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3話-ステータス

この世界の力の均衡に少し触れます

歩いて数日、俺は道中何十匹もの魔獣を倒した。そしてやっと俺は森から出れた...と思ったらその先にも森があった。


「ふざけん...あれってもしかして」


発狂しかけた俺の目に映ったのは開けた場所にある村落だった。すぐには向かわず遠くから少し観察をする。まず、この森に人が住んでる気配はない、それにあの村落の建築物はとても人工物とは思えないようなレベルだ。幾つかの木を地面に突き刺し、その上に藁などを括り付けといったところだ。

石器時代じゃあるまいし...とツッコミを入れてたら、家?から人が出てきた。だが、よくよく見たらそれは人ではなかった、頭に獣耳が、腰には尻尾が生えていたのだ。


「この特徴は...獣人族!?」


思わず叫んでしまった、これは失礼。知性がある人間以外という俺の希望に当てはまってるかは正直言って微妙だが、動物好きな俺には何の問題もない。


じゃあ、さっそく接触を図ってみますか~


俺が村落の入り口付近に近づくにつれて急に村が騒がしくなった。


なんだ?襲撃でも受けてるのか?

もしそうなら困る、次にいつ村落を見つけられるか分からない。


助けに行こうと門をくぐろうとした瞬間、俺の眼前に矢が迫ってきた。魔獣との戦闘を数十回こなした今の俺からしたら避けるのは容易だった。


全く、住民になるかもしれないであろう者に対して、いきなり矢を放ってくるとは...


「そ、そこのお前止まれ!」


門前に立つ犬耳の見張りが足を止めるよう促してきた。


「私はこの村落の長と話をしに来ただけです。村長のとこまで案内をお願いできませんか?」


こういう輩との会話は嫌って程前世でしてきた。


「お、お前みたいなへ、変な輩を村に入れることはできない。」


「何でそんなに怯えているのですか?第一、私はあなたたちと同じ魔物です。」

「ど、どこに歩行と会話ができる植物がいる!」


え、植物?あの門番、今確かに俺のことを植物と呼んだよな?俺植物に生まれ変わってたのか...確かにそれなら地中に埋まってたのにも納得がいく。

「すいません、たぶん私は変異体なんだと思います。」

「村のやつらが所々でお前を見つけて噂になってたんだ。そこでお前が村に来たせいで、今村は大騒ぎだ!」


まぁ、確かに歩いて喋れる植物なんかが村の周辺にいたら怖いか。


「それは大変申し訳ありません。今の私がそちらにお邪魔したらさらなる混乱を招きかねないのは重々承知しています。ですが、私が村長に合い、この村落を襲うつもりがない旨を伝えるのが得策だと思うのですが..」

「.....少し待ってろ」


そう言って門番さんは村の中に入ってた。


しばらくして門番さんと高齢の獣人がでてきた。あのご老人が村長なのだろう。


「こんにちは小さな植物さん、私は獣人族の長をしているオリフと申します。」

「初めましてオリフさん、私は...」


ふと思ったのだが、今植物である俺が名前を、しかもこの世界では聞き馴染みがない名前を持ってるのはおかしいのでは?うーん、どうしよう代わりの名前なんて考えてなかったし...


そんなことを考えているとオリフさんが口を開いた。


「この村に用事があるとのことですが、如何様なご用件で?」

「あぁ、そのことについてなのですが、単刀直入に言うとこの村に住まわせてほしいんです」

「住む、ですか...はい、一向にかまいませんよ」

「ほんとですか!」

「えぇ、問題ありませんよ」


よかった〜これで拠点ゲットだ。村長もいい人そうだし、


「しがない私たち獣人族の村ですが、これからよろしくお願いしますね」

「はい、よろしくお願いします!」


そう言って俺は門をくぐった、そこには子供、中年、ご老人、と色々な年代の者たちが楽し気に暮らしていた。


俺の口に生温かく、しょっぱい滴が頬を伝って入ってきた。

こんな温かい光景を見たのはいつぶりだろうな、前世ではずっとパソコンの画面しか見てなかったし..


