5話-全典究ノ世
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魔獣を狩るごとにライルに鑑定をしてもらうのが日課になった頃、ついに俺の魔力量は一万を超え、いくつかスキルも増えていた。
「はぁ~、たかがマンドラゴラの魔力量が一万超えとか意味わかんねぇよ」
「まぁ、俺って特異体らしいしな」
「それになんだよこのスキルの量!ふざけてんのか?!」
「まぁ、スキルって多ければ多いほどいいもんだろ?」
「それはそうだが、限度ってもんがあるだろう、限度ってもんが!」
(二回言った)
まぁライルの気持ちも分からなくもない、実際に自分のステータスを見たときはびっくりした。
スキル一覧-
スキル:炎魔法、風魔法、雷魔法、水魔法、音操作、毒素調合、針射、並列思考、思考分裂、結界、探知、炎耐性、精神耐性、物理耐性、毒無効
種族固有スキル:植物魔法、大地魔法、空腹無効
特異スキル:魂消咆哮、約束の忘れ手形、全典極界
針射はあの蜂から得た針を飛ばすスキルだ、精神耐性は熊が持っていたスキルだろう。あいつだけ妙に魂消咆哮の利きが悪かった、たぶんこの耐性スキルが原因だったのだろう。
藁のベットでくつろぎながら俺はあることを考えていた。それは並列思考と思考分裂だ。この二つのスキルを組み合わせれば人工知能的存在を作れるのではないかと思ったのだ。
まず、思考分裂で俺とは異なる思考体を作る、そして並列思考を常時使うことによって思考体をまるで一人の複製体のようにするってわけだ。
スキルを行使する時は無詠唱だが、どのスキルをどれほどの威力で使うのかという思考が戦いの中で発生する。それらをこの複製体に担当してもらおうというわけだ。この複製体に意志や感情を持たせるつもりは今のところない、もしもの時に二人の感情が入り混じると色々と面倒だからだ。
有言実行、思い立ったが吉日、俺はさっそく複製体の作成に取り掛かる。
「思考分裂!」
そう叫ぶと、俺の頭の中に一つの空白ができた。おそらく、あれが俺のもう一つの思考体だろう。さて、あくまでこの体の主導権を握るのは俺だ、ちゃっちゃと思考体を改造するか。
基本的な感情は入れておくが複雑な感情はなし、合理的判断を最優先とするようにしよう。
俺の複製体と言ってもまったくの別人と言っても間違いではない、だから何か名前をつけようと思う。そうだな、、、リアにしよう。
(リア、聞こえるなら返事を)
さて、これでうまくいってくれればいいんだが...
⦅個体名不明のマンドラゴラを主として認識....こんにちは⦆
(さっそくで悪いんだが、ここから一番近いとこにいる魔獣の場所を教えてくれ)
⦅スキル:探知を自動行使・・・北、10m先に一体⦆
早いもんだな、この情報があってるかどうか行って確かめてみるか。
なるほど、これは信用できるな、ほんとにいやがった。
(リア、あの魔獣の名前とか分かるか?)
⦅十分な知識を主から得られていないため解答できません⦆
(なるほど、俺の記憶の中の知識しか保有してないのか、それなら仕方ないな)
⦅否、思考分裂と特異スキル:全典極界の統合を行えば可能です⦆
(まぁ、今のところ大して使ってないスキルだし、消えるわけでもない...許可するよ)
⦅承、スキル統合により、世の権能:全典究ノ世を獲得。対象の魔獣はブリブル。直線的な突進しかできないが、その突進力はBランクにも匹敵します⦆
世の権能?なんだそれ、また新しいスキルが来たな。
突如、猪野郎が俺に向かって突進してきた。当たったら一巻の終わりだな。
(リア、今回の戦闘をお前に任せてもいいか?手段は問わない)
⦅承、毒素調合、神経毒生成、針射に付与⦆
リアがそう言い終えると俺の掌で一本の針が生成された。先端にはリアが毒素調合スキルで調合した強力無比の像程度なら微塵も動くことができないであろう神経毒が塗られていた。
次の刹那、針がブリブルの眉間に刺さった。対象の体長が標的になりやすかったということもあるだろうが、針の有利性であるその鋭さと小ささ、これによりブリブルは何が起こったかも認識できずに息絶えた。
さすが俺の理想のAIさん、とってもスマート♡
毒素調合にこんな使い方があったなんてな、口から毒を吐き出したりするのが嫌だったから使用を避けてたが、今回の猪狩りで学ぶことができた。
リアの初戦闘も終わったことだし、村に帰るか。
村に帰る途中で畑の方から何やら口論のようなものが聞こえた。とりあえず行ってみることにした。
「だから、俺は畑仕事を完璧にこなしてたって言ってるだろう!」
「じゃあ、なんで作物のほとんどがダメになってるんだ」
「俺は知らねぇって言ってるだろう!」
ん?あれってレイスとロイじゃないか?
