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異端魔力の召喚勇者 ~魔法の使えない勇者は冒険者の道を歩む~  作者: 水辺 京
第二章 Sランクへの道のり 前編

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066 メリアの決意

 王都への復路は順調に進み、二日の時を経て王都に到着した。

 時刻は夕刻過ぎ。王都を照らす夕日はどこか幻想的で、何度見慣れても、この空と街並みは自身が異世界にいるという事実を鮮やかに突きつけてくる。


「予定どおり到着だな。日が沈む前にギルドで報告を済ませようか」


 ミナトの言葉に皆が頷く。道中、他愛もない会話をしながらギルドへ向かって歩く。ふと、その情景を見て転移したあの日のことを思い出した。


(あの時も夕暮れ時をコウキと歩いていたな……。まだ半年も経っていないが、遠い昔のようだ……)


 ミナトはしばし懐かしさに浸る。


「……ミナト……ミナト!」


 シスカの呼びかけにはっと我に返った。


「悪い、ぼーっとしてた」


 ミナトは苦笑いしながら答える。


「大丈夫?もうギルドに着いたわよ」


「疲れが溜まってるんじゃないですか?」


 シスカとセイラの心配そうな声に、ミナトは笑顔で応えた。

 確かにこの世界に転移してから、ここまでノンストップで駆け抜けてきた。

 FランクからCランクまで順調に上がり、仲間にも恵まれた。

 その充実感に紛れ、疲労が蓄積していたのだろう。


 するとそれを察したのか、クレイグが口を開く。


「今回の依頼の報告が終わったら、少し休暇をとりましょうか」


 その言葉にミナトは頷いた。


「ああ、そうだな。たまには休むか」


(休暇か……。特にやりたいこともないし、また訓練場で刻付の出力の調整でもするか)


 ミナトがそんなことを考えていると、まるで心を読んだかのように、クレイグが口を開いた。


「休暇、ですからね。鍛錬は禁止ですよ」


「なっ……わ、わかってるよ!」


 二人のやり取りを見てメリアも微笑む。


「お二人は仲がいいんですね!私はそういった方がいないので、羨ましいです」


「そ、そんな仲良さそうに見えるか?」


「クレイグさんがお兄さんで、ミナトさんが弟みたい……?そんな感じです!」


 そのやり取りを見てセイラも口を挟む。


「ですよね!私も前に同じことを思って言ったことあります!」


「全くセイラまで……」


 さらにシスカも口を挟んだ。


「でも確かにクレイグは頼れるお兄さんって感じよね。ミナトは……まあ、私からすれば仲間でもあり、ライバルでもあるって感じかしら」


 それを聞き、クレイグも反応する。


「実際、私は皆さんより年上ですからね。それより、報告を済ませてしまいましょう」


 すっかり話に夢中になった一行はギルドの中へ入っていった。

 中に入ると、いつものようにリビアがカウンターに座っている。


「リビアさん、今戻りました!」


 ミナトがそう声をかけると、リビアは笑顔で応えた。


「おかえりなさい、皆さん!もう依頼が終わったんですか?早かったですね」


「はい、思ったより移動に時間がかからなかったので。これが報告書になります」


 ミナトはそう言って、村長から預かった報告書を渡す。


「確かに受けとりました。では、これで今回の依頼は完了となります。報酬につきましては、『零閃の狼煙』の皆様は後日、王立銀行への振り込みとさせていただきます。メリアさんはこの場でお支払いしますので、少々お待ち下さい」


 リビアの言葉にミナトたちは頷くが、メリアは決心した顔でリビアに迫った。


「あの、私の報酬も『零閃の狼煙』の口座に一緒に振り込んでもらうことはできますか?」


 その言葉の意味を長年受付をやっているリビアは理解したのだろう。にこっと笑いながら頷いた。


「かしこまりました。では、まとめて振り込みさせていただきますね」


 ミナトもそのやり取りを見て何か勘付き、問いかける。


「メリアさん、もしかしてうちのパーティに入ってくれるのか?」


 メリアは静かに頷く。


「もし私で役に立てるのなら、是非お願いします!」


「うちとしてもメリアさんほどの実力者は大歓迎だよ!改めて、これからよろしくね!」


 その言葉にシスカ、セイラ、クレイグも歓迎の声をあげる。


「パーティ戦闘はまだまだ不慣れですけど、これからよろしくお願いします!」


「よし、そうと決まれば今日は歓迎会よ!」


 シスカのその言葉に、ミナトは呆れながらもにこやかに答えた。


「シスカはことがあるごとに宴会を開きたがるな」


「それが冒険者ってもんよ」


 シスカは笑いながら答えた。

 たしかに歓迎会を設けることにより、パーティの仲は深まり、メリアも溶け込みやすくなるだろう。

 シスカなりの配慮ということだ。


 一連の流れをリビアはにこやかに眺めていた。


「では、メリアさんは『零閃の狼煙』に加入ということでよろしいですね!そしたらこちらの用紙に必要事項の記入をお願いします」


 メリアは言われた通りに用紙に記入を始める。

 その間、歓迎会はどこでやるのかという話になり、いつものところでいいのではという結論に至る。

 洒落すぎずに、無難でうまい飯を出してくれる、彼らにはそれで十分なのだ。

 仲間との時間を気兼ねなく過ごせる店というのは、意外と少ないもので、すっかりその店の雰囲気を気に入ってしまったようだ。


 用紙を書き終えたメリアはリビアに声をかけた。


「これで大丈夫ですか?」


 そう言い、リビアに用紙を見せる。


「確認しますね……はい!確かに受けとりました。ではこの書類をもって、メリアさんは正式に『零閃の狼煙』に加入となります!」


 一同はメリアの加入を改めて喜び合った。

 これによって『零閃の狼煙』は新たなメンバーを迎え、五人となった。

 メリアの加入は、パーティの戦力を飛躍的に引き上げてくれるだろう。

 頼もしい仲間が増えた喜びを、ミナトは静かに噛みしめた。

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