023 依頼の日々と試験の開始
Dランクのワイルドボア討伐依頼を終え、報酬を受け取ったミナトとシスカは、早速次の依頼について相談を始めた。
「さて、次はどの依頼にする?」
シスカが依頼掲示板を見上げながら尋ねる。
リビアも二人の前に立ち、いくつかおすすめの依頼を教えてくれた。
しかし、ワイルドボアの群れを掃討したばかりのミナトにとって、どの依頼も何だか味気なく見えてしまう。
(もっと刺激的な依頼はないものか……。早くランクを上げたいものだな)
ミナトが内心でそう思っていると、リビアがその考えを察したかのように口を開いた。
「ミナトさん、早くランクを上げたいのであれば、難易度の高い依頼ばかりを狙うよりも、数をこなした方が実績を得やすく、よりランクアップもしやすいですよ」
リビアのアドバイスに、ミナトはハッとした。
確かに、高難易度の依頼は報酬もポイントも高いが、それだけ時間もかかる。
数をこなして確実にポイントを稼ぐ方が、効率が良いのかもしれない。
「なるほど……。じゃあ、リビアさん。素材採取や討伐依頼を効率よく回れるような依頼を紹介してもらえませんか? 」
ミナトがそう言うと、リビアは笑顔で頷いた。
「かしこまりました! 数をこなすのであれば、王都近郊の依頼が移動時間も短縮できて良いでしょう。EランクとDランクの依頼の中から、いくつかおすすめをご紹介しますね」
リビアは手際よく掲示板から依頼書を数枚取り出した。
王都近郊で済む、小規模な討伐や採取依頼が中心だ。
ミナトはそれらを確認し、合計で7つの依頼を受けることにした。
「ミナトのランクが早く上がるなら、それはいいことだわ。私も手伝うわよ」
シスカも快く協力してくれることになった。
二人はリビアに礼を言い、新たな依頼書を手にギルドを後にした。
それから一週間が過ぎた。
ミナトとシスカは、受けた7つの依頼全てを達成した。
王都近郊の森や丘陵地帯を駆け巡り、低級魔物を掃討し、指定された素材を採取する日々。
刻付や飛速を常に意識しながらの移動と戦闘は、ミナトにとって最高の鍛錬となった。
シスカもまた、ミナトの戦い方を間近で見ながら、自身の魔力纏いの感覚を掴み、その実力を着実に高めていった。
二人の連携は日を追うごとに洗練され、もはやEランクやDランクの魔物では、二人を足止めすることはできないほどの実力をつけた。
全ての依頼を終え、ミナトとシスカは再び冒険者ギルドのカウンターへと向かっていた。
「リビアさん、ただいま戻りました。依頼達成の報告です」
ミナトがそう言って、受けた7つの依頼書をリビアに差し出した。シスカも隣で頷く。
リビアは依頼書を受け取ると、その内容を一枚一枚確認し、驚きと喜びの表情を浮かべた。
「お帰りなさいませ、ミナトさん、シスカさん! こんなにたくさんの依頼を、たった一週間で全て達成されたのですね! しかも、Dランクの依頼も含まれていますし……お見事です!」
リビアは感嘆の声を上げた。
彼女の言葉に、ミナトとシスカは互いに顔を見合わせ、満足げに笑みを浮かべた。
「そして、ミナトさん!」
リビアは興奮した面持ちで、ミナトのギルドカードを手に取った。
「今回の依頼達成で獲得されたギルドポイントは、Eランク昇格試験の時を遥かに上回っています。このポイントで、Dランクへの昇格試験を受ける資格を、見事得られました!」
ミナトの胸に、確かな高揚感が込み上げた。
Eランクに上がって間もないが、早くも次のランクアップの機会が訪れたのだ。
リビアの言葉通り、数をこなすことで着実に実績を積み上げることができた。
「Dランクへの昇格試験、すぐにでも受けたいのですが、内容は?」
ミナトが前のめりで尋ねると、リビアは笑顔で頷いた。
「はい、承知いたしました。試験内容を説明しますね」
リビアは羊皮紙を取り出し、読み上げた。
「基本的にランク昇格試験は、一人で受けることが条件となります。試験内容は、以前Eランク試験で行かれた『古き廃墟の遺跡』の地下10層に出現する、オーガ一頭の討伐です。討伐の証しとして、また魔石を持ち帰っていただきます」
オーガ。ミナトはグレンの講習で、その存在を聞いたことがあった。巨大な体躯と絶大な破壊力を持つ魔物だ。
「地下10層を越えると、魔物の強さが格段に上がります。けして、地下11層へは進まないでください。オーガは地下10層までを統べる、ボス的な扱いとして存在しますので、十分にご注意ください。オーガは攻撃力や防御力は高いですが、その分動きが鈍重なので、ミナトさんの動きなら問題ないかと思います」
リビアはそう付け加えた。
一人での挑戦、ワイルドボアの依頼を受けてから、十日ほどたつが、その間はシスカと常に二人で行動していた。
単独でのDランク試験は、新たな試練となるだろう。
「承知しました。すぐにでも向かいます」
時刻もまだ昼前だったため、ミナトは迷いなく答えた。
その言葉に、隣で聞いていたシスカが少し心配そうな顔をする。
「ミナト、一人で大丈夫? 無理はしないでね」
シスカの言葉に、ミナトはにやりと笑った。
「ああ、心配するな。さくっと終わらせてくるさ。シスカこそ、掴みかけている魔力纏いの鍛練を怠るなよ」
ミナトはリビアに礼を言い、新たな依頼書を手に、ギルドを後にした。
彼の瞳には、新たな挑戦への強い意志が宿っていた。
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