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異端魔力の召喚勇者 ~魔法の使えない勇者は冒険者の道を歩む~  作者: 水辺 京
第二章 Sランクへの道のり 前編

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040 ミナトの告白

 リビアの説明を聞き終え、ミナトたちはギルドを後にした。


「拠点か……いつか構えられたらいいな」


 ミナトが呟くと、シスカが頷いた。


「そうね。そのためには、依頼をこなしてランク上げをしつつ、パーティ資金も集めないとね」


 シスカの言葉に、ミナトも同意する。

 早速次の依頼を受けようかという話になったが、前の依頼も終わったばかりだし、グリムロックからの移動もあった。


「今日はもう遅いですし、依頼はまた後日にしませんか?」


 セイラが少し疲れた様子で提案すると、ミナトとシスカも納得した。


「そうね。じゃあ、代わりに今夜はセイラとクレイグの歓迎会と、零閃の狼煙の結成祝いをしましょう!」


 シスカの提案に、皆が同意した。

 一度解散し、夕方、中央通りにある酒場に集合することにする。


「クレイグ、宿はどこにするんだ? まだ決まってないなら、俺が泊まってる宿屋を紹介しようか?」


 ミナトがクレイグに尋ねると、クレイグは少し困ったような顔をした。


「いえ、まだ決めていません。実は王都は小さい頃に何回か来た程度で、土地勘があまりありません。もしよろしければ、ミナトさんの宿屋を紹介していただけると助かります」


 ミナトはクレイグを連れて、自身が泊まっている宿屋へと向かった。

 宿の主人に事情を説明し、クレイグの宿泊の手続きを済ませる。

 お互い部屋に荷物を置いた後、ミナトはクレイグに王都の町案内を提案した。


「まだ時間もあるし、夕食まで少し町を案内しようか? グリムロックとはまた違った雰囲気の町だから、面白いと思うぞ」


「はい! ぜひお願いします!」


 クレイグは目を輝かせた。二人は町を歩きながら、他愛もない話をした。

 グリムロックの町の様子や、ドワーフの生活、クレイグが鍛冶に興味を持ったきっかけなど、様々な話を聞くうちに、ミナトはクレイグの人柄をより深く知ることができた。


 クレイグもまた、ミナトの武術のことや、そして魔法が使えないのに強くなるために努力していることに、感銘を受けているようだった。

 互いのことを語り合う中で、二人の間には確かな友情が芽生え、絆が深まっていく。


 そして、夕方になり、二人は中央通りの酒場へと向かった。店の前には、すでにセイラとシスカが待っていた。


「すまない、待たせた」


 ミナトが声をかけると、シスカはにこやかに言った。


「あら、二人とも一緒だったのね。もしかして、デート?」


 シスカのからかいに、ミナトは少し顔を赤くする。


「まさか! クレイグに町を案内していただけだよ」


 ミナトが慌てて否定すると、セイラがくすくすと笑った。


「ふふ、でも、ミナトさんとクレイグさんが一緒にいると、なんだか兄弟みたいですね」


 セイラの言葉に、ミナトとクレイグは顔を見合わせ、照れくさそうに笑った。


「じゃあ、とりあえず中に入りましょうか!」


 シスカがそう言い、酒場の扉を開けた。

 賑やかな喧騒と、香ばしい料理の匂いが彼らを包み込む。

 新たな仲間との、初めての宴が始まろうとしていた。


 美味しい料理を堪能しながら、四人は互いのことやこれからのパーティーのことについて語り合った。

 グリムロックでのダンジョン探索の興奮が冷めやらぬ中、和やかな雰囲気が食卓を包む。


 しかし、ミナトの心の中には、ずっと打ち明けられずにいた大きな秘密があった。

 パーティーを結成する以上、このままごまかしたりしたくなかったのだ。


 ミナトは一口、水を飲み干すと、真剣な顔になった。

 その表情に、シスカ、セイラ、クレイグも、自然と会話を止めてミナトに注目する。


「みんなに、話しておきたいことがある」


 ミナトはそう切り出すと、今まで混乱を避けるためあえて話さなかった自身のことを、赤裸々に語り始めた。


 自分が異世界から来たこと、そして、もう一人の勇者である親友コウキと共に召喚されたこと。そして、この世界に迫る、三年後の魔王復活の危機。


 ある意味、国家機密とも言えるその話に、三人は息を呑んだ。特段、国王からの口止めはされていなかったが、公にするべきではないだろう。


「その上で、みんなに力を借りたい。もう一人の勇者、俺の親友と共に戦えるように、俺はもっと強くなりたいんだ」


 ミナトがそう言い終えると、束の間の沈黙が訪れた。

 酒場の喧騒だけが、遠くで聞こえる。


 最初に口を開いたのはシスカだった。彼女の瞳には、真剣な光が宿っている。


「魔王復活ね……たしかに公にはしない方がいいと思うわ。国王も公表のタイミングを計っているのでしょう。それと、力を貸すもなにも、魔王が復活してしまうと、人類存続の危機になるわよ。それは必然的に、私たちも手を取り合って強くならなければならないわ」


 シスカはそう言うと、力強く続けた。


「それに、もともと私もSランク……いいえ、王都の最強冒険者であるルナ=ノクトを越えるほどに強くなるつもりだったから、目指すところは変わらないわ。むしろ、目標がより明確になっただけよ」


 セイラもそれに頷き、静かに語った。


「私も、大切な人を守れるように強くなりたいと思い、冒険者になりました。もし魔王が復活して、その時、私の力不足で守りたいものが守れないなんていうのは嫌です。私も、ミナトさん、シスカさん、クレイグさんのように強くなりたい。私もついていきます!」


 セイラの言葉には、臆病だった彼女からは想像できないほどの強い決意が込められていた。


 そしてクレイグもまた、拳を握りしめ、熱い眼差しでミナトを見た。


「私もまた、あのクリスタルゴーレムを倒すほどに強くなると誓いました。ギルドマスターの話だと、あの依頼の難易度はSランク相当……つまり私も結局はSランクの境地にたどり着かないといけません。そして、魔王が復活してしまえば、グリムロックの繁栄どころの話ではなくなります。目指した境地の先で、魔王に対抗できうる力をつけられるなら、願ってもないことです。私を、皆さんの力にさせてください!」


 三人の言葉に、ミナトの胸は熱くなった。

 彼らは、自分の個人的な目標だけでなく、人類の危機という大きな目標を共有し、共に戦うことを選んでくれたのだ。

 ミナトは深々と頭を下げた。


「みんな……本当に、ありがとう!」


 その言葉には、感謝と、そして信頼できる仲間を得たことへの、深い喜びが込められていた。

 四人の絆は、この夜、さらに強固なものとなった。

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