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異端魔力の召喚勇者 ~魔法の使えない勇者は冒険者の道を歩む~  作者: 水辺 京
第二章 Sランクへの道のり 前編

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067 歓迎会

 ギルドを後にした彼らは、そのまま中央通りの酒場へと足を運んだ。

 日はすっかり落ち、無数のランタンが街を照らす。薄暗くも風情のある街並みは、多くの人々で賑わっていた。

 店に到着した一行は扉を開け、店内へ入る。


「いらっしゃいませ!」


 店員の元気な声が飛んでくる。


「五名様ですね!こちらへどうぞ!」


 店内は夕食時ということもあり、多数の客が食事を楽しんでいる。

 空いていた席に安堵し、案内されたテーブルに腰かけた。


「ご注文がお決まりになりましたら、お呼びください!」


 店員はそう告げ、ホールへと向かった。


 メリアはあまり賑やかな雰囲気の店に入ったことがないのか、少し緊張している様子だ。


「ひ、人がたくさんいますね。私、こういうところ初めてです……」


 そんなメリアに、セイラが優しく声をかける。


「私も最初は慣れませんでしたけど、みんなと話しながら食事をしていれば、自然と緊張も解けてきますよ!さあ、料理を選びましょう!」


 そう言ってメニューを見せるが、初めての店で緊張しているため、何を選んでいいか分からないようだ。

 そこでクレイグが提案する。


「盛り合わせの料理をいくつか頼んで、シェアするのはどうですか?」


 それにセイラが食い気味に反応する。


「いいですね、それ!そうしたら、たくさんいろんなのを食べられますもんね!」


「セイラは食いしん坊だな。でも、俺もそれで構わないよ」


「もう!ミナトさんは!」


 ミナトは少しからかいながらも了承した。

 シスカとメリアもクレイグの提案に賛同し、メニューを注文する。


 しばらく待つと、大皿にたっぷりの肉が盛られた料理が到着した。


「やっぱ歓迎会といえば肉よね!」


 シスカの言葉に、ミナトはふとエルフの習性を思い出す。


「エルフって肉食べられるのか?」


 ミナトの質問にメリアがくすくす笑いながら言う。


「なんですか、その情報は」


 シスカも声をあげて笑った。


「そんな話聞いたことないわよ」


「いや、俺のいた世界でもエルフやドワーフに関する物語はあるんだけど、その物語ではエルフは木の実しか食べないとかなんとか……。あと、エルフとドワーフは仲が悪いとかも書いてあったんだ」


 ミナトの言葉に、皆が腹を抱えて笑い出した。

 笑い声が一段落すると、メリアとクレイグがエルフとドワーフの代表として口を開く。


「私だって肉以外にも、いろんなものを食べますよ。それに、人族とドワーフでは根本的なマナは違いますけど、それが仲が悪くなる原因にはなりませんよ」


「私も、別にエルフだから嫌いなんてことはありませんよ。ミナトさんの世界では、間違った情報が流れているみたいですね」


 自身の無知を指摘され、ミナトは思わず顔を赤らめた。

 だが、狙ったわけでもなくメリアの緊張はすっかりほぐれ、場に馴染んだようだ。


 その後もしばらく食事を楽しみながら、他愛もない会話をする。

 するとメリアが思い出したかのように質問した。


「そういえば、ミナトさんは転生者なんですか?」


 メリアは、先ほどの『ミナトのいた世界』という言葉がずっと気になっていたのだろう。


「メリアにはまだ話してなかったね。俺は転生というより、召喚されたから転移のほうが正しいかな。それと、これは他言無用で頼みたいんだけど……」


 ミナトはそう口火を切ると、自分の身に起きたこと、そしてこの世界で課せられた使命について、一つひとつ丁寧に語り始めた。


「まあ、魔王討伐に関しては俺の個人的な使命ってだけだから、メリアに無理強いはしないよ。たとえ一人でも、コウキと共にいくつもりさ」


「そうだったんですね……。まだ漠然としていて、現実が受け入れられないというか……。エルフの伝承でも、魔王のことは代々語り継がれています。それが復活するなんて……」


 メリアは、伝承によって魔王の恐ろしさを知っていたのだろう。


「私はまだまだ未熟です。今の実力だと、足手まといになりかねません。なので、これから皆さんと共に依頼をこなし、成長して、その時が来たときに皆さんの役に立てるのなら、ぜひ協力したいと思います」


 メリアなりの覚悟を聞き、ミナトは感謝の気持ちでいっぱいになった。


「ありがとう、そう言ってもらえるだけでも嬉しいよ。俺たちもまだまだ力不足さ。これから一緒に成長していこう!」


 秘密を打ち明け、それを理解してくれる新たな仲間を持てたことに、ミナトは心の底から喜びが込み上げてくるのを感じた。


 その後も食事を楽しみ、パーティとしての絆をより一層深めていった。

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