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異端魔力の召喚勇者 ~魔法の使えない勇者は冒険者の道を歩む~  作者: 水辺 京
第二章 Sランクへの道のり 前編

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054 グリフォン討伐

シスカは剣を抜き放ち、グリフォンとの戦闘が始まった。


グリフォンはけたたましい雄叫びを上げ、巨大な翼を広げて上空へと舞い上がった。鋭い爪を構え、シスカを上空から見下ろす。風魔法による加速でシスカを翻弄し、雷魔法を放つも届かない。


(このままでは遠距離から風魔法で削られてしまう……!)


シスカはグリフォンが地上から離れてしまったため、遠距離攻撃のない彼女は、攻撃のタイミングを失い苦戦を強いられる。


「くっ……!」


グリフォンは上空から風魔法の刃を放ってきた。シスカは剣でそれを受け止め、風魔法の威力に驚愕する。


「このままでは埒があかないわ。何とかして、地上戦に持ち込むしかない!」


シスカは、コロンで手に入れた魔道書が脳裏をよぎる。氷と雷を組み合わせた複合魔法だ。


「これしかないわ!」


シスカは剣を構え、魔力を集中させる。彼女の剣に、雷光と氷の魔力が同時に纏わりつき、バチバチと音を立てる。


「フローズン・ボルト!」


シスカが呪文を唱えると、雷のごとき氷の刃が、剣からグリフォンの片翼めがけて放たれた。それは、シスカの精密な魔力コントロールによって、正確にグリフォンの翼を捉える。着弾と同時に、グリフォンの片翼が瞬時に凍りついた。


キィィィィィィィィン!


グリフォンは凍りついた翼でバランスを崩し、地上へと落下した。地響きを立てて地面に叩きつけられる。


「よし!いける!」


シスカは雷と氷の複合強化魔法を発動させる。これもコロンで手に入れた魔道書をヒントに習得した魔法だ。普段のスピードに加え、氷による摩擦のコントロールによって、曲線的な動きを可能にする。


「ぐおおおお!」


グリフォンは落下した衝撃に苦しみながらも、シスカへと風魔法を放つが、その攻撃は曲線的な動きをするシスカには届かない。


「ここよ!」


シスカは、グリフォンの猛攻を躱し、その頑丈な体へと雷光を纏った剣を突き立てる。


バチバチバチ! ドンッ!


シスカの剣がグリフォンの皮膚を貫き、雷の魔力が内部に流れ込む。グリフォンは苦しげな咆哮を上げた。しかし、それでおわるような魔物ではない。体についた氷を振り払い、再び飛び立とうと翼を羽ばたかせる。


「そうはさせないわ!」


シスカは超スピードで接近し、剣を突き刺し後ろに飛ぶ。


サンダー・ボルト!


剣に雷が落ち、グリフォンの翼は大きく損傷し、羽ばたくことができなくなる。


「このまま畳み掛ける!」


突き刺さった剣を拾い、シスカは無数の剣撃の嵐をグリフォンにお見舞いする。雷と氷を纏った剣撃は、グリフォンの体を容赦なく切り裂いていく。


感電による筋肉の機能停止、氷結による物理的機能停止。あらゆる自由を徐々に奪っていく。


グリフォンは腕を振り払うなど抵抗するが、そんな攻撃はシスカのスピードの前には届かない。


やがてグリフォンは徐々に弱っていき、動きが鈍くなる。止めの一撃を加えるべく、シスカは上空に飛び上がる。剣先を下に向け、魔法を唱える。


「氷剣・グレイシャル!」


シスカの剣の回りに巨大な氷が纏わりつき、大きな氷の剣となった。


ズドォォォォン!


