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異端魔力の召喚勇者 ~魔法の使えない勇者は冒険者の道を歩む~  作者: 水辺 京
勇者 第二章 テラヴェルト連邦編

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106 コウキの旅路9

 コウキ達は翌朝出発の準備を整えると、ライカを迎えに再びオーランの屋敷へと赴くのであった。

 屋敷の前にはすでにライカとオーラン、アルベルトの姿があった。

 ライカはこちらに気づくなり、顔いっぱいに獰猛な笑顔を浮かべ大きく手を振る。


「きたな皆!昨日はバタバタしていたのもあって、まだ自己紹介が済んでなかったよな!私はグランルーツの英雄、ライカ=ライボルトだ!共に魔王を倒すために力を貸すぞ!」


 ライカはそう言い力強く笑うと、一人一人と握手を交わす。

 その時にマリア達も自己紹介をし、お互いの名をしっかり知ることができた。


「これからよろしくなライカ!」


 コウキも笑顔で返し、ライカは無事コウキのパーティーへと加わることになった。

 オーランはライカとコウキを交互に見ると、一度深呼吸をし、我が子を送り出すかのように、決意と、わずかな寂しさが混じった眼差しで口を開いた。


「勇者殿、ライカを……世界をよろしく頼みましたぞ!」


 コウキはその言葉の重みを全身に受け止め、しっかりと決意を表明し、勇者達の役割とオーラン達の役割を明確にした。


「はい、必ず魔王を打ち倒し、世界を救ってみせます!オーランさんとアルベルトさんは兵士の訓練の方をお願いします」


「任せておきなさい。一年とかからずに立派な兵士に育て上げてみせますぞ!」


 アルベルトは隻眼のせいか、不格好ともいえる笑顔を見せたが、その隻眼の奥には、かつての冒険者としての鋭い決意が宿っていた。

 ライカもそれに返すよう、歯を見せるように笑うと拳を突き出し、互いの健闘を祈るかのように軽く交えた。

 一通りの挨拶と準備を済ませ、一行はオーランの屋敷を後にする。


「では行ってきます!」


 コウキの言葉にオーラン達は手を振ると、コウキ達もまたそれに返すように手を上げ、次なる目的地へと足を運ぶのであった。


「次の目的地はどこなんだ?」


 馬車へと向かう道中、世界樹の根が張り巡らされた道を、一行は足早に進む。

 コウキがマリアへ訪ねると、地図を広げながら方角を指差し答える。


「次の目的地はあちらの方角へ一ヶ月程進んだところにある、海流国家、『カレントリア聖国』になります。『首都シーダリア』にて、英雄と合流の予定です」


「一ヶ月程度で着くのか。思ったよりも近いんだな」


 コウキは想定以上に早い到着予定を聞き、腕を組みながらも安堵した。


「距離でいえばかなり遠いいですよ。ただ陸路で三週間ほど進んだのち、船による移動となるので、陸路より格段に早い移動が可能になるというだけです」


 マリアの説明のように、海流国家という名のとおり陸地の大半が海に囲まれているため、陸路でのルートはかなり遠回りになってしまう。

 だが途中船に乗り換えることにより、ルートを短縮できる上、馬車より遥かに早いスピードで移動することが可能になる。


「聖国ということはなにか崇める信仰があるのですか?」


 エリスは国名が気になったようだ。首をかしげながら何に対して信仰しているのか気になる素振りをする。

 マリアは資料を確認するとエリスに向き直り、静かに答える。


「海神リヴァイアサン……と書かれています」


「リヴァイアサン!?ギルドでもSランクに認定される、巨大な海の怪物ですよね!?」


 普段冷静なエリスにしては珍しく声を荒げ、目を丸くする。

 彼女の言うとおりリヴァイアサンといえば、凶悪な魔物として、冒険者の間では恐怖の対象だ。

 マリアは説明を続ける。


「私もその認識でしたが、どうやらカレントリアに生息するリヴァイアサンは、海神と名が付くだけあり、ギルドに登録されている個体とは異なるみたいですね。厄災や悪行から国を守ってきたという言い伝えがあるみたいです。その地の英雄も、リヴァイアサンから力を授かったらしいですが、実際その姿はしばらく目撃されてはいないみたいです」


 マリアの説明を一行は息をのみ、静かに聞いていた。

 だがライカだけは好戦的な瞳を宿していた。


「リヴァイアサンか!海の生物に私の雷がどれだけ効くのか楽しみだな!」


「は、話きいてましたか?戦っちゃ駄目ですよ……」


 ライカをなだめるように、ティオは消え入りそうな声を出す。

 ティオはまだライカの強気な態度にもじもじとしているが、自分なりに克服すべく積極的になだめようとつとめているのが伺える。


「ともあれ、目的は明確だな!リヴァイアサンに遭遇しようがしまいが、俺たちはカレントリア聖国へ向かい、新たな英雄と合流だ!」


 コウキ達はあと三つの国を回り、三人の英雄との合流を果たす。

 世界樹の光が上空から降り注ぐグランルーツを後にし、カレントリア聖国へと向かうべく、馬車へと乗り込むのであった。

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