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異端魔力の召喚勇者 ~魔法の使えない勇者は冒険者の道を歩む~  作者: 水辺 京
第二章 Sランクへの道のり 前編

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031 新ダンジョンの出現

 ゴーレムの討伐を終え、魔石の回収をする。

 その間、クレイグは広い空間のなかを軽く調査し始めた。

 採掘場として使われていたとはいえ、これほどの広大な空間が自然にできたとは考えにくい。


「これは……!」


 クレイグの声に、ミナトとシスカ、セイラが駆け寄る。

 クレイグが指差す先には、採掘の奥、岩壁に隠されていたかのように、さらに下へと続く階段が口を開けていた。

 その先からは、微かながらも、これまでとは異なる魔力の流れを感じる。


「この奥は……おそらくダンジョンの入り口ね」


 シスカが慎重に階段の先を覗き込みながら言った。


「状況からするに、ギルドに登録されていないダンジョンじゃないかしら。こんな場所に、これほどの規模の空間があるなんて、誰も知らなかったはずよ」


 以前、講習でグレンがダンジョンについて話していたことをミナトは思い出す。

 ダンジョンとは、古代人が自らの財宝などを他のものに奪われないようにするために、建築された人工物であると。


 古代の魔法や知識が使われており、魔物の召喚により侵入者を阻む造りになっている。

 また、死骸などの異物を吸収することで魔力を補い、半永久的に魔法が発動され続けることが可能な仕組みになっているとも言っていた。


(あのゴーレムたちは、このダンジョンの守護者だったのか……?)


 ミナトは、その可能性に思い至った。

 このダンジョンがもし未踏破であれば、そこに眠る財宝や、未知の魔物、そして新たな知識は計り知れない。

 しかし、未知のダンジョンに不用意に踏み込むのは危険だ。


「踏み入れる前に一度報告に戻った方がいいだろう」


 ミナトが提案すると、シスカとセイラも頷いた。クレイグもまた、それが賢明な判断だと同意する。


 四人は、再び来た道をたどり、グリムロックの町へと急いだ。

 時刻は日が沈みかける頃だった。


 町へ戻ると、四人はまっすぐバルドの屋敷へと向かった。

 バルドはまた工房にこもっているようだったが、奥さんがすぐに呼んでくれた。


「おお、帰ってきたか! 無事だったかい? ゴーレムの討伐は……」


 バルドは、作業服姿のまま、期待と不安の入り混じった顔で尋ねた。

 ミナトは、アイアンゴーレムの魔石と、ストーンゴーレムの魔石をテーブルに置き、ことの顛末を話した。

 アイアンゴーレムとストーンゴーレムを討伐したこと、そして、採掘場の奥に未登録のダンジョンを発見したことを。


 バルドは、ミナトたちの報告に目を丸くし、驚きを隠せない様子だった。


「な、なんだと!? 坑道の奥に、そんなものが……!? まさか、このグリムロックの地下に、未登録のダンジョンが眠っていたとは……!」


 バルドは興奮と困惑の入り混じった表情で、ダンジョンの入り口の地図を広げた。


「冒険者さんたち、無理は承知で頼みたい。できる限りでいい。そのダンジョンの中の調査を頼めないだろうか? もし、そこに貴重な鉱石や、町の発展に繋がる何かがあれば……」


 バルドはそう言って、深々と頭を下げた。

 それは、新たな追加依頼だった。

 ミナト、シスカ、セイラの三人は顔を見合わせる。

 未登録のダンジョンは危険だが、その分、大きな発見や報酬に繋がる可能性も秘めている。


「承知いたしました、バルドさん。その依頼、お受けします」


 ミナトが代表して答えると、バルドは安堵の息を漏らした。


「おお、本当に助かる! 準備は万全にして、明日向かってくれれば構わない。無理はしないでくれよ」


 バルドの言葉に、クレイグが一歩前に出た。


「父さん、私もまた、皆さんと同行させてもらってもよろしいですか? 」


 クレイグの申し出に、シスカが笑顔で頷いた。


「むしろお願いしたいくらいよ。あなたの土地勘と魔法は頼りになるわ」


 ミナトもセイラも同意する。新たな依頼、そして四人でのダンジョン探索だ。


「うむ、そうか。頼んだぞ、クレイグ」


 バルドはクレイグにそう言うと、豪快に笑った。


「よし! 今夜はゴーレムの討伐依頼のお礼も兼ねて、うちで夕飯を用意するから、是非きてくれないか? 私の妻の手料理は絶品だぞ!」


 思いがけない誘いに、三人は喜んでご馳走になることにした。


 バルドの家は、温かい手料理の匂いで満ちていた。

 食卓には、奥さんが腕を振るった、素朴ながらも栄養満点の料理が並ぶ。

 バルド、奥さん、クレイグ、そしてミナトたちの6人は食卓を囲み、賑やかな夕食を楽しんだ。


 たわいもない会話をしたり、冒険者業について尋ねられたり、町の工房や鍛冶について話したりする。

 ミナトは、この町の温かさに触れ、心が和むのを感じた。

 ふと、ミナトは武器店で見たアダマンタイトの剣のことを思い出し、バルドに話を振った。


「バルドさん、昨日、武器店でアダマンタイトの剣を見たんですが、あれはすごいですね。魔力が自然と剣に流れるような感覚がありました」


 ミナトが自身の能力についても話すと、バルドは目を輝かせた。


「ほう、アダマンタイトの剣か! あれに目を付けるとはな。アダマンタイトは材料が希少で高いから、武器としての値段も上がってしまうんだ。それに、使い手を選ぶ素材でな。並の魔力では、剣に魔力が吸い取られてしまうばかりで、まともに扱えん」


 バルドはそう説明すると同時に、ミナトの体質とそれを克服する努力に感心した。


「だが、お前さんのように、魔力はあるのに魔法を使えないという、特異体質には、最高の相棒になるだろうな。もし、明日のダンジョンでアダマンタイトが手に入ったなら、そいつで武器を作ってやる。なに追加の依頼も快く受けてもらってるんだ、物さえあればお安い御用だ!」


 バルドの言葉に、ミナトの胸が熱くなった。

 ダンジョンが単なる依頼ではなく、自身の可能性を広げることになるかもしれない。

 アダマンタイトの剣。それは、彼がこの世界でさらなる高みを目指すための、新たな目標となるだろう。


 その後も食事を楽しみ、町長一家に心から感謝の意を伝え、三人は宿へと戻った。

 明日のダンジョン探索に備え、彼らは深い眠りについた。

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