067 歓迎会
ギルドを後にした彼らは、そのまま中央通りの酒場へと足を運んだ。
日はすっかり落ち、無数のランタンが街を照らす。薄暗くも風情のある街並みは、多くの人々で賑わっていた。
店に到着した一行は扉を開け、店内へ入る。
「いらっしゃいませ!」
店員の元気な声が飛んでくる。
「五名様ですね!こちらへどうぞ!」
店内は夕食時ということもあり、多数の客が食事を楽しんでいる。
空いていた席に安堵し、案内されたテーブルに腰かけた。
「ご注文がお決まりになりましたら、お呼びください!」
店員はそう告げ、ホールへと向かった。
メリアはあまり賑やかな雰囲気の店に入ったことがないのか、少し緊張している様子だ。
「ひ、人がたくさんいますね。私、こういうところ初めてです……」
そんなメリアに、セイラが優しく声をかける。
「私も最初は慣れませんでしたけど、みんなと話しながら食事をしていれば、自然と緊張も解けてきますよ!さあ、料理を選びましょう!」
そう言ってメニューを見せるが、初めての店で緊張しているため、何を選んでいいか分からないようだ。
そこでクレイグが提案する。
「盛り合わせの料理をいくつか頼んで、シェアするのはどうですか?」
それにセイラが食い気味に反応する。
「いいですね、それ!そうしたら、たくさんいろんなのを食べられますもんね!」
「セイラは食いしん坊だな。でも、俺もそれで構わないよ」
「もう!ミナトさんは!」
ミナトは少しからかいながらも了承した。
シスカとメリアもクレイグの提案に賛同し、メニューを注文する。
しばらく待つと、大皿にたっぷりの肉が盛られた料理が到着した。
「やっぱ歓迎会といえば肉よね!」
シスカの言葉に、ミナトはふとエルフの習性を思い出す。
「エルフって肉食べられるのか?」
ミナトの質問にメリアがくすくす笑いながら言う。
「なんですか、その情報は」
シスカも声をあげて笑った。
「そんな話聞いたことないわよ」
「いや、俺のいた世界でもエルフやドワーフに関する物語はあるんだけど、その物語ではエルフは木の実しか食べないとかなんとか……。あと、エルフとドワーフは仲が悪いとかも書いてあったんだ」
ミナトの言葉に、皆が腹を抱えて笑い出した。
笑い声が一段落すると、メリアとクレイグがエルフとドワーフの代表として口を開く。
「私だって肉以外にも、いろんなものを食べますよ。それに、人族とドワーフでは根本的なマナは違いますけど、それが仲が悪くなる原因にはなりませんよ」
「私も、別にエルフだから嫌いなんてことはありませんよ。ミナトさんの世界では、間違った情報が流れているみたいですね」
自身の無知を指摘され、ミナトは思わず顔を赤らめた。
だが、狙ったわけでもなくメリアの緊張はすっかりほぐれ、場に馴染んだようだ。
その後もしばらく食事を楽しみながら、他愛もない会話をする。
するとメリアが思い出したかのように質問した。
「そういえば、ミナトさんは転生者なんですか?」
メリアは、先ほどの『ミナトのいた世界』という言葉がずっと気になっていたのだろう。
「メリアにはまだ話してなかったね。俺は転生というより、召喚されたから転移のほうが正しいかな。それと、これは他言無用で頼みたいんだけど……」
ミナトはそう口火を切ると、自分の身に起きたこと、そしてこの世界で課せられた使命について、一つひとつ丁寧に語り始めた。
「まあ、魔王討伐に関しては俺の個人的な使命ってだけだから、メリアに無理強いはしないよ。たとえ一人でも、コウキと共にいくつもりさ」
「そうだったんですね……。まだ漠然としていて、現実が受け入れられないというか……。エルフの伝承でも、魔王のことは代々語り継がれています。それが復活するなんて……」
メリアは、伝承によって魔王の恐ろしさを知っていたのだろう。
「私はまだまだ未熟です。今の実力だと、足手まといになりかねません。なので、これから皆さんと共に依頼をこなし、成長して、その時が来たときに皆さんの役に立てるのなら、ぜひ協力したいと思います」
メリアなりの覚悟を聞き、ミナトは感謝の気持ちでいっぱいになった。
「ありがとう、そう言ってもらえるだけでも嬉しいよ。俺たちもまだまだ力不足さ。これから一緒に成長していこう!」
秘密を打ち明け、それを理解してくれる新たな仲間を持てたことに、ミナトは心の底から喜びが込み上げてくるのを感じた。
その後も食事を楽しみ、パーティとしての絆をより一層深めていった。
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