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異端魔力の召喚勇者 ~魔法の使えない勇者は冒険者の道を歩む~  作者: 水辺 京
第二章 Sランクへの道のり 前編

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030 採掘場の激闘

 シスカの合図と共に、ゴーレム討伐作戦が始まった。


「ミナト、セイラ、準備はいいわね!」


 シスカが叫ぶと同時に、彼女は雷光を纏った身体で、一番手前のストーンゴーレムへと一直線に飛び出した。

 その目的は明確だ。ストーンゴーレムの注意を引きつけ、奥に鎮座するアイアンゴーレムを孤立させる。


 バチバチッ!


 シスカの動きは電光石火だ。

 雷魔法による加速で、ストーンゴーレムの鈍重な動きを嘲笑うかのように、その周囲を駆け巡る。

 ストーンゴーレムは、侵入者であるシスカを捉えようと、その巨体をゆっくりと旋回させるが、彼女のスピードには全くついていけない。


 シスカの意図を正確に読み取ったクレイグが、次に動いた。

 彼はアイアンゴーレムへと向かって、力強く地面を蹴る。


「アイアンゴーレムの相手は俺だ!」


 クレイグはそう叫ぶと、両手に魔力を集中させた。彼の掌から、赤々と燃える炎と、硬質な岩石の魔力が同時に溢れ出す。


「フレイム・ロック!」


 火属性と土属性の複合魔法だ。

 クレイグが両手を突き出すと、炎を纏った岩石の塊が、アイアンゴーレムの巨体へと猛然と叩きつけられた。


 ドォンッ! グガァンッ!


 アイアンゴーレムの胸部が大きく凹み、鈍い金属音が響き渡る。

 アイアンゴーレムは、その一撃に驚いたかのように、クレイグの方へとその巨体を向けた。

 その目は、完全にクレイグを獲物として捉えている。


「やるじゃない! ミナト、セイラ、ストーンゴーレムをお願い!」


 シスカの声が響く。

 アイアンゴーレムの注意が完全にクレイグの方へ向かったのを確認し、ミナトとセイラは残りのストーンゴーレムへと駆け寄った。


 ミナトが向かったのは、クレイグとアイアンゴーレムの激しい攻防から最も遠い位置にいるストーンゴーレムだ。


(ストーンゴーレムは剣による斬撃は効果が薄い。ならば、体術による打撃で、核を直接狙う!)


 ストーンゴーレムが両手を振りかざし、地響きを立てながらミナトへと叩きつけてきた。

 その動きは、とても遅い。ミナトは飛速を使うまでもなく、最小限の体捌きで攻撃を簡単に交わす。


 ドォンッ!


 ストーンゴーレムの拳が地面を叩きつけ、石畳が砕け散る。

 その瞬間、ミナトは懐に潜り込んだ。

 彼の目は、ストーンゴーレムの胸部に埋め込まれた、淡く光る核を正確に捉えている。


 ミナトは、魔力を右拳に集中させ、核へと渾身の一打を打ち込んだ。


 バキィンッ!


 硬質な音が響き渡る。

 ミナトの拳が核を捉えた瞬間、ストーンゴーレムの巨体が大きく揺らぎ、その表面に亀裂が走った。

 核は粉々に砕け散り、ストーンゴーレムはまるで砂の城のように音を立てて崩壊した。


「よし!」


 ミナトは息を整え、アイアンゴーレムへと視線を向けた。


 一方、セイラはミナトとは別のストーンゴーレムと対峙していた。彼女は距離を取り、杖を構える。


(初めての討伐依頼……でも、私ならできる!)


 シスカの励ましの言葉が脳裏に蘇る。

 セイラは深呼吸し、体内の魔力を水と風の属性へと変換する。


「アクア・サイクロン!」


 セイラが呪文を唱えると、杖の先から放たれた水と風の竜巻が、ストーンゴーレムへと猛然と襲いかかった。

 それは、以前講習で見せた時よりも、はるかに威力が増している。

 セイラ自身も、その出力に驚きを隠せない。


 ゴォォォォ! バリバリッ!


