041 コウキからの手紙
翌朝、昨夜の宴の余韻も覚めやらぬ中、ミナトはギルドに顔を出していた。
この後、シスカ、セイラ、クレイグも続々と顔を出すはずだ。
ミナトはみんなを待っている間、依頼掲示板を眺めて時間を潰していた。
すると、一人の女性に声をかけられた。
「あの、ミナトさんでよろしいですか?」
ミナトは知らない顔に戸惑いながらも頷いた。
女性は王都の兵士が着るような制服を身につけており、その立ち姿はどこか凛としている。
「私は国王の使いの者です。実は、コウキ様から手紙を預かっておりまして」
女性はそう言うと、丁寧に一通の手紙をミナトに差し出した。
コウキからの手紙。予想外のことに、ミナトは驚きながらも、それを受け取った。
手紙を受け取ると、女性は「それでは失礼します」と一礼し、すぐにどこかへと去っていった。
ミナトは、その場に立ち尽くしたまま、手紙をじっと見つめた。コウキからの手紙。
彼が今、どこで何をしているのか、そして何を伝えたいのか。
様々な思いが胸をよぎる。
ミナトは、ゆっくりと手紙の封を切り、その内容を読み始めた。
『ミナトへ
元気にしてるか?俺はなんとかやってるぜ。
まさかこんな形で手紙を送ることになるなんて、思ってもみなかったな。お前と別れてから、本当に色々なことがあったんだ。
まず、王城の控室で、マリアさんとエリスさんから、この世界のことをたくさん教えてもらった。
歴史、魔物、魔法、地理……もう頭がパンクしそうだったけど、なんとか理解できたと思う。
その後、訓練場で魔法のレクチャーを受けたんだ。そしたら俺は、火、水、地、風の四大属性に加えて、光属性と聖属性の適性があるらしい。
マリアさんもエリスさんも、すごく驚いてたぜ。魔力量も桁外れだってさ。
お前と鍛えた身体能力も、この世界じゃかなり動ける方だって言われた。
魔法と身体能力を組み合わせれば、最強の勇者になれるって言われて、正直、まだピンとこないけど、ちょっと嬉しかったな。
ひと通りの説明が終わって、俺たちはすぐに旅に出た。
ほんとはお前に挨拶をしてから出たかったけど、次に合うときは肩を並べて戦うときって約束したもんな。
それで最初の目的地は、東にあるアストロム王国だ。馬車で二月くらいかかるらしい。
アイリス王国は世界の中心にあって、魔王領はアイリス王国の北に位置するらしい。
だから、俺らは東から時計回りに五つの国を回って、各地を回って力をつけながら、英雄たちと合流する。
最終的には一度アイリス王国に戻ってから、北の大陸を目指すことになる。
旅の道中も、本当に色々なことがあった。
アイリス王国の平野を抜けて、森や山を越えて……故郷とは全く違う景色ばかりで、毎日が驚きの連続だ。
マリアさんが土地の知識を教えてくれて、エリスさんが魔物のことや魔法を教えてくれる。
何度か魔物にも襲われたぜ。ゴブリンの群れやロックバード、ベアウルフとか、結構手強いやつらもいたけど、俺の魔法と、お前と鍛えた武術の動きを組み合わせて戦ってる。
火魔法で焼き払ったり、風魔法で動きを止めたり、地魔法で防御したり、剣を抜いて接近戦で仕留めたり……。
魔力が尽きる気配がないから、魔法も連発できるんだ。
エリスさんの支援魔法と、マリアさんの的確な指示もあって、俺たちの連携もどんどん良くなってるぜ。
特に忘れられないのは、街道で出会った巨大なロックトロールとの戦いだ。
あいつは体が頑丈で、すぐに再生するから本当に厄介だった。
普通の魔法じゃ全然効かなくて、どうしようかと思ったけど、マリアさんが弱点は頭部だって教えてくれて、エリスさんが動きを止める隙を作ってくれたんだ。
その時、俺、体中の魔力を全部集中させて、火、光、聖……3つの属性の魔力を混ぜ合わせた、渾身の一撃を放ったんだ!
「ホーリー・フレア!」
聖なる光を帯びた巨大な炎の塊が、ロックトロールの頭を直撃して、再生する間もなく、あいつを完全に消滅させたんだ! あの時は本当に、自分の力がどれほどのものか、初めて実感できた瞬間だった。
この戦いで、勇者としての自信と自覚がすごく湧いてきたんだ。魔王復活って、本当に大きな使命だけど、俺ならやれるんじゃないかって。
ミナト、お前と再会するまでに、俺はもっともっと強くなるからな。お前も、そっちで頑張ってくれよ。
いつかまた、肩を並べて戦おうぜ!
じゃあな!
コウキより』
ミナトはコウキからの手紙を読み終えて、親友が無事でいること、そして順調に勇者としての道を歩んでいることに安堵した。
(それにしても、コウキの魔法の適性は羨ましいくらいだな。四大属性に加え、光と聖属性とは……。しかも、もう上級魔法を会得しているとは……)
ミナトは、コウキの驚異的な成長ぶりに感嘆した。
自分との武術の高め合いも、決して無駄にはならなかったのだ。
王都から二月となると、ちょうど今頃はアストロム王国に到着している頃だろうか。
そのようなことを考えていると、背後から聞き慣れた声がした。
「おーい、ミナトー?」
シスカの声だ。どうやら、ミナトが手紙を読んでいる間に、シスカ、セイラ、クレイグの全員がギルドに集まったらしい。
「すまない。コウキから手紙が届いていたらしく、それを読んでたんだ」
ミナトがそう言うと、セイラが目を輝かせた。
「コウキさんって、昨日言ってた勇者様のことですよね? なんて書いてあったんですか?」
セイラの問いに、ミナトは笑って答えた。
「ただの経過報告みたいなものだよ。今はアストロム王国の方にいるみたいだ」
「アストロム王国ですか! 魔法学や魔道具などでとても栄えている国だって聞いたことがあります! いつか行ってみたいんですよね!」
セイラは目を輝かせながら語った。
やはり杖を持つ魔法使いともなると、そういった情報には興味が湧くのだろう。
「さあ、話はそのくらいにして、依頼を受けましょう!」
シスカがそう言って、リビアのいるカウンターへと向かった。
ミナトたちもそれに続いた。
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