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異端魔力の召喚勇者 ~魔法の使えない勇者は冒険者の道を歩む~  作者: 水辺 京
第二章 Sランクへの道のり 前編

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024 Dランク試験 オーガ

 王都を出て、慣れた道を進み、『古き廃墟の遺跡』へと急いだ。

 全身に刻付を薄く纏わせ、その状態を維持しながら進む。

 時折、飛速を使って加速し、移動時間を短縮する。

 もはや刻付の維持は、彼にとって呼吸をするのと同じくらい自然な感覚になりつつあった。


 遺跡の入り口に到着すると、ミナトは躊躇なく内部へと足を踏み入れた。

 ひんやりとした空気と湿った土の匂いが、彼を包み込む。

 松明の光が届かない闇の中を、感覚研ぎ澄ませながら進んでいく。


 やがて、地下へと続く階段を見つけた。


 地下1階に降りると、以前Eランク試験で戦ったワームやスライムが姿を現した。

 しかし、今のミナトにとっては、もはや相手にならない。

 拳や剣で、一撃、あるいは数撃で確実に仕留めていく。

 魔石を回収し、迷うことなく地下2階、そして地下3階へと進んだ。


 地下3階では、ゴブリンたちがミナトを待ち構えていた。

 彼らは粗末な武器を手に襲いかかってくるが、ミナトの動きは彼らの予測を遥かに超えている。

 飛速で間合いを詰め、剣で一閃。

 あるいは素早い体捌きで攻撃をいなし、武術の連撃を叩き込む。

 ゴブリンたちは、あっという間に地に伏せ、ミナトは彼らの魔石を回収し次へと向かう。


 ここまでは、もはや肩慣らしに過ぎなかった。彼の目的は、さらにその下、地下10層だ。


 地下4階に足を踏み入れると、空気はさらに冷たく、魔物の気配も一層濃くなった。

 ここから先はまだ来たことがない。


(油断は禁物だな。十分に注意しよう...)


 最初にミナトの前に現れたのは、弓を構えたゴブリンアーチャーだった。

 素早い動きで距離を取り、毒の矢を放ってくる。

 しかし、ミナトは矢を回避し、一瞬で距離を詰めて剣を振るった。

 ゴブリンアーチャーは、ミナトの剣の前にあっけなく倒れ伏す。


 次に現れたのは、体格が一回り大きく、より頑丈な皮膚を持つホブゴブリンだ。

 彼らは棍棒を振り回し、力任せに襲いかかってくる。

 ミナトは刻付を纏った拳でその棍棒を受け止め、そのまま流れるように懐に潜り込み、力を込め、みぞおちに強烈な中段突きを放つ。

 ホブゴブリンの頑丈な体も、ミナトの強化された拳の前には無力だった。


 他にも、地面に潜み、不意打ちを仕掛けてくるアースワームや、複数の属性魔法を放ってくるマジックゴーレムなどが現れた。

 しかし、ミナトは冷静にそれぞれの特性を見極め、飛速による回避、剣による攻撃、そして刻付による防御を使い分け、効率よく撃破していった。


 魔物の種類が増え、攻撃も多彩になったが、ミナトの動きは淀みない。

 彼の武術と魔力纏いの融合は、どんな状況にも対応できる汎用性を生み出していた。


 地下7階以降は、さらに魔物の質が上がった。


 現れたのは、全身が骨で、武器を構えてるスケルトン。

 やつらは数こそ多いものの、ミナトの魔力を込めた拳でいとも簡単に粉砕する。


 時には、複数のスケルトン種が連携して襲いかかってくることもあった。

 剣を持ったスケルトンソルジャーが前衛で突進し、後方からスケルトンアーチャーが矢を放ち、さらに奥からはスケルトンウィザードが魔法を放ってくる。


 だがミナトは飛速で魔法と矢を回避し、距離を詰め、確実に一体ずつ倒していく。

 その時ふと思ったのが、ミナトには範囲攻撃や、遠距離攻撃がないため、どうしても敵の目の前に体を運ばなくてはならない。

 雑魚敵相手にはどうも効率が悪く感じる。


(魔法なしでどうにかできないものだろうか......。今度グレンさんに相談してみよう)


 ミナトは自分の戦闘の欠点を冷静に分析し、強くなるための意識を常に心がけている。


 階層が深まるにつれて、魔物の数も増え、連携も巧妙になってきたが、ミナトの動きは衰えることを知らない。

 彼の魔力は底知れず、刻付を常時維持し、飛速や剣を多用しても、疲労を感じることはなかった。


 そして、ついにミナトは地下10層へと続く階段にたどり着いた。

 薄暗い通路の先には、巨大な空間が広がっているのが見て取れる。

 リビアの言葉を思い出す。


(ここが地下10層……。そして、ここを越えれば、魔物の強さが格段に上がる。11層には進むな、か)