 竜巻はストーンゴーレムの巨体を包み込み、その体を激しく削り取っていく。

 硬質な石の体が、まるで紙のように引き裂かれ、核が露出する。

 そして、竜巻が核を直撃し、粉々に砕け散った。


 あまりにもあっけない討伐だった。

 ストーンゴーレムは、体もろとも核が破壊され、完全に崩壊した。


「え……? 私、今、やった……?」


 セイラは呆然と立ち尽くした。その威力に、彼女自身が一番驚いていた。


 そして、シスカはすでに自身の担当するストーンゴーレムの討伐を終えていた。

 彼女は持ち前の雷魔法による圧倒的なスピードでストーンゴーレムの周囲を駆け巡り、相手に動く隙も与えずに、その剣で核を一閃したようだ。


「ミナト、セイラ、終わったわよ!」


 シスカの声が響く。

 三人は、それぞれの方法でストーンゴーレムを迅速に片付けた。

 彼らは確実に、この短期間で実力を高め、パーティーとしての連携も洗練されていた。


 ストーンゴーレムも片付き、三人はクレイグのもとへ向かった。

 クレイグはアイアンゴーレムの猛攻を受け止めながらも、まだ余裕の表情を浮かべている。

 彼の体には、土属性の魔力が薄く纏われ、アイアンゴーレムの打撃をいなしているようだった。

 おそらく土属性の自己強化魔法だろう。


「もう片付いたのですか。さすがです、お三方」


 クレイグが感心したように言う。


「ええ。あとはアイアンゴーレムのみよ。みんなで連携して畳み掛けるわよ!」


 シスカが合図すると、セイラが再び杖を構えた。


「アクア・サイクロン!」


 セイラから放たれた水と風の竜巻が、アイアンゴーレムの巨体へと襲いかかる。アイアンゴーレムは両腕で胸の核を守るような動きをするが、アクア・サイクロンのあまりの威力に、その巨体が大きく揺らぎ、体勢がゆらぐ。


 その隙をミナトは見逃さなかった。飛速でアイアンゴーレムへと駆け寄る。彼が狙うのは、アイアンゴーレムの重心だ。アイアンゴーレムの側面へと回り込み、その脚の関節に渾身の打撃を叩き込んだ。


 ドォンッ!


 アイアンゴーレムは完全に体勢を崩し、その巨体がゆっくりと、しかし確実にひっくり返る。地面に叩きつけられた衝撃で、採掘場全体が揺れた。


 アイアンゴーレムはひっくり返ったものの、核はまだ腕で守られていて視認できない。


「任せろ!」


 クレイグは素早く反応し、両手に土属性の魔力を集中させた。


「ロック・バースト!」


 クレイグが腕を振り下ろすと、地面から鋭い岩の槍が突き出し、アイアンゴーレムの腕を弾き飛ばした。核が露出し、青白い光を放っている。


 その隙を逃さぬとばかりに、シスカが雷光のごとき速さで飛び込んだ。彼女の剣に雷が集中し、まるで雷そのものが剣になったかのように輝く。


「ライトニング・ブレード!」


 シスカが渾身の力を込めて剣を突き立てた。

 剣は核を正確に捉え、雷の魔力が核の内部へと流れ込む。


 バキィンッ!


 核は粉々に砕け散り、アイアンゴーレムは鈍い音を立てて崩壊した。

 その巨体は、やがてただの鉄の塊へと変わっていく。


「はぁ...はぁ...」


 四人は息を切らしながらも難なくゴーレム討伐をやってのけた。


「や...やった...やりました!」


 セイラが嬉しそうに叫ぶ。


「セイラ、すごくいい魔法だったわ!ミナトもタイミングバッチリよ!それにクレイグさん、機転を効かせてくれて助かったわ!」


 シスカは興奮しながらも、冷静にみんなの健闘をたたえる。4人の連携は完璧なまでに息が合っていた。


「皆さんの実力あってこそですよ。私はサポートしたまでです。ともあれゴーレム討伐有難うございます。」


「いえ、みんなの連携の結果です!無事依頼達成できてよかったです!」


 クレイグの言葉にミナトもまた喜びを露にする。


 想定よりも呆気なく終わってしまったが、彼らの実力がすでに、Cランクの範疇には収まらない程に成長している証だ。

 ともあれアイアンゴーレム討伐依頼、完了だ。

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― 新着の感想 ―
拝読いたしました! 派手さではなく“積み重ねの丁寧さ”がこの作品の魅力ですね! 召喚されたミナトが仲間たちと出会い、少しずつ冒険者としての経験を重ねていく過程が、落ち着いた筆致で描かれています。 …
感想一覧
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