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異端魔力の召喚勇者 ~魔法の使えない勇者は冒険者の道を歩む~  作者: 水辺 京
第一章 冒険者講習

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013 初のランクアップ試験

「リビアさん、今日も依頼を受けにきました」


「こんにちわ、ミナトさん。今日も頑張ってくださいね」


 リビアは笑顔で応じ、Fランクの依頼リストを差し出した。

 ミナトは昨日より多めに、素材採取の依頼を五つ選んだ。

 王都近郊の森や丘陵地帯で、薬草や鉱石、などを集める内容だ。


「このあたりは、比較的安全ですが、油断は禁物ですよ。特に、最近は『ゴブリン』の目撃情報が増えていますので、お気をつけください」


 リビアは地図を広げながら、レッサーラットよりも少し手強い魔物であるゴブリンについて説明した。


「ありがとうございます。気をつけます」


 ミナトは礼を言い、新たな依頼の地図を手に、再び王都の門をくぐった。


 王都の外に出ると、ミナトはすぐに全身に魔力纏い・刻付を発動させた。

 まだ意識しなければ維持できないが、グレンの言葉を思い出し、戦闘時以外でも常に刻付を纏うことを意識する。


 王都近郊の森や丘陵地帯を巡り、指定された素材を手際よく採取していった。

 刻付を維持しながらの活動は、魔力の消費が激しく、集中力も要したが、その分、身体の隅々まで魔力が馴染んでいく感覚があった。


 いくつかの採取場所を回った後、森の奥でガサガサと草が揺れる音がした。

 警戒して身構えると、現れたのは三匹のレッサーラットだった。


(よし、いい練習になる)


 ミナトは迷わず、魔力纏い・刻付を維持したまま、レッサーラットへと踏み込んだ。

 一瞬で間合いを詰め、放たれた右拳が一体のレッサーラットを捉える。


 ドォンッ!


 凄まじい衝撃と共に、レッサーラットは一撃で吹き飛んだ。

 間髪いれずに残りの二匹にも間合いを詰め、拳を繰り出す。

 正確な打撃ですべてのレッサーラットを倒す。


 ミナトは以前より、スピードもパワーも増していた。

 なにより、魔物と対峙したときの身のこなしや、判断力が戦闘と共に磨かれている。


 魔石を回収し、ミナトは再び刻付の維持に意識を集中しながら、残りの採取を続けた。


 全ての採取依頼を終え、ミナトはギルドへと戻った。


「あら、ずいぶんと早かったですね!依頼達成のご報告ですか?」


 リビアの想定よりも早かったのだろうか、少し驚いた顔をする。

 ミナトは魔力纏い・刻付による移動速度の上昇に加え、維持時間が格段に延びたため、小一時間程で帰って来た。


「はい!依頼の報告と、また魔石の買い取りをおねがいします」


 ミナトは素材と魔石をリビアに渡した。


「依頼達成の報告と、魔石の買い取り、確かに承りました。......あっ!ミナトさん!今回の依頼でEランクへの昇格試験が受けれるようになりました!」


 リビアは興奮した面持ちで、ミナトのギルドカードを手に取った。

 ミナトの胸に、喜びと高揚感が込み上げた。Fランクからの脱却。

 そして、Sランクへの第一歩だ。


「すぐにでも受けたいのですが、試験内容は?」


 ミナトが前のめりで尋ねると、リビアは笑顔で頷いた。


「はい、承知いたしました。試験内容は、この王都の少し先にある『古き廃墟の遺跡』の地下三階に生息するゴブリン五体の討伐です。討伐の証はゴブリンの魔石を持ち帰っていただければ大丈夫です。地下への道は、一階と二階にワームやスライムといった初級魔物が多数生息しておりますので、お気をつけください」


 ゴブリン。昨日リビアが注意を促していた魔物だ。

 レッサーラットよりは手強いだろうが、今の自分なら問題ないとミナトは直感した。


「承知しました。では、このまま向かいます」


 ミナトは迷うことなく、ランクアップ試験を受けることを決意した。

 リビアはすぐに笑顔で地図と簡単な注意事項を渡してくれた。


 王都を出て、リビアに教えられた方向へと進むと、鬱蒼とした森の奥に、崩れかけた石造りの建造物が見えてきた。

 それが『古き廃墟の遺跡』だろう。

 入り口は蔦に覆われ、薄暗い雰囲気が漂っている。


 ミナトは躊躇なく遺跡の奥へと足を踏み入れた。

 内部はひんやりとした冷気に包まれ、カビと湿った土の匂いが鼻をつく。

 松明の光が届かない場所は闇に包まれており、足元に注意しながら進む。


 やがて、地下へと続く階段を見つけた。

 階段を下りると、そこはさらに薄暗い空間だった。


(ここが、地下か……)


