Oblivion Episode Final 忘却
朝、神野魔法科高等学院、神野南区指定の制服に着替え、身支度を整え、朝食を摂る。
ここまでは 何の変哲もない赤羽の朝のルーティン。
その日常を、毎日のように共にしてくれる変わり者がいつもいた。
葛葉「おはようなのじゃ、華音や!」
赤羽「ごきげんよう愛莉さん。また豪勢な…」
葛葉愛莉。
狐耳と九本の尾が特徴的な人並れた風貌ながら、巷では悠久の時を生きる伝説とも噂されており、【南区の守り神】として地元民から親しまれている稀有な存在だ。
その中でとりわけ赤羽のことは妹のように可愛がっており、むしろそれを通り越してこうして朝食を作ってくれる辺り非常に甘やかしてくる。
表情の変化に乏しい赤羽も、彼女の前では少し表情を崩す。
至れり尽くせりの日々を過ごす赤羽であったが、葛葉を以てしても根本的に笑顔が戻ることはなく、その後は淡々と朝食の時間が過ぎていった。
葛葉「そういえば、今日は中央区で課外授業じゃったかの?」
赤羽「はい。普段は立ち入りは制限されていますので、貴重な機会です。」
神野魔法科高等学院では、座学や実技の他に郊外で演習が組み込まれることがある。
今回は、かつて人知れず激戦が繰り広げられたとされる神野中央区の古戦場を見学する予定となっていた。
約1000年前の戦いについては明らかにされていないことが多く、研究者達の間で依然検証が重ねられている。
普段は立ち入りできない区域ということで、滅多にない体験とも言える。
葛葉「良かったではないか、行きたがっていたじゃろ?」
赤羽「そう、ですね…」
学院に入学して早々に、神野中央区に関心を寄せてはいたのだが、半年が過ぎてようやく叶いそうだ。
なぜ行きたいと思ったのか理由はわからない。
そこに何があるのかも知らない。
ただ漠然と、行かなくてはならない。
そんな漠然とした思いが、心の奥底から燻っていた。
葛葉「楽しんでおいで!…は変な言い方かもしれぬが、何か発見があると良いの!」
赤羽「そうですね。少し、不思議な感じです。」
葛葉「うむ。それと…今晩も探すのかの?」
赤羽「はい…」
今日の予定を確認した葛葉は笑顔で赤羽を送り出す。
その背中を見守る葛葉の表情は、人知れず憂いを帯びていく。
出会ってからというもの、赤羽は何かを探していた。
その使命感にも似た想いに駆られ、よく放課後に当てもなくふらっと出掛けているのだ。
葛葉に見守られつつ、赤羽は集合場所の港へと足早に向かっていった。
神野南港。
ここから、各島を巡回する定期船に乗船し神野中央区へと渡る。
集合場所で待機する中、六車大地が幼馴染の十文字要を連れ赤羽に挨拶をする。
六車「よっ、赤羽。おはようさん。」
赤羽「ごきげんよう、六車さん、十文字さん。」
十文字「…」
葛葉の前ならともかく、それ以外では誰も寄せ付けずとにかく寡黙な無機質な性格のため必然的にクラスの中では浮いており、入学して半年が経って尚もこうして声を掛けてくるのが六車だけという有様だった。
赤羽の方も特に煩わしさは感じてはいないが、その対応はまさに素っ気ない一言であった。
六車「ま、変わらないね。」
十文字「いつも通りだとわかっていただろうに。」
六車「良いさ、普段通りであれば。」
片や六車はクラスメートへの挨拶を欠かさない好青年である。
例え相手が赤羽であっても、軽くあしらわれるとわかっていても彼女の体調を確認するにあたり彼の存在は貴重とも言えた。
やがて全員が集合し、定期船に乗り込んだ神野南分校の生徒達であったが、やはり赤羽は一人甲板に佇み潮風をその身に受けていた。
神野中央区は一部区域なら一般生徒も立ち入りできるので、足を踏み入れるのは初めてではない。
関心を寄せるのは、その先の未踏の地。
赤羽(中央区…胸に燻るこの気持ち、何かわかるのでしょうか…)
