045 『コロン』到着
盗賊団のリーダー、ガゼルを戦闘不能にし、残りの盗賊どもも全て拘束した。
エドガーは馬車から降り、安堵の表情でミナトたちに駆け寄った。
「皆様、本当にありがとうございます! まさか、これほど早く解決していただけるとは……!」
エドガーは深々と頭を下げた。
「いえ、無事盗賊を捉えることができ、良かったです。それに、コロンの町について、また王都に戻るまでが依頼ですから。まだ気を緩めないようにします」
ミナトが答えると、シスカ、セイラ、クレイグも頷いた。
エドガーは改めて感謝の言葉を述べ、盗賊たちを魔封じの縄で縛り上げた。
リーダーのガゼル以外は近くの町の衛兵に引き渡し、ガゼルは王都のギルドに輸送されることになった。
盗賊を一掃することができたので、一行は一安心だ。馬車は再びコロンの町へと向けて出発した。
馬車に揺られながら、四人は先ほどの戦闘について話し合っていた。
「それにしても、ガゼルの闇纏い、あれは禁忌の魔法だって言ってたけど、一体何なんだ?」
ミナトが尋ねると、シスカが真剣な表情で答えた。
「闇属性に限らず、全ての属性に『纏い』があるのよ。私たちの魔力纏いとは異なり、その属性の化身になり、己の肉体を蝕む魔法のこと。身体能力が飛躍的に上がる上に、属性特有の効果も現れるわ」
シスカは言葉を続ける。
「ただ、発動するにはとてつもない鍛錬と魔力が必要だとされているから、大抵の人は使えないはずよ。例え発動できたとしても、肉体を蝕むほどの魔力に侵されるから、禁忌として魔道書に登録されているの」
ミナトは、ガゼルがそこまでの危険を冒してまで自分たちと戦おうとしたことに、改めて驚きを隠せない。
やはり、あのガゼルという男は、闇纏いを使えるほどの実力を持つ、本物の上級魔導師だったのだろう。
「それにしても、セイラ。魔法の威力、すごく上がってないか? 近くにいたけど、衝撃がすごかったよ」
ミナトが感心したように言うと、セイラはにこにこしながら答えた。
「人が相手だったので、加減したつもりではあるんですけどね……。最近、自分でも魔法の成長を感じることができて、楽しいんです! なので、早く魔道書を見つけて、新しい魔法に出会いたいなと」
セイラの言葉には、以前の臆病な面影はなく、自信と探求心に満ちていた。
クレイグもまた、シスカに尋ねた。
「シスカさん、ブレスレットの調子はどうですか?」
シスカは腕にはめたブレスレットを眺め、目を輝かせた。
「これ、本当にすごいわね! つけてるだけで雷の自己強化の性能が向上してるわ! 以前より格段に早く動けるようになったと思う!」
シスカの言葉に、ミナトは思わず笑ってしまった。
「シスカは今でも十分速いのに、まだ速くなるつもりか」
そんな会話をしながら、馬車での時間は過ぎていった。
道中、魔物との遭遇はあったものの、彼らの圧倒的な実力と連携の前には、もはや脅威ではなかった。
そして、王都を出発してから五日目、ついにコロンの町へと到着した。
コロンの町に到着すると、エドガーは「私は商品の納品と、仕入れがありますので」と言い、市場の喧騒の中へと溶け込んでいった。
王都への出発は明日ということなので、四人は昼時ということもあり、食事のできるところを探すことにした。
「貿易都市というだけあって、各地からいろいろな食材が集まるのでしょうね」
セイラが周囲を見回しながら呟いた。
確かに、街道沿いの町とは比べ物にならないほど、活気があり、様々な匂いが漂ってくる。
ご飯屋もたくさんの種類があり、一同はどこにするか悩む。
すると、ミナトがふと、一つの看板を指差した。
「あれ、魚か?」
看板には、いかにも魚の形をしたイラストと、箸のようなイラストが描かれている。
「魚なんて珍しいわね」
シスカが言うと、クレイグが付け足すように説明した。
「アイリス王国は北側の魔族領との国境付近しか海に面していないので、漁業はあまり盛んではないんですよ。だから、魚を取り扱う料理屋は珍しいんです」
「私、食べたことないです。どんな料理なんですかね?」
セイラは目を輝かせながら尋ねた。初めての魚料理に興味津々だ。
「なら、せっかくだし、そこに入ってみよう」
ミナトがそう言い、一同は魚料理屋へと入ることにした。
店に入ると、大きな生け簀にたくさんの種類の魚が泳いでいたが、ミナトにはどれも見慣れないものばかりだった。
やはり日本とは違う種類の魚なのだろうと思いながらテーブルにつき、メニューを眺める。
定食からどんぶり、寿司など、多岐にわたる魚料理が並んでいた。
各々がじっくりと考え、ミナトは『焼き魚定食』を、シスカは『天ぷら盛り合わせ』を、セイラは『煮魚定食』を、クレイグは『刺身定食』をそれぞれ注文した。
しばらくして料理が届き、一同は目の前の海の恵みを堪能し始めた。
ミナトは異世界での初魚を口にすると、それは紛れもなくミナトが知っている魚の味だった。
香ばしい焼き加減と、身の締まった白身魚の旨味が口いっぱいに広がる。
懐かしさがこみあげ、故郷の食卓を思い出した。
セイラも初めての魚料理に驚きながらも、「すごく美味しい!」と幸せそうな顔をする。
今まで食べたことのない、繊細な味わいに感動しているようだった。
食事を済ませ、四人はここからは別行動をすることにした。
それぞれがコロンの町で、目的のものを探すことにする。
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