 全身に魔力纏い・刻付を発動させ、警戒しながら進む。

 しばらくすると、前方からヌルリとしたものが蠢く気配がした。


 現れたのは、体長1メートルほどのミミズのような魔物、ワームだった。

 土の中から飛び出し、鋭い牙で襲いかかってくる。

 ミナトは刻付による身体強化で素早く回避し、ワームの胴体に拳を叩き込んだ。


 ドスッ!


 ワームの身体は大きく凹み、動きを止めた。ミナトは続けて数発の打撃を加え、完全に仕留める。

 魔石を回収し、さらに奥へと進む。


 次に現れたのは、床を這うように移動する、半透明のゼリー状の魔物、スライムだった。

 物理攻撃が効きにくいと聞いていたが、ミナトは構わず刻付を纏った拳を叩き込んだ。


 ベチャア!


 スライムの体が大きく弾け、酸性の粘液を周囲に撒き散らす。核のようなものがむき出しになり、ミナトは素早く追撃を加え、スライムを完全に消滅させた。


 ワームやスライムを倒しながら、ミナトは地下2階へと続く階段を見つけた。


 地下2階も同様に薄暗く、ワームとスライムが混在して生息していた。

 ミナトは慎重に進みながらも、遭遇する魔物を確実に仕留めていく。

 刻付を維持する時間も、魔力の消費量も、着実に改善されているのが分かった。

 武術の経験と魔力纏いの融合は、彼の戦闘効率を飛躍的に高めていた。


 そして、ついに地下3階へと続く階段を見つけた。ここからが本番だ。


 地下3階は、これまでの階層とは雰囲気が異なっていた。

 より広く、複雑な構造をしており、生臭いような、獣じみた匂いが漂っている。

 そして、前方から複数の足音と、不気味な声が聞こえてきた。


「キィッ!」「グギャッ!」


 現れたのは、緑色の肌をした、小柄で醜悪な姿の魔物、ゴブリンだった。

 粗末な棍棒やナイフを手に、五、六匹が獲物を見定めた獣のようにミナトを取り囲む。

 レッサーラットやワームとは違い、彼らは単純ながらも連携を取ろうとしているように見えた。


(これが、ゴブリン……!)


 ミナトは警戒レベルを一段上げた。

 魔力纏い・刻付の密度を最大限に高め、いつでも動けるように構える。


 一匹のゴブリンが、棍棒を振り上げて襲いかかってきた。

 ミナトは最小限の動きでそれを躱し、ゴブリンの顎に渾身の右拳を叩き込んだ。


 ズガンッ!


 ゴブリンの頭部は不自然な角度にねじ曲がり、そのまま地面に倒れ伏した。即死だ。


 残りのゴブリンたちが、仲間の死に動揺したのか、一瞬動きを止める。

 その隙をミナトは見逃さなかった。

 刻付による超加速で、瞬時に次のゴブリンの懐に飛び込む。

 左の掌底がゴブリンの顔面を打ち抜き、そのまま壁へと叩きつけられた。


「グギャアアア!」


 別のゴブリンが背後からナイフを振り下ろしてきたが、ミナトは振り返ることなく、左肘でそれを弾き飛ばす。

 ナイフは鈍い音を立てて弾かれ、ゴブリンは腕を抑えて後ずさった。


 ミナトは流れるような武術の動きで、次々とゴブリンを仕留めていく。

 彼らの粗雑な攻撃は、刻付を纏ったミナトにはほとんど通用しない。

 拳、蹴り、掌底、肘打ち……あらゆる打撃が、ゴブリンたちの体を容赦なく打ち砕いていく。


 数分後、地下三階にはゴブリンの骸が転がっていた。

 ミナトは荒い息を整えながら、倒したゴブリンから魔石を回収していく。

 一つ、二つ……そして、五つ。

 Eランク昇格試験の条件は、今、ここに満たされた。

作品を読んでいただきありがとうございます。


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よろしくお願いします。

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