そこへ行けば、追い求めるものに纏わる何かが得られるかもしれない。
逆に何もない可能性も捨て切れない。
だが行ってみなければ何もわからない。
奥底に眠る秘めたる想いの正体を何としても明かしたい一心で、赤羽は一縷の望みに賭けていた。
神野中央区に辿り着いた一行は、引率の教師と中央区専属の学芸員に案内され、程なくして立ち入り制限区域へと足を踏み入れた。
集団とは少し距離を空けて歩くその様は、心の準備がまだできていない表れなのかもしれなかった。
先程から目的地が近付くにつれ、少しずつ鼓動が速くなっている気がする。
それに比例して歩く速さもついて行く分に支障はないものの若干遅くなっていた。
六車「大丈夫か?」
赤羽「ええ、大丈夫です。」
その赤羽の異変にいち早く気付く六車も流石と言うべきだが、彼女は平静を装う。
確かに体調そのものは何ともなさそうで、見学の続行には何ら支障はないと彼も判断した。
心配は無用と暗に彼女からメッセージを受け取った十文字が、話を切り替えて別の話題を口にする。
十文字「そういえば、今日は神野東分校からも入れ違えで来るんだってな。」
六車「東区から?じゃあ、後日北区と西区が来るんだな。島の行き来は自由だけど、あんまり他校の奴らとは会うことはないもんな。」
赤羽「…」
六車と十文字による他愛のない会話にも聞こえてくるが、どうにも自身を話に引き込もうと画策しているようにも聞こえてくる。
同じクラスになって既に数ヶ月が経過しているのにいつも独りの彼女があまりにも不憫なので、こうして十文字を交えて話題を展開することはこれまでにもあったが、やはり乗っては来ない様子だった。
重ねるが、赤羽は煩いとは思ってはいない。
単純に、興味が他のことに集約されているだけである。
今日のような一日は、特に。
中央区の郊外は大部分を渓谷が連なり、大自然を身近に感じる光景が広がっていた。
さながらハイキング気分を味わえ、赤羽はともかく皆思い思いに楽しんでいるようにも見えた。
やがてその区間も終わりを告げ、目の前に所々で草原が点在する広大な荒野に目を奪われた。
学芸員「着きました。ここが1015年、今から約1000年近く前にこの地でファンタジア動乱の最後の戦いが繰り広げられた跡地となります。」
学芸員の案内と共に目にした光景に、一行は筆舌し難い感情に襲われる。
開けた大地、しかしこれまで目にした風景とは対照的に、壮大さとは裏腹にかつての激戦の爪痕が今も尚色濃く残っていた。
荒野に散らばり或いは突き刺さる無数の錆びた武器の数々は、先程までのハイキング気分を一掃させるのに十分であった。
学芸員「この地では、かつて二度の戦いが起きています。一度目は今の神野群島の礎を作った初代当主、神野雫様率いる軍が対抗勢力を鎮圧し神野群島統一を決定付けた【黄昏の戦い】、そして数年後、その跡地でもう一つの世界の戦乱を終結に導く【ヴァルハラの戦い】の舞台となったことで、歴史的価値の高い古戦場となったのです。その戦いは苛烈を極め、多くの兵達が亡くなりました。その中には、ファンタジア動乱で精鋭を率い各地で勝利を収めた、名も無き一人の勇者と一人の天使の記録もあります。領民から非常に人気の高かった二人の悲劇を憂い、彼らに纏わる伝承やそれをモデルにした創作物が、今日まで異世界ファンタジアで読まれるようになりました。」
学芸員の解説に熱心に耳を傾ける生徒達。
戦乱の時代を駆けた二人の物語は、双世界の垣根を越えて親しまれており、神野群島を統一した神野雫にも匹敵する程であった。
その傍で、赤羽は次第に異変を感じ取っていった。
この地に足を踏み入れてからというもの、この戦場で行われたであろう死闘が、映像として脳内に流れ込んでくるのだ。
赤羽(これは…誰かの記憶…?)
