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異端魔力の召喚勇者 ~魔法の使えない勇者は冒険者の道を歩む~  作者: 水辺 京
第二章 Sランクへの道のり 前編

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057 Bランクパーティ

クレイグは、ダンジョンを出ると、守衛小屋のおじいさんに挨拶をした。ミナトと違い、半日ほどかかってしまったが、「お疲れ様。無事で何よりじゃ」と言われ、少し嬉しくなる。時刻は夕方くらい。空はオレンジ色に染まり、地面に伸びる影が長くなっていた。


(みんなは、まだギルドにいるだろうか……)


そんなことを思いながら、クレイグは一人、ギルドへ向かった。


しばらく歩き、ギルドへ到着する。中に入ると、テーブルにミナト、シスカ、セイラの三人が座っていた。ミナトが先にこちらに気づき、笑顔で手を振る。


「お帰り、クレイグ。試験はどうだった?」


ミナトの言葉に、シスカとセイラも「お疲れさま」と声をかけてくれる。その言葉に、クレイグはパーティーの暖かさを感じる。


「ただいま、皆さん! デュラハン討伐、完了です。今からリビアさんのところにいき、報告してこようかと思います」


クレイグがそう言うと、シスカが立ち上がった。


「なら、みんなで行きましょうか! 」


四人全員でリビアのところへ向かう。クレイグの報告を受け、リビアはクレイグのランクアップを認めた。


「デュラハンの魔石で間違いありません! 試験合格、おめでとうございます、クレイグさん!」


リビアの祝福の言葉に、クレイグの顔に安堵と喜びの表情が浮かんだ。


「では、ランクを更新しますので、プレートとギルドカードをお願いします」


言われた通り、クレイグはプレートとギルドカードをリビアに手渡した。


「はい!では更新してきますので、少々お待ち下さい」


リビアが奥へと向かっていったのを見届けると、ミナト、シスカ、セイラの三人は、クレイグを囲むように集まった。


「クレイグ、おめでとう!」


「やったわね、クレイグさん!」


「Cランク昇格ですね! すごいです!」


三人の祝福に、クレイグは照れくさそうに笑う。


「ありがとうございます。でも、まさか冒険者登録をして間もないのに、もうCランクに到達できたなんて、夢みたいです」


「夢じゃないわ。全部、あなたの実力よ」


シスカはそう言って、クレイグの肩を軽く叩いた。その言葉に、クレイグの顔に確かな自信が満ちる。


喜びに浸る間もなく、リビアが戻ってきた。


「お待たせしました!」


新しいCランクの文字が刻まれたプレートとギルドカードをクレイグに手渡す。


「これにて皆さんのランクアップが終了しました。よって、零閃の狼煙のパーティランクも上がります。Bランクに昇格です!」


リビアの言葉に、皆は歓喜する。Bランクパーティー。冒険者としては、ようやく中堅といった位置だろうか。目指すSランクはまだ遠いが、順調に進んでいる。


「皆さん、おめでとうございます! Bランクパーティーへの昇格です!」


リビアの祝福に、四人は互いに顔を見合わせ、喜びを分かち合った。


「せっかくなので、みんなでご飯でも食べに行きませんか?」


クレイグが提案すると、ミナトは笑顔で応じた。


「じゃあ、祝勝会といきますか!」


ミナトの声に、シスカとセイラも賛同し、四人は食事をすることにした。場所を決める時間もなさそうなので、以前訪れた、中央通りの酒場にすることにした。


各自好きなものを注文し、他愛もない会話をしながら食事を楽しんだ。


「そういえばシスカはAランクに上がったけど、Sランクに上がる条件は聞いたのか?」


ミナトが尋ねると、シスカは答える。


「国家に貢献して、グレンを倒せだってさ」


「簡潔にしすぎだろ」


ミナトは苦笑いする。


「まあ、国からの依頼とかこなして、国王から認められた上で、グレンにも認めてもらわないと、Sランクには上がれないってことよ」


シスカは少し説明を付け足した。


「なるほど。AからSに上がる道のりは遠そうだな……」


「そうね……。でも、すぐにでもなってやるわ!みんなもついてきてね!」


シスカの言葉に、クレイグとセイラも気持ちに答える。


「はい、もちろんです!」


「がんばります!」


「ランクといえば、ミナトさんはすごく強いと思うのですが、なんでまだCランクなんですか?」


クレイグがふと疑問に思ったことを口にする。


「デュラハン戦、わたしはかなり苦戦しました。でもミナトさんは呆気なかったと……。同じCランクとは思えないといいますか……」


ミナトは苦笑いする。


「俺の場合、スタートが最底辺のFランクだったからな」


「Fランクスタートだったんですか!?でも、魔力纏いとかすごいじゃないですか!」


「実は俺の魔力が、ギルドの装置に反応しなくて、魔力0っていう扱いになってるんだ。それで、Fランクからスタートになったんだ」


隠していたわけではないが、この事はシスカにしか話していなかった。ミナトの言葉に、クレイグとセイラは驚きを隠せない。


「まあ、そのおかげでみんなに出会えたって思えば、全然よかったと思うよ」


ミナトが笑いながら言うと、セイラが答える。


「私もあのとき声をかけてもらえなかったら、冒険者として自立なんてできてなかったと思います」


シスカも続けて言う。


「わたしの場合、尊敬する師が同じであったからって感じかしら? グレンさんがいなかったら、あのとき訓練場で顔を会わせることなんてなかったもんね」


シスカの言葉に、ミナトは王都に来たばかりの記憶が蘇る。右も左も分からないときに、グレンという男がミナトを気にかけてくれたおかげで、ミナトはこの世界での戦いかたを身に付けることができた。


「ほんと、グレンさんには感謝だよな……」


ミナトが感傷に浸ろうとするが、グレンの名前を出して思い出す。


「そういえばさっき、グレンを倒すとか言ってなかったか?」


シスカは答える。


「グレンなりの試験らしいわよ。公式ではないみたいだけど、結局認められるには倒すしか無いわよね……」


「あの人に勝てるビジョンが見えないな」


ミナトが言うと、みんなの顔に緊張が走る。皆グレンの強さを知っているからこそ、立ちはだかる壁がいかに大きいかを知ることになる。


「講習のときの最終日、まだ駆け出しとは言え、私のアクア・サイクロンを軽々避けてましたし、ミナトさんとの手合わせでも、かなり手加減してる感じでしたよね……」


「ああ、あの時はグレンさんは魔法を使うこともなかったしな……。身体能力だけでも計り知れないのに、さらに魔法まで使われたら……」


ミナトは頭を抱えたくなるが、同時にそれだけ尊敬に値する師であるとうことだ。


「いつかは、みんなで越えて見せましょう!」


クレイグの言葉に、皆頷く。


「さあ、そろそろお開きにしましょうか。また明日から頑張りましょう!」


シスカの掛け声とともに祝勝会は終了した。明日からのBランクパーティとしての活動を胸にそれぞれの帰路についた。

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