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異端魔力の召喚勇者 ~魔法の使えない勇者は冒険者の道を歩む~  作者: 水辺 京
第二章 Sランクへの道のり 前編

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071 城内探索

 二人がすっかり話し込んでいると再び扉が開き、マキナが戻ってきた。


「お待たせしました。こちらが通行証になります」


 そう言い、カードのような形をした通行証を差し出す。


「こちらがミナトさんので、こちらがシスカさんのになります。ミナトさんは国王様の来賓として名簿に名前がありました。それとシスカさんはノクト家の方と見受けられますので、お二人は今後こちらの通行証を門衛の方に見せて頂ければ城内を自由に行き来可能です」


 ミナトとシスカは礼を言い、それぞれ通行証を受けとった。


「ありがとうございます」


「では以上で入場審査の方は終了になります。何かご不明点はありますか?」


 無事に入場許可が下り、二人は安堵した。

 同時に、確認しておくべきことがないか頭を巡らせた。

 するとシスカが口を開く。


「城内を自由にと言われましたが、立ち入り禁止の場所とかはありますか?事前に聞いておかないと不用意に立ち入ってしまう可能性がありますので」


 その問いにマキナは笑顔で頷く。


「基本的に立ち入りが制限されている場所は衛兵が警備に当たっていますので、その心配はありませんよ」


 シスカは納得し頷いた。次にミナトが質問する。


「城内の見取り図みたいのはありますか?」


「すいません。軍事機密になりますので見取り図はお渡しできません。案内が必要でしたらお付けしますけど、どうしますか?」


「ではそれでお願いします」


 見取り図はもらえなかったが、マキナの提案で案内人をつけてもらうことができた。


「そうしましたら……。本日は訪問予定の方もいらっしゃらないので、良ければわたしが案内しますよ」


「それは助かります!改めてよろしくお願いします」


「いえいえ。それではこちらへどうぞ」


 マキナに促され奥の扉を通ると、先ほどの門衛が立っていた大きな木の扉の裏に出る。


 正面には王城へと続く道、左手には広場がある。

 おそらく騎士団の訓練に使われているのだろう。

 木偶や的のようなものがきれいに整頓されていた。

 右手側には大きな池と手入れされた庭、お茶会の会場のような場所が見える。


(訓練場、城、お茶会……まるでファンタジー映画のセットのようだ。いかにも異世界の王城という感じだな)


 初日にあまり見る余裕のなかった城の風景が、今は冷静に感じ取ることができている。

 その景色に見とれているとマキナが声をかけてきた。


「それではまずどちらに向かいましょうか?」


 ミナトは城へ来た理由を思い出す。


「アルフレッドさんに面会をしたいのですが、可能ですか?」


 その言葉にマキナは少し考えたのち口を開く。


「現在、執務室にて仕事をしていると思いますが、一度声をかけてみましょうか。国王様の来賓であれば無下にはできないでしょうし。ではついてきてください」


 マキナの後ろをついて歩きながら、ミナトが話し始める。


「シスカは俺がいなくても入れたみたいだね。ノクト家ってのはそれだけ国に影響力のある家系なんだな」


「わたしもまさかノクト家ということで入れるとは思わなかったわ」


 その会話にマキナが説明してくれる。


「ノクト家と言えば、城内にその名を知らぬ者はいないでしょう。国内に三人しかいないSSランク冒険者、ルナ=ノクト様の家名ですし、魔術開発への多額の融資もされていますから」


(やはりSSランクともなれば知名度もかなりのものになるのか)


「SSランクは三人しか居ないんですね」


「はい。ちなみにSSSランクの冒険者はいませんよ」


「じゃあシスカはそこを目指さないとな」


 ミナトはシスカに笑いかける。


「ルナを越えるのは大変だと思ってはいたけど、そこまでだなんてね……」


 シスカは越える壁が想像よりも高いものだと知り、苦笑いを浮かべる。


 その後も時折会話をしながら歩き続けると、目的の場所に到着する。


「ここが執務室になります。今アルフレッドさんを呼んできますのでお待ち下さい」


 マキナはそう言い部屋のなかへ入っていく。

 そう時間もたたずにマキナが戻ってきた。


「すいません、今は間が悪いらしく、一時間後に来賓室に来てくれとのことです」


「わかりました。急な来訪なので仕方ないですね」


「その間どこかご覧になりますか?」


 ミナトはアルフレッドに会うまではコウキの話ができないため、シスカに話を振った。


「俺はとりあえずはないけど、シスカはどこかある?」


「わたしは王国騎士団の訓練でも見てみたかったけど、あいにく今日はお休みみたいね……。あとは書庫とかって入れるのかしら?」


 シスカの言葉にマキナは頷く。


「はい、入れますよ。書庫内に閲覧スペースがあるので、そちらに行きましょうか」


 マキナはそう言い再び案内を続けてくれる。

 執務室からそう離れておらず、五分ほど歩くと書庫に到着する。

 廊下に沿ったガラス戸からは、天井まで届くほど巨大な本棚がびっしりと並んでいるのが見えた。


「こんなにたくさんあるのね。読んでもいいのかしら?」


「構いませんよ。ただ持ち出しは厳禁でお願いします」


 シスカは頷き本を探し始める。

 ミナトもそれをみて自身に役立つ記述のあるものがないか探し始める。


「ではしばらくしたら迎えに来ますので、こちらでおくつろぎ下さい」


 マキナは二人がここでしばらく本を読むことを想定し、一時席を外す。


「これはすごいわね。図書館の比じゃないわ」


 シスカの言うとおり、ここにはありとあらゆる書物がおいてある。

 基礎魔法から軍事魔法、さらには錬金術や召喚魔法といった普段耳にしない分野の書物まで並んでいた。

 だが膨大な量だけに、知りたい情報が書いてある本を探すのも一苦労だ。


 アルフレッドと会うまでの暇つぶしのつもりだったが、その膨大な知識の海を前に、ミナトは今度じっくりと腰を据えて来てみたいと思った。


 しばらく本を眺めていると気になる文字があった。


(災厄の魔王メギド……)


 ミナトは、以前国王が語った勇者と魔王の物語を思い出しながら、その一冊を手に取った。


 彼の指が羊皮紙に触れた瞬間、自分たちが立ち向かうことになる脅威の片鱗が、書庫の静寂の中で示された。

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