怨讐渦巻く地に、かつて実際に起きたことや残留思念が記憶されているという取り留めのない話を聞いたことはあったものの、説明がつかずこれまで関心を寄せなかった。
だが今自分が人知れず体験しているのはまさにそれではないのか。
他のクラスメートには何の影響もないのか。
或いは他の現象が災いしているかもしれないと独り思考を巡らせていた時、混濁した映像が頭に流れ込んできた。
??『ウルノ帝国皇帝_______…今ここで、貴方を止める!!』
赤羽「!?」
表情は見えず声も一部聞き取れなかった。
しかし当時を戦った者の記憶と言って差し支えない衝撃的な光景は、冷静に努めていた赤羽を掻き乱すのには十分過ぎた。
そしてそれを皮切りに次々と連鎖的に違う光景が、映像として彼女の脳内に雪崩れ込んできた。
??『後は…任せたよ、___!!!!』
??『けど、独断で俺の手の届かないような先を行くことは看過できない。例え、君であってもだ。そこはもう最前線ではないから。俺が立つこの場所が、最前線だ!!』
??『いつになるかはわからない。それでも全てが、戦乱の世が終わった暁に、伝えたいことがある。』
??『俺は君にだけは、帰りを待っていてほしかった…!』
??『お帰り、___。』
??『君の帰ってくる場所は、ここにある。いつまでだって待つ。いっぱい学んで、強くなって、4年後に、必ず…約束だ!』
??『地上に来てくれて、アリエルを選んでくれてありがとう!!これからも、よろしく!!』
??『僕と一緒に、ファルタザードの、アリエルの未来を切り拓かないかい?』
??『僕はアリエル公の嫡子さ!名前は___。君は?』
赤羽「っ…!!」
意思とは無関係に入り込んでくる映像に、遂には取り乱してしまう赤羽。
明らかにここではない場所の光景が混ざっており、全てがこの地に焼き付いたものではない。
これは誰かの記憶なのか。
はっきりとしてわかるのは、子供から成長した姿までばらつきがあったものの、全て何者かを通して観た同一人物であるということ。
あまりの動揺に彼女の異変に気付くクラスメートが出てき始めて、心配そうに彼女の顔色を伺う。
桐生「赤羽さん、大丈夫…?」
クラスメートの桐生梓が声を掛ける。
明らかに何かを思い詰めている様子であり、普通ではないと担任を含む他の誰かへの周知を試みようとしたその時だった。
その気遣いを察知したわけではないのだろうが、赤羽は忽然と奥地へと走り去った。
学芸員「ちょっと、その先は立ち入りはできませんよ!!」
学芸員が慌てて制止を試みようとするが、赤羽は我を忘れてその脚を速める。
普段はほとんど何に対しても関心を示さないはずの彼女が、一体何に駆り立てられているのだろうか。
担任もただ事ではないと彼女を連れ戻そうとするも、その行く手をある2人が阻んだ。
六車「すみません先生、後で連帯責任でも何でも良いんで、彼女を向かわせてください。」
十文字「俺からも頼みます。今は好きにさせてあげてください。」
担任「君達…!」
桐生「えええええちょっと、何であんた達2人が…!?」
桐生だけでなく、周りが火を見るより明らかに動揺を隠せない。
六車と十文字が、赤羽を庇う。
元より、六車が中心となり十文字がそれを補佐する形でクラスの取り纏め役を担う程の人物。
その二人が、彼女を好きにさせて欲しいと目上の人間に対し懇願している。
本来ならそれすらも退けるのが道理だろうが、担任は彼女の成績がずば抜けていることも鑑みて柔軟に対応しようとする。
六車「まあ、あいつなら絶対に何かを持ち去ったり損壊させるような真似はしませんよ。それは先生もわかっているでしょう?」
担任「そうですね…一先ず、合流を待ちましょう。すみません、うちの生徒が急に…」
学芸員「本来は禁止されているのですが、そういうことでしたら…」
学芸員も引率の教師の謝罪に対し、後々の始末や抜け出した生徒が成績優秀者であること、その彼女から悲壮感に似た感情をすれ違い様に感じ取った状況を鑑み、特例で許可を出した。
赤羽の背中は既に小さく、今なお何かに引き寄せられるようにその足が止まることはなかった。
立ち入り制限のある区域に侵入するという勝手な行動をしてしまい、内心申し訳なさが募る渦中の赤羽。
人を寄せ付けない雰囲気を醸し出しているとはいえ根が素直な性格なので、実のところ後のことで気が気でならないでいた。
しかし、そんな不安など二の次とばかりに、どうしても行かなければならない衝動に駆られたのである。
