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異端魔力の召喚勇者 ~魔法の使えない勇者は冒険者の道を歩む~  作者: 水辺 京
第一章 冒険者講習

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012 修練と高度な理論

 翌朝、ミナトは宿で朝食を済ませると、刻付の鍛錬への期待を胸に、8時ちょうどにギルドの訓練場へ向かった。

 既にグレンが腕組みをして待っている。


「来たか、ミナト。今日は刻付の維持と効率を意識しろ。上級の魔導師なら、活動中は常に刻付を纏っているのが普通だ。お前もその境地を目指すなら、まずは『纏い続ける』ことを体に覚えさせろ」


 グレンの指示は明確だった。

 ミナトは全身に魔力纏い・刻付を発動させ、その状態での走り込みや跳躍訓練を繰り返す。


 刻付の維持は、ただの魔力纏いよりも格段に難しかった。体内の膨大な魔力を、まるで呼吸をするかのように自然に巡らせる感覚。

 それはまだ遥か遠い境地だが、ミナトは着実に上達している実感があった。


「ほう……。昨日より格段に安定してきたな。だが、まだ甘い。魔力を無駄なく、最小限で維持できるようになれ」


 グレンは容赦なく指摘する。

 ミナトは言われた通り、魔力の消費を抑えながら刻付を維持する練習に没頭した。

 武術で培った無駄のない動きと集中力が、魔力纏いの効率化に貢献しているのが分かった。


 午前9時になると、ギルドの講習が始まった。

 グレンは教卓に立ち、この世界の魔法と魔力の深淵について語り始めた。


「さて、今日は魔法のレベルと、魔導師の階級について説明する」


 グレンはそう切り出し、魔法の段階について説明した。


「魔法は大きく分けて、下級、中級、上級、特級の四段階がある。それに加えて、軍事魔法、神域魔法、契約魔法といった特殊な魔法も存在する」


 彼はそれぞれの魔法について簡潔に説明した。


「軍事魔法は、大勢の魔導師から魔力を集め、兵器や大規模な設備に注ぎ込んで発動する、戦略級の魔法だ。神域魔法は、教会の神父や神官などが使う、治癒系統の魔法や、祈りを捧げることで天災すら引き起こすことのできる、文字通り神の領域に近い魔法。そして契約魔法は、奴隷契約のような人と人との契約だけでなく、魔物と契約し、使役することもできる魔法だ」


 ミナトは真剣な表情で耳を傾けた。彼はこの世界の魔法の奥深さに驚きを隠せない。


「では、具体的な魔法のレベルについて、火の魔法を例に説明しよう」


 グレンは再び空中に手をかざす。


「下級魔法は、一つの属性を扱うものだ。例えば、ただのファイアボール。そして、中級魔法は、二種類の属性を合わせることで、より高度な効果を生む。例えば、ファイアボールに風属性を合わせれば、ファイアストームとなり、攻撃範囲が格段に広がる、といった具合だ」


 彼の掌に生まれた炎が、風を巻き込み、渦を巻くように広がった。


「さらに、上級魔法は、三種類以上の属性を組み合わせた魔法になる。例えば、ファイアストームに雷属性の魔力を流し込めば、テンペスト・フレアだ。最初に発動のイメージをする属性魔法に対して、後から別の属性を足していくイメージだから、最初の魔法次第で様々な派生がある。まあ単純に属性が増えれば増えるだけイメージが難しくなるが、そのぶん威力もでるってわけだ」


 炎の渦に青白い雷光が走り、その威容はミナトの目を奪った。


「まあ中級だの上級だの言ってはいるが、魔法の技術のレベルとして使っているだけで、実際は二種類以上の属性を合わせて使う魔法は、複合魔法として一括りされる」


グレンは腕を組み説明を続ける。


「そして、特級魔法。これはただ一つの属性を、極限の魔力で放つ魔法だ。あまりにも強力すぎて、ここ何年も発動できる魔導師は存在していないため、古代魔術とも呼ばれている。文献によれば、火属性の特級魔法『イグニス・ノヴァ』は、町一つを一瞬にして燃やしつくしてしまうほどの威力らしい」


 グレンの言葉に、講習生たちの間にどよめきが走った。


「次に、魔導師のレベルについてだが、これは冒険者ランクと異なる指標で、単純な魔導師としての才覚を表すものだ。まず初級魔法は使えて当たり前だ。一般市民でも使えるからな。中級魔法を使えてやっと初級魔導師として認められる。そこに魔力纏いができて、中級魔導師と呼ばれる」


 グレンはミナトに視線を向けた。


「上級魔導師はさらに上だ。上級魔法の発動に加え、魔力纏い・刻付を発動できるやつらのことだ」


 ミナトは、自分が会得したばかりの「刻付」が、上級魔導師の必須技能であることに驚いた。


「その上に特級魔導師というのもいるが、これは特級魔法を使えるわけではない。上級魔導師の才を持ちつつ、それに加え魔力量が並外れていて、魔力の技能が卓越してるやつらのことだ」


「魔力の技能、ですか?」


 ミナトは思わず質問した。グレンはニヤリと笑う。


「そうだ。刻付に加え、魔力のかたまりを飛ばす『衡波こうは』。魔力を形にし、武器として扱う『影現かげん』。極限の魔力を体の一部に纏い、攻撃する『極壊きょっかい』などだ。他にも魔力の応用技は無数にあるが、魔法と同じくイメージ次第だ。全てを説明するにはきりがない」


グレンの言葉に息を飲む。魔力のコントロールさえ極めれば、魔法が使えないという弱点はあってないようなものになる。


「まあここまで説明したが、あくまでこの世界のルールに過ぎない。冒険者をやる以上、冒険者ランクが実質的な強さの指標になる。だからAランクやSランク冒険者でも魔導師レベルで見れば中級なんてのもざらにある。それに魔法についても下級魔法だから弱いという訳ではない。結局のところはイメージだ。複合させた方がイメージがわきやすく、威力や性能が出やすくなるってだけだ。だから下級魔法だろうが魔力量やイメージ次第で上級魔法をも凌ぐ威力をだすことも可能だ」


 グレンの説明は、もっともだった。

 ある意味魔法の使えないミナトは魔導師のランクでいうと初級未満であるが、その言葉はミナトにとって新たな目標と、自身の能力の可能性を広げるものだった。


 座学を終え、再び午後の実技の時間になると、訓練場へと移動した。

 各々が座学で得た知識を意識し、魔力纏いや中級魔法を試す中、ミナトはひたすらに魔力纏い・刻付の練習に集中した。


 ミナトは、今朝のグレンとの稽古で得た感覚を反芻するように、刻付状態での走り込み、跳躍、そして魔力維持の瞑想に没頭した。


 講習の時間がおわり、昨日のようにグレンに駆け寄る。


「グレンさん、座学で教えてもらった魔力纏いの他の種類も知りたいです!」


 ミナトは目を輝かせながら尋ねた。しかし、グレンは首を横に振る。


「焦るな。まずは刻付を極めてからだ。それができなければ、他の纏いもまともに扱えねぇ。他の纏いは刻付を維持している前提で、さらにそこから発動させるものだ。だからまずはひたすらに刻付を体になじませろ」


 グレンはそう言って、訓練場を後にした。ミナトは少し残念に思いながらも、グレンの言葉が正論であることを理解していた。


 その後、ミナトはリビアのところへ行き、Fランクの依頼を受けることにした。

 魔力纏い・刻付の練習には、実戦が一番だ。

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