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異端魔力の召喚勇者 ~魔法の使えない勇者は冒険者の道を歩む~  作者: 水辺 京
第二章 Sランクへの道のり 前編

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049 試験の詳細

 グレンが退出すると、待合室にはミナトたちと、エドガーが残された。

 エドガーは改めて深々と頭を下げた。


「今回は本当にありがとうございました。零閃の狼煙の皆様には、感謝してもしきれません」


 エドガーはそう言うと、安堵した表情でミナトのほうを向いた。


「私は王都ではそこそこ大きな商会を営んでいますので、今度、お店に立ち寄ってください。お礼も兼ねて、たくさんサービスしますよ」


 エドガーが笑いながら言うと、ミナトは苦笑した。

 コロンでの滞在でほぼすべての有り金を使い切ってしまっていたのだ。


「ありがとうございます。しばらくは依頼をこなして余裕ができたら、顔を出させていただきます」


「かしこまりました。お待ちしておりますね」


 エドガーはそう言い、部屋を退出していった。


 部屋の中は、四人だけになった。グレンから告げられた、ランクアップ試験の資格。

 それは、彼らの実力が客観的に評価された証でもあった。

 しかし、その言葉は同時に、彼らの心に様々な感情を呼び起こしていた。


「自分は冒険者登録したばかりなのに、ランクアップ試験なんて受けても大丈夫なのでしょうか……?」


 クレイグが、少し不安そうに呟いた。彼のランクはミナトと同じDランクだ。

 しかし、ミナトと比べて冒険者としての経験が浅いことに、まだ戸惑いがあるようだった。


「試験を受けること自体は、ギルドも公認ってことだから、気にしなくてもいいと思うわ」


 シスカはクレイグを励ますように言った。


「でも、試験は基本的にソロで受けることが必要となるから、内容次第では、少し冒険者稼業に慣れてからの方がいいかもしれないわね」


 クレイグは頷く。


「たしかに、それもありかもしれませんね」


 クレイグは自分のペースで進むことを決めたようだ。

 次に、ミナトがシスカに尋ねた。


「シスカはAランクの試験だろ? かなり難しい試験なんじゃないか?」


「たしかにAランクは生半可じゃないと思うわ。でも、今の私なら大丈夫なはず! 絶対に合格してやるわ!」


 シスカはそう言って、力強く拳を握った。

 その瞳には、すでに合格への強い意志が宿っている。


「私も、試験を受けようと思います!」


 セイラが、控えめながらも強い意志を持って宣言した。


「今まで、自分に自信がありませんでした。でも、皆さんと一緒に戦闘して、自分の魔法に自信が持てました。だから、このランクアップ試験、挑戦してみたいんです」


 セイラの言葉に、ミナトは嬉しくなった。臆病だった彼女が、一歩踏み出そうとしている。

 その成長が、ミナトには何より嬉しかった。


「俺も、受けるつもりだ」


 ミナトも、グレンの言葉を胸に、挑戦を決意した。


「よし! じゃあ、とりあえずリビアさんのところに、試験の詳細を聞きに行こうか」


 ミナトがそう言うと、四人は部屋を出て、リビアの元へと向かった。


 四人はリビアのもとに向かった。


「零閃の狼煙の皆様、お待ちしておりました!」


 カウンターに着くなり、笑顔で挨拶してくる。彼女の温かい歓迎に、全員の顔がほころんだ。


「まずは、今回の指名依頼の報酬をお渡ししますね」


 リビアはそう言うと、手際よく金貨と銀貨を数え、ミナトに手渡した。

 ミナトはそれを受け取り、一礼する。


「次に、皆さんにお話があった、ランクアップ試験についてです」


 リビアは少し真剣な表情に戻り、羊皮紙を取り出した。


「まず、ミナトさんとクレイグさん。お二人はCランク昇格の試験となります」


 ミナトとクレイグが、身を乗り出して話を聞く。


「試験内容は、王都のはずれにある墓地の地下にある、亡霊のダンジョンにて、地下三層に出現するデュラハンの討伐です」


 デュラハンとは生前の騎士の魂が宿っていると言われる、首のない強力な魔物だ。


「デュラハンは首がないため弱点がないのが最大の特徴です。生前の騎士の魂が宿っているため、身体能力も高く、厄介な魔法も使ってきます。倒したあと、一日待てば再生成されるとのことなので、お二人は日を分けてダンジョンに潜ることをおすすめします。何か不審なことがあれば、すぐに撤退して、報告をお願いします」


 次に、リビアはセイラへと視線を向けた。


「セイラさんは、Bランクをかけた試験になります」


 セイラは緊張した面持ちで頷いた。


「試験内容は、王都から川にそって半日ほど進むと、大きな滝があり、その滝壺に複数存在するヘルシザーの討伐です。討伐数は5体。固い甲殻と、挟まれれば即死は免れない大きな爪がやっかいな魔物です。それに群れをなしていることも多いので、十分にご注意ください」


 最後に、リビアはシスカに語りかけた。


「そして、シスカさんはAランク昇格をかけた試験になります」


 Aランク。冒険者が一目置かれる、熟練者の証。

 シスカの瞳に、強い光が宿った。


「試験内容は、王都から三日ほど東へ進むと大きな渓谷があります。そこに生息するグリフォンの討伐です。空を飛び、鋭い爪で攻撃してくるやっかいな魔物です。また、風魔法も使ってくるため、注意が必要となります」


 リビアは一通り試験内容を説明し終えると、優しく微笑んだ。


「試験内容は、ダンジョンや魔物の生息状況を鑑みて定期的に内容が変わります。もし、試験内容に不安を感じたのなら、無理せず、試験が更新されてからまた受けるのも一つの手ですよ。皆さんの命が何より大事ですから」


 リビアの心遣いに、ミナトたちは感謝した。


「ありがとうございます、リビアさん」


「クレイグは試験どうする?」


 ミナトがクレイグに問うと。少し悩む。


「すぐにでもランクアップしたいのは山々なんですけど、ソロでの戦いかたが経験不足でして...。もう少し力をつけてからでもいいのかなと思っています」


 クレイグの言葉にシスカとセイラは口を開く。


「それも正しい判断だと思うわ」


「焦る必要はないですよ」


 ミナトもまたクレイグに寄り添う。


「確かにまだ経験が浅く、ソロ戦闘にも不安もあるだろうし、またの機会にするのもいいかもな」


 クレイグは頷き、試験は見送ることにした。その様子を見てリビアが声をかける。


「試験の資格は消滅はしないのでいつでも気軽に声をかけてくださいね。他のかたは試験どうされます?」


 リビアの問いに三人とも受ける意思を示す。


「かしこまりました。では手続きをしますので少々お待ち下さい」


 リビアに言われ、しばらく待つ。


「そうだ、さっきの報酬の分配はどうする?4等分でいいのか?」


 ミナトの問いにシスカが答える。


「分配はそれでいいんじゃないかしら。ただパーティとしての軍資金に、報酬の半分くらいはとっておいた方がいいと思うけど、どうかしら?」


 三人とも頷き、了承する。


「ならそれで決まりね!あとで王立銀行へ行って、パーティ金庫も申請しておきましょう」


 そんな話をしているとリビアが戻ってきた。


「お待たせしました!それではこちらが試験内容が書いてある書類になります。こちらを元に試験に挑んで下さい。健闘を祈ってます」


「ありがとうございます。ではいってきます!」


 ミナト達は礼をいい、ギルドを後にした。その後四人は王立銀行へと向かうのであった。

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