少なくとも先程の脳内に映った最初の光景は、この場所のもの。
見覚えのある場所に行けば、何かわかるのかもしれない。
向かった先で、自分の身に何か起きるのかもしれない。
恐れがないわけではなかったが、追い求めた謎を解き明かすため、彼女は止まらなかった。
赤羽「こ…こ…?」
ふと足を止めたその場所。
渓谷に挟まれた荒野、そこにひっそりと佇む門らしきオブジェ。
神野南区にもある異界へと繋がる門と同一のものと見て、まず間違いない。
何よりも、この場所が無数の錆びついた武器と共に一番荒廃していた。
幾星霜の時を経ても当時の面影を残すこの場所で佇んでいた時、この地に眠る記憶が再び赤羽に流れ込んだ。
??『守った…守りきったぞ…___を…今度、こそ…』
赤羽「!?」
映し出されたのは、最初に流れた映像の続き、その戦いの結末と思わしき悲惨な光景。
ある青年が事切れたと同時にその身体が光と共に霧散していくその様は、その時立ち会ったであろう相方を絶望のどん底に陥れるには十分過ぎるものだった。
そして、それを目の当たりにした赤羽にも異変は起きていた。
赤羽「…ぁ…れ…?」
無意識に、赤羽の両目から涙が溢れていた。
今の当時の記憶を見て同調するのは無理もない話だが、涙という生理現象まで引き起こしてしまっている。
何とか堪えようとするも、とめどなく頬を伝い、遂には嗚咽が、さらには両膝をついてしまう程に、彼女の心は疲弊する。
赤羽「どう、して…?…っ」
六車「見つけた…!そろそろ戻らないと!…?おい…?」
十文字「っ!?」
桐生「泣いて…いるの…?」
赤羽を心配して六車と十文字、桐生が駆け付けるも、そこで見たのは彼女が力なくへたり込んで号泣する姿。
今までに見たことのないような彼女の変容に、流石の三人も動揺を隠せなかった。
追い求めた探しものの手掛かりは、脇目も振らず抜け出した先には何もなかった。
代わりに見たのは流れ出た映像の舞台と、かつての激戦の顛末のみ。
この地に足を踏み入れてからというもの特に不調を来すことはなかった三人は、それでも彼女を気遣いながらクラスメートの待つ合流場所へと連れて行くのだった。
葛葉「華音…」
その様子を、遠く渓谷の崖の上から獣耳と九つの尾を生やした人影が眼下から見つめる。
赤羽が気になり葛葉は単身先回りして人知れず伺っていたが、その居た堪れなさに同情を禁じ得なかった。
彼女は赤羽が探している何かを知っているのだ。
出会ってから数ヶ月経った今も教えてあげられないもどかしさに、騙しているようで葛葉は胸を締め付けられている。
教えてあげたいのは山々である。
だが、それができないのには理由があった。
葛葉(すまぬ…!)
赤羽に告げてあげたい、しかしその全貌を知っているからこそ彼女を悲しませたくはない。
何かを探していることが彼女の生きる希望にもなっているようで、その芽を摘みたくはない。
彼女同様に、葛葉もまた苦しむ一人なのであった。
その頃、とある船の上。
今日神野南分校と入れ替わる形で神野中央区を見学する予定の東分校の生徒達は、既に中央区へと運ぶ定期船に乗船していた。
青海「!?」
ふとそのうちの一人、クラスメートと談笑していた青海蓮司が、誰かに呼ばれたような感覚に襲われ声のしたような気のする方角へと視線を向ける。
その先は水平線の奥に目的地である神野中央区があるのみで、当然人の声が届くような距離にはない。
彼に釣られて仲間達も同じ方角を向くも、彼らの場合は何か聞こえたような錯覚を起こしたわけでもなく、首を傾げるのみであった。
三好「蓮司、どうしたの?」
青海「ああ、遠くから誰かの声が聞こえたような…」
一瀬「私には聞こえないけど…」
二宮「幻聴とかじゃなくて?島から聞こえたとかならそれはそれで怖いぞ?」
青海「そうなんだが…」
三好菜々と一瀬薫の心配とは対照的に二宮弥彦が揶揄うも、当の青海はその冷やかしには乗らず真面目だった。
流石の二宮も失言だったとばかりに沈黙に徹するが、青海も何か確証があったわけではない。
本当に気のせいかもしれないし、そうでないかもしれない。
謎の違和感に疑問を抱きつつも、彼らを乗せた船は順調満帆に中央区へと進路を定めるのであった。
その日の夕方。
神野南区に帰島し課外授業終了と共に解散した末、既に落ち着きを取り戻していた赤羽はいつものように何かを探す果てのないようにも思える放浪に身を任せていた。
昼の凄惨さを帯びた映像が、未だ頭から離れない。
