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異端魔力の召喚勇者 ~魔法の使えない勇者は冒険者の道を歩む~  作者: 水辺 京
第二章 Sランクへの道のり 前編

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038 新たな装備と絆の証

 食事を終えると、書類の準備や、クレイグの旅支度もあるからまた明日の朝ここに来てくれ、と言われる。

 追加の依頼もあり、新ダンジョンの報告もある。

 それなりに書類の作成は時間がかかるだろう。


 それにクレイグもしばらくは故郷を離れることになる。

 準備や心構えもあるだろう。ミナトたちは食事の礼を言い、ダンジョン探索の疲れもあったので、宿に戻り、休むことにした。


 翌朝、ミナトたちはバルドの屋敷を訪ねた。

 朝早くから、工房からはカンカンと剣を叩く音が響いている。

 玄関に向かうと、奥さんが出迎えてくれた。


「おはようさん。すまないね、亭主と息子はまだ工房にこもっててね。もう少し時間がかかるから、少し中で待ってておくれ」


 客間にてしばらく待っていると、奥から作業着姿のバルドとクレイグが顔を出した。

 二人とも目の下にうっすらと隈ができており、徹夜で作業していたことが伺える。


「すまないな、待たせた」


 バルドはそう言いながらも、その顔には達成感と、どこか誇らしげな笑みが浮かんでいた。

 彼の隣に立つクレイグも、疲労困憊といった様子だが、その瞳は輝いている。


「これ、追加分も含めた依頼の完了書だ。受け取ってくれ」


 バルドはそう言って、羊皮紙の巻物をミナトに手渡した。

 ミナトがそれを受け取ると、バルドは次に、彼の手に持っていた一本の剣を差し出した。


「そして、これはお前さんにだ、ミナト」


 ミナトが「これは?」と尋ねると、バルドは豪快に笑った。


「なに、今までの礼を兼ねた先行投資だ! あんたらには早く強くなってもらって、いつか息子と一緒にクリスタルゴーレムを倒してもらわないとな!」


 そう言いながら、バルドはまばゆい輝きを放つ一本の剣を差し出した。それは、ミナトが欲しがっていた、アダマンタイトの剣だった。

 ミナトは驚きに目を見開く。


 恐る恐るそれを手に取る。

 普段使い慣れている安物の剣と比べると、ずっしりと重たい。

 しかし、握った瞬間から体内の魔力が剣へと吸い込まれるように流れ込んでいるのを感じ取れた。


 不思議と魔力が流れるにつれ、剣が手のひらに吸い付くように馴染むような感覚がある。

 ミナトはゆっくりと鞘から抜いた。その刀身は透き通るような白色で、ミナトの異質な魔力に反応して、まるで自ら発光しているかのように淡く輝いている。


「バルドさん……これは……」


 ミナトは言葉を失った。


「その剣はな、素材にアダマンタイトをふんだんに使っている。剣は重いし、魔力もたくさん吸われる。並の魔力じゃ使いこなせねぇ代物だ。だがクレイグの話からしてお前さんなら問題なく使いこなせると思ってな。特別サービスだぞ」


 バルドはそう言って、にやりと笑った。

 どうやら、バルドは徹夜でこの剣を打ってくれたようだ。

 その心遣いに、ミナトは感謝の言葉しか出てこなかった。


 すると、隣にいたクレイグが、セイラに歩み寄った。


「セイラさんには、これを」


 クレイグが手渡したのは、銀色の鎖に小さな宝石が埋め込まれた、繊細な作りのペンダントだった。


「これは守護の魔法が込められたペンダントです。今回の探索でご一緒して思ったのですが、セイラさんは魔力が非常に高く、魔法による攻撃力が凄まじいです。ただ、防御が少し不得手なように感じました。なので、万が一のとき、このペンダントが自動で魔法障壁を発動してくれます。ただ、一度発動すると魔力を込め直さないといけないので注意してください」


 セイラは驚きと感動の表情でペンダントを受け取った。


「クレイグさん……ありがとうございます!」


 セイラはペンダントを胸に抱きしめた。


 次にクレイグはシスカに向き直った。


「そして、シスカさんにはこれです」


 クレイグが差し出したのは、手首にはめるタイプの、細身のブレスレットだった。

 それは、雷光を思わせるような、独特の文様が刻まれている。


「これは、シスカさんが雷魔法を多用していたので、より体の電導率を高めるブレスレットです。雷をより纏いやすく、そして雷魔法の威力を底上げしてくれるでしょう。ただそのぶん魔力の消費量は少し上がりますので注意してください」