「レイス、ロイ、どうした?」
「あ、マンドラゴラ。ロイが作物がダメになったのは俺の管理能力不足だって言うんだ」
「実際に前まではこんなことなかったのに、お前が任されてから少しずつダメになっていったじゃないか」
「二人とも落ち着け、確たる証拠がない状態で言い合ったって何も始まらないだろう。まずはダメになった作物達を見て行こう、話はそれからだ」
ふむ、農業素人の俺の目から見ても全部食すのが不可能な状態になっている。作物の所々が変色したり、栄養素が足りなかったのか、しわくちゃになっているものもある。
枯れたりしてるものに関してはまだ人為的なミスで説明がつく、だがこの変色具合は明らかにおかしい。
「なぁロイ、今までにこうやって変色することはなかったんだよな?」
「あぁ、こんなのは見たことがない」
ここはパイセンに頼ってみますか。
(リアパイセン)
⦅はい、⦆
(この農作物の変色について知りたい)
⦅承、主、この畑の土を摂取してください⦆
(おい、ふざけてるのか?俺は土が大好物だと言った覚えはないぞ?)
⦅否、マンドラゴラである主が土を食べても問題ありません⦆
(確かにそうかもだが、俺の尊厳の問題なんだよ)
⦅.........⦆
(....あぁ、もう分かったよ。食えばいいんだろ、食えば!)
遂に俺は土まで食べるようになってしまったのか、、何か大切なものを失った気がする。
⦅解析...この変色は魔獣の毒によるものだと思われます⦆
(ん?今、毒って言ったよね?さっき俺が食った土にも含まれてたのかな?)
⦅はい、⦆
(はいじゃねぇよ、はいじゃ!何主に毒物を食べさせてんだよ!)
⦅主には毒無効スキルがあるため、問題ありません⦆
(そういうことじゃなくてだな、主に毒物を摂取させたのが問題だって言ってんの!)
⦅理解不能、論理的説明を求めます⦆
特異スキルのAIに討論で勝てるわけないよな...
(それで、この問題はどうやったら解消できる?)
⦅はい、魔獣は地中の中にいるため、「固有スキル:大地魔法」の使用を推奨⦆
そういえばそんなのもあったな。
(リア、俺のイメージの反映を補助してくれ)
⦅承⦆
そうだな、害虫駆除といったら殺虫剤...水魔法も組み合わせればいけるか。
⦅イメージ反映完了、いつでも発動できます⦆
「水殺地」
畑の上空に直接魔力を密集させ、雨雲を生成し雨を降らす。この雨には俺の大地魔法で魔獣をあぶりだす性質が加えられている。地中の中で殺すのもありだったが、畑に不純物がこれ以上混ざるのは困る。
「「「ギィィィィ」」」
地中から五匹ほどの巨大なミミズが這い出てきた。
うわぁ、なんだあの気持ち悪いの。リアパイセンあれ何?
⦅グラウンドワーム、主に作物や植物などから栄養素を奪い取り、自己強化を促す魔獣です⦆
ワームか、、俺虫とかは前から苦手なんだよな。
「うわぁ~グランドワームだ、早くライルを呼んで来ないと」
そう叫びながらレイスとロイが村の方面目がけて走り出す
逃げ出す瞬間も同じって、あいつら実は仲良いんじゃないのか?
これ以上騒ぎになって犠牲者がでるのは余り望ましくない。
そうと決まれば、俺がやることは実に単純だ、害虫駆除だ!
誤解を招かぬため、当小説を気軽に不信感を抱かずに快くご愛読頂くために多くの方が抱いたであろう疑問点について釈明させていただきます。
転スラに似ているという意見は多くの方に頂いているのですが、似せるつもりは当初からございませんでしたのでご理解のほどよろしくお願いします。
弁明としましては、転スラの大賢者らとこのスキルは人格かどうかが誤解を防ぐうえで重要だと考えています。
転スラの方では世界の一部システムという風に述べていたと思いますが、当小説では人格と意識の複製、その複製体に記憶などを送り込むことで膨大な知識を保有する者にした、といった感じになっております。
基本的に誹謗中傷が含まれていない感想でしたら、ネタバレにならない限りで質問に答えていく次第でございます。普段自身の物言いがきつく、相手が快く思わないのでは?と思っている方でも、どうぞお気軽にお書きください。