 ミナトは大きく息を吸い込み、全身に刻付の密度を高めた。

 ここからが、Dランク昇格試験の本番だ。


 地下10層への最後の階段を下りると、ひんやりとした空気が肌を刺した。

 広大な空間の中央に、それはいた。


 体長は3メートルを超え、全身を分厚い筋肉と岩のような皮膚で覆われた巨体。鈍く光る棍棒を肩に担ぎ、その顔には醜悪な牙が覗く。

 Dランク昇格試験の討伐対象、オーガだ。

 その存在感は、これまでの魔物とは一線を画していた。


「グオォォォォ!」


 ミナトの存在に気づいたオーガが、地響きを立てるような咆哮を上げた。

 その巨体がゆっくりと動き出し、棍棒を構える。


(動きは鈍いが、一撃が重い……! そして、あの皮膚の硬さ……)


 ミナトは全身に刻付を最大限に集中させ、腰の剣に手をかけた。

 オーガが棍棒を振り上げる。

 その風圧だけで、空気が震える。


 ドォンッ!


 棍棒が振り下ろされる。

 ミナトは迷わず飛速を発動させ、その場から一瞬で消えた。

 棍棒が叩きつけられた地面は、クレーターのように大きく凹む。


「遅い!」


 ミナトはオーガの背後へと回り込み、剣でその分厚い皮膚を斬りつけた。


 ガキンッ!


 剣は確かにオーガの皮膚を捉えたが、まるで岩を斬ったかのような手応え。

 僅かに傷が入ったものの、致命傷にはほど遠い。

 オーガは痛みを感じた様子もなく、その巨体をねじり、ミナトへと棍棒を横薙ぎに振り払ってきた。


(速い……!?)


 鈍重だと思っていたオーガの動きに、ミナトは驚いた。

 その一撃は、飛速でなければかわしきれない。

 ミナトは再び飛速で距離を取り、オーガの攻撃範囲から脱する。


「グオォォォ!」


 オーガは執拗にミナトを追い回す。

 その巨体からは想像できないほどの粘り強さだ。

 ミナトは刻付と飛速を駆使し、オーガの攻撃を回避しながら、その隙を突いて斬撃を叩き込む。


 しかし、どの攻撃も決定打にはならない。

 オーガの皮膚はあまりにも頑丈で、ミナトの剣は浅い傷しかつけられないのだ。


(剣での斬撃は、やはり厳しいか……。ならば、一点に集中した打撃で、内部から崩すしかない!)


 ミナトは剣を鞘に収め、素手での戦闘に切り替えた。

 オーガの棍棒が振り下ろされる直前、ミナトは飛速でオーガの懐に潜り込み、その巨大な脚の関節へと渾身の蹴りを叩き込んだ。


 ドスッ!


 オーガの巨体がわずかに揺らぐ。

 ミナトは間髪入れずに、武術の連撃を叩き込む。

 刻付を纏った拳と蹴りが、オーガの脚の関節や、わずかな隙間を狙って連続で放たれる。


 ズガンッ! バキッ!


 オーガは痛みを感じたのか、苦しげな咆哮を上げた。

 しかし、その巨体を揺らし、ミナトを叩き潰そうと腕を振り回す。ミナトはそれを飛速で回避し、再びオーガの懐へ。


(この巨体、重心を崩せれば……!)


 ミナトはオーガの足元に滑り込み、その片足に全身の体重と魔力を乗せた回し蹴りを叩き込んだ。


 グオッ!?


 オーガの巨体が大きく傾ぐ。

 ミナトはさらに、その傾いだ体勢を利用し、背後へと回り込む。

 そして、オーガの背中、脊椎のあたりに、掌底を連続で打ち込んだ。


 ドォン! ドォン! ドォン!


 オーガは苦悶の声を上げ、ついに片膝をついた。

 その隙をミナトは見逃さない。


(ここで決める!)


 ミナトは、オーガの頭部へと狙いを定めた。

 刻付により強化された跳躍力と、飛速による瞬間加速を組み合わせる。地面を強く蹴り、一気にオーガの頭上へと舞い上がる。


「終わりだ!」


 空中から、ミナトは魔力を右足に集中させ、オーガの頭部へと渾身の蹴りを叩き込んだ。それは、ワイルドボアを屠ったときのような、凄まじい一撃だった。


 ドォンッ!


 その一撃は凄まじい威力を帯びていた。オーガの首は不自然な角度に曲がり、地面にはヒビが入っていた。


「はぁ...はぁ...」


 ミナトは見事オーガの討伐に成功する。興奮覚めやまぬなか、魔石を回収する。

 Dランクの昇格試験完了だ。

作品を読んでいただきありがとうございます。


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