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異端魔力の召喚勇者 ~魔法の使えない勇者は冒険者の道を歩む~  作者: 水辺 京
第三章 Sランクへの道のり 中編

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101 城内へ

 城門へと近づくと、二人の門衛が重厚な鎧に身を包み、槍を掲げて警備にあたっていた。

 ミナトとシスカは通行許可が出ているが、クレイグは初めて城へ来るので一度マキナによる入場審査が必要になる。


 ミナトは門衛に事情を話すと、守衛室の奥に案内され、間もなくしてマキナが現れる。

 事前に話が通っているだけに、すべてがスムーズに運んだ。


「お久しぶりです。ミナトさん、シスカさん。そちらがお仲間のクレイグさんですね。初めまして、審査官のマキナと申します」


 マキナはクレイグに一礼する。

 クレイグもそれにならい、緊張で声がわずかに上擦りながら、軽く自己紹介を済ませる。


「ではクレイグさんのギルドカードをお預かりしますね」


 クレイグはリュックからギルドカードを取り出し、マキナに手渡す。

 ミナトとシスカの身分がすでに証明されているため、前よりもスムーズに審査が終わる。


「……はい。お待たせしました。こちらをお渡ししますね」


 マキナはそう言うと、二人とは色の異なる許可証をクレイグに渡し、説明をはじめる。


「こちらの許可証は付き添いとしての入場を許可するものなので、場内ではお二人のどちらかで構わないので、常に一緒に行動をするようにお願いします。今後はそちらの許可証があれば入場審査の必要はないので、無くさないよう気をつけてください」


 クレイグは背筋を伸ばし、礼をいい、頭を軽く下げる。


「それでは以上になります。シスカさんは騎士団の訓練、覗かれていくんですよね?」


 シスカは目を輝かせ、言葉を遮るように大きく頷くと、その場に留まっていられないとばかりにそわそわし始める。


「中に入って左手側に進んでいただくと、訓練場がありますのでそちらにお越し下さい」


 その言葉に返すように、三人は礼を伝えると、マキナは席を立ち上がり、一礼すると、部屋をあとにする。

 マキナが退出した後、ミナトはシスカに向き直り、口を開く。


「なんでそんなに騎士団の訓練がきになるんだ?」

「騎士団といえば王国最高峰の剣と魔法のスペシャリストの集団よ!気にならないわけないじゃない!」


 依然目を輝かせながら答えるシスカの言葉に、ミナトはハッとする。


(なるほど。剣と魔法のスペシャリストが騎士団なのか!それはたしかに気になるな)


「俺もアルフレッドさんとの話が終わったら、そっちに顔を出すよ。俺も少し興味が湧いてきた」

「そう言うだろうとは思ってたわ」


 シスカは興奮を抑えきれない様子で頷いた。


「わたしはミナトさんについて回りますね。アルフレッドさんという方にも、挨拶をしておかないといけないですし」


 クレイグの言葉にミナトは頷き、了承した。


「よし、じゃあクレイグ、行こうか」


 ミナトはクレイグと共にアルフレッドの元へと向かい、シスカは一目散に訓練場へと向かうのであった――。


 城内に入るなり、静寂が肌に張り付くような厳かな雰囲気に包まれる。

 内部は耽美で、大理石の壁面を走る金箔の豪華な装飾や絵画、足音を完全に吸い込む、鮮やかな緋色をした絨毯が目に入る。


 警備にあたる衛兵も微動だにせず、顔つきは彫刻のように硬く、ただただ時をすぎるのを待っているかのようだ。

 はじめてくるクレイグは、冒険者が来るには場違いな、静寂が支配する高貴な雰囲気に思わず背筋が伸び、足が床に吸い付くように重くなる。


「あんまり気負わなくて大丈夫だぞ」


 ミナトは強張っているクレイグの背中をポンと叩きながら、緊張をほぐす。


「あまりの場違い感に少しばかり緊張してしまいました……。でも、もう大丈夫です!ありがとうございます!」


 クレイグは勢いよく顔を上げ、頬をバチンと二度叩き、自分自身の思考を物理的に叩き起こした。

 先ほどまでの緊張に満ちた顔とは変わり、いつもの笑顔に戻る。

 二人は城内を歩き続け、執務室の前に到着する。


「少し待っててくれ、今確認をとってくる」


 ミナトはそう言うと、執務室を丁寧にノックし、ゆっくりと扉を開く。

 隙間から顔を覗かせると、アルフレッドの姿があった。

 室内は静かで、羊皮紙の匂いが微かに漂っている。


「アルフレッドさん!ミナトです」


 ミナトの来訪にアルフレッドは執務を中断し、席を立ちあがる。


「おお、ミナトさん。待っておりましたぞ。もう片付く所だから、この前の応接室で待っててくれるかな?」


 アルフレッドの言葉にミナトは頷き、ゆっくりと扉を閉める。

 その後クレイグと共に、以前訪れた応接室にて待機をする。


「勇者……親友のコウキさんの話を聞けるなんて、なんだかわくわくしますね!」


 クレイグは胸に手を当て、期待に瞳を輝かせている。勇者コウキの旅路に想像を巡らせているのだろう。


「アルフレッドさんが、水晶魔道具による情報から、コウキたちの様子を説明してくれるんだけど、その説明がまた上手なんだよ。まるでそこにいるかのような気分になるぞ」


 クレイグはミナトの言葉に、より一層好奇心が高まり、椅子の上で軽く弾むようにそわそわとし、待ちきれないようだ。

 そんなクレイグの願いが叶ったのか、間もなくしてアルフレッドが到着する。


「待たせて申し訳ない。おや、そちらの方は新しいお仲間の方ですかな?」


 アルフレッドは、ミナトの横に座るクレイグに視線を向ける。


「初めまして。ミナトさんのパーティーメンバーのクレイグと申します」


 クレイグは立ち上がり一礼すると、アルフレッドも倣うように、挨拶を返す。


「国王補佐のアルフレッドと申します。先日シスカ嬢がお二人の女性を連れて挨拶にきましたが、ミナトさんは良いお仲間に恵まれたようですな」


 アルフレッドの言葉に、ミナトは頭に手を当て、頬を赤らめ、少し照れ臭そうにする。


「みんな、素晴らしい仲間です!」


「良いことじゃ。それで、本日はコウキ殿の旅路の続きを説明すればよいのかな?」


「はい、お願いします」


 ミナトの言葉にアルフレッドは頷くと、魔水晶を片手にゆっくりと語り始める。

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