その巨大さと重さにより振るうことは出来ないが、空中からの自然落下によるエネルギーで氷の刃をグリフォンの体をめがけて突き立てる。


グリフォンの体を貫通し、血飛沫すら凍らせる。その一撃でグリフォンは敗れ、みごと討伐に成功するのであった。


「はぁ...はぁ...。」


シスカは激しい息切れをしながら地面に座り込む。


「さすがに魔力を使いすぎたわ...。もう枯渇寸前...。」


そう言いながら腰袋に手を回し、マナポーションを取り出す。想像絶する苦味に悶えるが、効果は折紙つきだ。


「まっずい!もう少し味なんとかならないのかしら!」


苦味に悶えながらも、マナポーションを飲み干す。するとみるみるうちに魔力が漲ってくる。総量の1/3程度は回復しただろうか。枯渇寸前の重たい体が大分軽くなった。


「よし、魔石の回収を済ませてさっさと帰りましょう。みんなを待たせてるだろうしね」


シスカはグリフォンの魔石を手際よく回収する。すると爪に目を向ける。


「グリフォンの爪ってたしか武具の加工に使われてるわよね...。これも頂いていこうかしら。クレイグにプレゼントよ」


パーティの鍛治師であるクレイグに渡せば、なにか役立ててくれるであろうと、淡い期待をこめ爪も回収する。


その後、近くの村まで戻り、乗り合いの馬車の時間まで一休みした後、王都に向け出発する。


「皆は無事ランクアップ出来てるかしら...」


仲間のことを思いながら馬車に揺られ、乗り継ぎをし、三日の時を経て役一週間ぶりに王都に到着するのであった。


背伸びをし、馬車による長旅で強張った体をほぐす。


「んー!やっとついたー!」


長旅で疲労困憊だが、シスカは試験の報告と、仲間の状況を知るためにギルドへ向かう。到着するとリビアがその姿に気づき、「シスカさん!おかえりなさい!」とにっこり微笑みかけてくれる。そのままリビアのいるカウンターへ向かう。


「ただいまリビア!一週間ぶりね。」


「はい!長旅ご苦労様です!試験の方はどうでした?」


リビアの問いにシスカはにやっと笑い、グリフォンの魔石を差し出す。リビアは目を輝かせながら受けとる。


「濃い緑色とこの光沢、純度も高いですね!間違いなくグリフォンの魔石です!シスカさんおめでとうございます!ランクアップ試験合格です!」


リビアはそう言い、祝福してくれた。


「ありがとう!じゃあこれ、プレートとギルドカードよろしく!」


シスカはリビアに言われる前に手際よく取り出し、渡した。


「はい!では更新してきますので、少々お待ち下さい」


そう言い、奥の方へと向かった。しばらく待っていると、リビアは戻ってきて、「お待たせしました」と言いながらプレートとギルドカードを渡す。


「ありがとう。これでやっとAランクだわ。ランクがあがったばかりで聞くのもなんだけど、Sランクにあがるためにはどうしたら良いのかしら?」


シスカはリビアに問う。


「はい。Sランクですね。まずAランクまではポイントの加算により試験の資格を得て、合格することでランクアップしてきました。Sランクからはポイントの加算に加え、国やギルドが依頼する、Aランク以上限定の依頼があります。それはダンジョンの未開拓層の探索や、郊外の魔物の一掃などを行い、領地の拡大など、国家の繁栄に関する依頼などになります」


リビアはつづけて説明する。


「それらをこなし、国家へ貢献して貰います。すると国からランクアップの許可が下ります。それに加えポイントが規定値まで到達すれば、ギルドマスターからも許可が下り、Sランク昇格になります。ただギルドマスターはSランク試験と称して、本気の手合わせを行っているので、覚悟しておいたほうがいいですよ」


シスカは頷きながら内容を理解する。


「なるほどね...。Sランクからは国も公認ってことね。それにグレンさんとの手合わせ...。ありがとう理解したわ」


「いえ、またそれより先のSSランクにはSランクに上がったときに説明しますね」


「よろしく頼むわ。そういえば皆はどこにいるか分かるかしら?」


シスカは辺りを見回すが仲間の姿が見当たらない。


「皆さんなら朝からずっと訓練場に居ますよ」


クスッと笑いながらリビアは皆の所在を教えてくれた。


(訓練場か...。依頼も受けずに鍛練に励んでいたのね!)


「ありがとう。じゃあ顔を出してくるわ」


シスカは一礼し、訓練場に向かうのであった。

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