奪い、自身の機動力をあげる属性ですね。腰の剣といい、もしかして近接戦闘がメインですか?」
マキナの問いにシスカは頷く。
「少し驚きました。ノクト家といえば、圧倒的魔力と魔法で敵を殲滅するイメージがありました。剣を使った近接職の方もいらしたんですね」
シスカは少し気まずそうに顔を歪めながら答える。
「わたしにはわたしの戦い方があるのよ」
「そうですよね。こだわりや固定概念を持たずに自分が納得する方に進むのは良いことだと思いますよ」
シスカは思わぬ返しに驚いたが、自分の信念を認められた気がして、その言葉を素直に嬉しく感じた。
「ミナトさんはなにを読まれてました?」
「俺は魔族や魔王……700年前の災厄について書かれている書物を読んでました。軍団構成や役割など、細かく記録に残っていたので、きたる時に役に立つと思いまして」
「……魔王復活の話をご存じで?」
ミナトの発言にマキナは驚いているようだ。
「はい、詳しくは言えませんが国王様より聞かされています」
「関係者の方だったんですね。シスカさんもご存じで?」
シスカは頷く。
「私たちのパーティは魔王討伐を目標のひとつとして活動しているから、パーティメンバーは皆その事については知っているわ」
シスカの言葉にミナトは付け足す。
「不用意な他言はしないようにしていますので安心してください。それとまだパーティとしては力不足なので、目先の目標としてはSランクパーティになることです!」
その言葉にマキナは安堵と期待の顔に満ちる。
「では国王様から託された第二の勇者パーティみたいなものですね!戦力は多いに越したことはないのでがんばってください!」
ミナトは笑顔で返した。
内心、自分こそが『第二の勇者』だと知っているが、その事実はむやみに話すべきではないだろう。
マキナに話すのはアルフレッドに確認してからにしようと考えた。
そう思っているとどうやら来賓室に着いたようだ。
「こちらが来賓室になります。中にアルフレッドさんもいますので、わたしはこれで失礼します」
マキナは笑顔で一礼した。ミナトとシスカもそれに答える。
「何から何までありがとうございました!」
二人は執務に戻るマキナの背を見送り、そのまま来賓室のドアを開く。
なかにはローブをまとった年配の男性が椅子に腰を掛けていた。
「おお、ミナト殿、ずいぶんとお久しぶりですな。お隣の方はパーティメンバーの方と見受けられますが……」
アルフレッドとシスカは初対面だ。
「お久しぶりですアルフレッドさん。おっしゃるとおり俺の仲間です!」
ミナトの言葉の後に続き、シスカは一礼してから話し始める。
「パーティメンバーのシスカです。今日は忙しいなかお時間を頂きありがとうございます」
「ご丁寧な挨拶痛み入ります。国王補佐のアルフレッドと申します。ミナトさんがお世話になっております」
二人は挨拶を交わし、本題に入る。
「今日はコウキについていろいろ聞ければと思って来たんですけど、旅をしているコウキと連絡を取る手段とかってあったりしますか?」
その言葉にアルフレッドは目を見開いた。
「こちらからコンタクトは取れませんが、水晶魔道具を使えばあちらの様子なら伺えますぞ。もしこちらから何か指示を出したいときは次に立ち寄るであろう町に、書状を届けるくらいですな」
(やはり、この世界の魔道具を使っても、現代の通信技術のようにはいかないか……)
「ですが同行しているマリアに細かなスケジュールや目的地へのルートなどを正確に遵守し旅を進めるようにいってあるので、緊急の場合はそのスケジュールをもとに使い魔で直接書状を届けることも可能ですぞ」
ミナトは首を横に振り答える。
「いえ、緊急とかではなく、もし離れているコウキと会話ができればと思っただけなので、それは大丈夫です。それより今どこを旅してるんですか?」
「左様ですか。では水晶魔道具から得た情報を元に少しコウキ殿の旅路を説明しましょう」
アルフレッドの説明により、これまでのコウキの旅路を聞くことになる。
「コウキ殿は城を出てから……」
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