その上、結局あの古戦場で見たものが今後の探査の手掛かりになったのかと言われると、些か怪しいものがある。
しかし、あの場所で自分だけが奇異な現象に見舞われたという事実も残り、疑念が一層深みを増す。
赤羽(私は…一体…)
答えのない自分の存在理由を、繰り返し自問自答する。
そもそも、赤羽は自分のことすらも曖昧な部分が数多くあった。
自身の髪色、赤い瞳、家族構成、そして、半年より前の記憶が曖昧であること。
気が付けば葛葉が姉のような保護者的な立ち位置で身の回りのことをしてくれて、何不自由ない生活を送っていた。
果たして自身に両親や姉兄弟がいたのかすらも知らず、家事の他様々な知識をどこで身につけたのかもわからないまま。
これらの謎を解き明かすことこそが、自分の追い求める何かを探る呼び水となるのだろうか。
赤羽(諦めてはだめ…絶対に…)
何か大切なことを忘れている気がして、手掛かりを求め島中を探し回ってはや半年。
歩みを止めるわけにはいかないが、心は既に疲弊し切っていた。
比較的赤羽を気遣ってくれている六車と十文字、桐生は今の彼女には映っていない。
ずっと探している何か、或いは誰かと邂逅する兆しは、未だ視えず。
全ての答えは、遥か忘却の果て。
【登場人物】
・赤羽 華音
本編のヒロイン。16歳。神野魔法科高等学院神野南分校に所属。物静かで大人しく、孤高で周囲と関わりを持とうとしない寡黙な少女。
赤い瞳と銀色の髪が特徴で、性格も相まってクラスでは浮いた存在。成績は全分校中常に一位を誇り、己の研鑽を怠らない頑張り屋でもある。
半年より前の記憶がなく、出生上の記録も不明。気が付けば保護者兼姉代わりの葛葉が傍にいたという謎の経歴を持つ。そのため自分の存在意義に疑念を持っていながらも、何かを探す漠然とした使命が脳裏から離れず、下校の際に各島を廻る日々を送っている。
・葛葉 愛莉
神野南区に棲みつく、或いは住んでいる狐耳と九つの尾、また古風の喋り方が特徴の少女。赤羽の保護者兼姉代わりとしてその成長を見守っている。
悠久の時を生きていると噂され、【南区の守り神】として地元の民からは親しまれている。一方でその分出会いと別れを経験しており、周囲とは一線を引く人生観も持つ。【ファンタジア動乱】を経験している【生きる伝説】とも評されるが、本人はあまり過去を話したがらない。
・六車 大地 & 十文字 要 & 桐生 梓
神野魔法科高等学院神野南分校に所属する3人。六車と十文字は幼馴染の関係だが、桐生とは特段関わりはない。
六車はクラスの中心的人物で誰とでも分け隔てなく話せる好青年だが、好戦的でもある意外な一面を持ち合わせている。十文字はそんな彼の諌め役で、フォローに回ることが多い。孤立がちな赤羽に対しても例外なく何とか輪に引き込もうとするが、入学から半年経った今もまだ果たせずにいる。
桐生はクラスの中ではかしましい部類に入る女子生徒。その一方で六車と十文字に次ぐまとめ役と評されることもある。赤羽に関心を寄せるが、なかなか話せる機会を持てずにいる。
・青海 蓮司
本編の主人公。16歳。神野魔法科高等学院神野東分校に所属。常にクラスの中心にいて、自らが先頭に立ち仲間を導くようなリーダー的存在。
周囲に対しての気配りを忘れない、非の打ち所がない絵に描いたような好青年。成績も極めて優秀で、東分校ではトップを誇る。クラスをまとめていると自負しているためか責任感が強く、それが災いして周囲を頼りたがらないという弱点も持つ。
・一瀬 薫 & 二宮 弥彦 & 三好 菜々
神野魔法科高等学院神野東分校に所属する3人組。お互いに幼馴染の関係だが、青海と行動を共にすることが多い。
一瀬は冷静な性格で、暴走しがちな二宮を抑える役割に徹することが多い。比較的ダウナーだが、人付き合いが少ないというわけではない。少し先の未来が視えるという特異性のある能力を持ち、それを元に周りに示す役割が多い。
二宮はクラスのムードメーカー的な存在。直感的に行動することが多く、よく一瀬や三好に諌められている。青海の相棒を自称しており、彼の右腕としての地位を確立したことでなんだかんだで周囲から頼られている。
三好は明るく快活な性格。クラスの元気印として振る舞う他、全生徒の中で屈指の美少女とも噂されている。本人も自分磨きは欠かさないが、自らの美貌を鼻にかけることは絶対にしない。青海に気があるようで、よくアプローチをかけたりしている。
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