 シスカは目を輝かせ、ブレスレットを受け取った。


「すごい! これがあれば、私の雷魔法がもっと……! ありがとう、クレイグさん!」


 シスカはすぐにブレスレットを腕にはめた。


 バルドは、満足げに三人の様子を見ていた。


「剣は俺が打ったが、ペンダントとブレスレットは息子が作ったんだ。こいつもドワーフの血を継ぐものだ。もの作りに関しちゃ大したものだろう?」


 バルドはそう言って、誇らしげにクレイグの肩を叩いた。


「だが、どれも素材に逸品を使ってるから量産はできねぇ。なくすんじゃねえぞ」


 バルドはそう言って、豪快に笑いながら釘を刺した。


 ミナト、シスカ、セイラの三人は、それぞれの新たな宝具を受け取り、身につけた。

 それらは、単なる道具ではない。グリムロックの町長一家からの、彼らへの信頼と、未来への期待が込められた、かけがえのない贈り物だった。


「ありがとうございます、バルドさん、クレイグさん!」


 三人は心からの感謝を述べた。


 そしてクレイグもまた、バルドに別れの挨拶をする。


「父さん、必ず強くなって戻ってくる!だからそれまで母さんと、この町を、よろしくお願いします!」


 バルドはにやりと笑うが、その瞳は涙をこらえているようにも見える。

 一人息子の旅立ちに複雑な感情が入り乱れているのだろう。


「では、いろいろとお世話になりました」


 ミナト達は各々感謝をこめ、礼を言い、屋敷を後にした。


 四人はひとまず依頼の報告のため、王都に戻ることにした。

 早馬を人数分借り、グリムロックを後にする。

 滞在期間は四日ほどだったが、とても濃い体験となった。

 なにより新たな仲間を迎え入れることができたのは、ミナトにとって大きな一歩である。

 それにギルド規定の人数も満たしたことで、正式にパーティを結成することができる。


「そういえば、パーティを結成するなら名前を決めないとだよな?」


 ミナトがふとリビアの言葉を思い出す。


「そうね。なにか考えとかないとね」


「あの、パーティを組むことと、即席パーティを組むのは、なにか違いがあるのですか?」


 セイラの問いに、シスカは答える。


「まずパーティを組むとメンバーの平均ランクが、パーティランクになるの。即席だと平均ランクの依頼は受けれるけど、パーティランクってものは無いわ。それとパーティを結成すると、ギルドにパーティ名が登録されるから、名前が売れれば指名依頼なんかも入ってくるわ。まあこれがメインかしらね。あと細かいところはリビアさんに聞きましょう」


 シスカの説明に三人はなるほどと頷く。

 たしかに指名依頼というのはパーティ名があってこそ、発生する案件だ。


「それならパーティ名はかなり重要事項ですね。ちなみに他のパーティの方達はどのような名前があるのですか?」


 クレイグの問いに、またシスカが答える。


「有名どころだと、王都の最強冒険者SSランクの『ルナ=ノクト』率いるSランクパーティ『アストラ・エンブレム』かな。あとは女性だけで結成された、Sランクの『アリア=イグニス』が率いるAランクパーティ『炎帝の巫女』なんかもよく聞くわね」


(SSランク冒険者……!)


 思わずその言葉に息を飲む。

 いずれは到達しなければならない領域だ。

 どのような人なのか気になるが、そこまで高ランクだと、なかなか王都にも帰って来れないだろう。


 それよりもパーティ名を考えないといけない。

 なにかしっくりくるものは無いかと考える。


「ライトニング……とか?」


 ミナトがぼそっと呟くと、シスカは反論する。


「それだと私の雷が主体になるじゃない。私はリーダーはやらないわよ。ミナト、あなたがやりなさい」


 まさかの言葉に一同は唖然とする。

 てっきりシスカがリーダーをやるものだと思っていた。


「お、俺がリーダーでいいのか?シスカの方が経験も豊富で適任だと思うが...」


 ミナトはそう言うが、こうゆうのは男がやるものよ、と適当にあしらわれてしまう。

 本人がやりたくないのであれば、仕方がないのでミナトがリーダーという事で決定した。


 改めて自分がリーダーだとして、名前を考えないといけない。なにか無いか考える。


「そうだ!これなんかどうだ!?」


 ミナトは閃いた!この世界における自分の立場、及び魔法が使えないことなどの、状況を踏まえ、命名する。

作品を読んでいただきありがとうございます。


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