「どうされたのですか泣かれて?」

「え、あ、自分泣いてますかね?」

「えぇ、ですが悲し気に泣いてるようではないようですね」


今日から俺はここで暮らすのか、、楽しみで仕方がないな。


「住まいを作るまで私の家に住む、でよろしいですか?」

「あ、はい、それで大丈夫です」


「村長、その歩いてる植物さんはお客さん?」


後ろから透き通っていて、どこか甘く、優しいような声がした。

そこには狐のような耳に、ふさふさの白い尻尾をぶらさげた、雪のように真っ白な女性が立っていた。


綺麗だ...って何を見惚れてるんだ。


「おぉ、白夜か、この方は客人ではないよ、今日から私たちと一緒に暮らすことになったんだよ」

「初めまして白夜さん、今日からお世話になります」

「喋れる植物さんなんて初めて見たわ、これからよろしくね」



村長さんの家に着いた。


「村長さん、色々と聞きたいことがあるんですがいいですか?」

「オリフで大丈夫ですよ、なんでも聞いてください。あと、そんなに畏まらなくてもいいですよ、あなたはもうここの住人ですから」

「はい、分かりましたオリフさん。それで聞きたいことなのですが自分のステータスを確認することはできますかね?自分が何の植物かも分からなくて困っていて..」


「それなら鑑定スキルを持ってるライルに頼んでみるか」


鑑定!?さすが異世界、分かってるな~


「今から行ってみるか?」

「いいんですか!?」

「あぁ、皆への挨拶も兼てな」


ライルさんはオリフさんの家の二個隣に住んでるのですんなり行けた。


「ライル、居るか?」

「村長どうした?」

「は、初めまして、今日からこの村にお世話になります。」

「あぁ、お前がラリフが言ってたやつか」


ラルフはさっきの門番さんのことだ。

後から聞いた話なのだが、ライルとラルフは兄弟らしい。


「ライルよこの者に鑑定スキルを使ってやってはくれんか?」

「ん?あぁ、別に構わないぜ」

「ほんとですか!?」

「しかも、鑑定対象が望まない限り鑑定内容は他言無用にするようにしてるしな。じゃあ今からはじめっか、鑑定!」


なにか自分の核心を見られたような感じがした。


「どうですかライルさん?俺にも見せてもらえます?ライルさん?おーい、おーい」

「あ、あ、あぁ構わないぜ。ほら」


俺の脳内に俺の鑑定結果が流れ込んでくる。



名前:なし

魔力量:1000

種族:マンドラゴラ

スキル:炎魔法、風魔法、音操作、毒素調合、並列思考、思考分裂、炎耐性、物理耐性、毒無効

種族固有スキル:植物魔法、大地魔法、空腹無効

特異(エラー)スキル:魂消咆哮(マドラスフォルス)、約束の忘れ手形、全典極界(グリテル)

称号:なし



なんだよマンドラゴラって、あの引っこ抜いたら叫ぶやつか?でも、それなら俺の口からあんな咆哮が出たのも納得だ。



スキルが増えてるのは大体予想がついてる、おそらく俺の特異スキルの「魂消咆哮」で名前の通り、相手の魂を攻撃し死に至らせ、魔獣の魂を取り込む。これにより相手が持つスキルを獲得したのだろう。それに、他のスキルで倒しても魂を取り込めるようだ。


ところで特異スキルってなんだ?約束の忘れ手形ってなんだよ。ていうか、名前なしって...名前を考えないとな。


「おい、マンドラゴラ、お前なんだよこのステータス!なんで植物のくせして魔力量が俺より多いんだよ!それにお前特異体だったのかよ」

「あぁーたぶん、魔力量は他の魔獣から吸収したからだと思います、ところで特異体ってなんですか?」


ライルに代わってオリフさんが説明してくれた。


「特異体というのはこの世界で、その存在が四体しか確認されてない、超特殊(レア)個体のことだ」


「へぇ~この世界で四体しか...って四体だけ!?少なくないですか!?」

「それほどに珍しいということじゃ」

「その四体って一体誰なんですか?」

「ギルガ帝国の《永遠にして、絶対君主、ギルガ・クラウス》、《孤高の死神、リア・クライス》、《無慈悲の剣聖、シン・ファリス》、《無名の破壊神、アリス・テイル》。リア様、アリス様、そしてギルガ様は妖魔人(カオスデモニア)で、シン様は人間です」

「そんな大層な人たちと同じぐらい稀有とか光栄だな~」

「何言ってんだ、光栄なんてレベルじゃねぇよ。その気になれば一国の主になることもできるんだぞ!」

「いや、別に国王になる気ないし。」


え、なんで二人とも黙ってるの!?俺、そんなおかしなこと言ったか?


「ところでさっき、魔力が増えたと言っておったな?」

「え、は、はい。それがどうかしましたか?」

「はぁ~、どうしたもこうしたも、魔力の総量が増えるなんてことはねぇんだよ!」

「え、そうなの!?」

「そうだよ!大体幼少期の間に魔力総量が決まるって言われてる」

「たぶんなんだが、魔物を倒したときにでる黒い霧みたいのを吸収してるからだと思う」

「魔霧のことかな?いや、でもそれを吸収するなんて芸当、聞いたことがない」

「魔霧ってなんですか?」

「魔霧っつーのは俺たち魔物や魔獣を構成してる魔力の塊が細かくなったものだ」


まぁ?俺は特異体だし?ちょっと特別でもいいよな。


「この話はここら辺にして、そろそろ日没なので簡単な歓迎会でもしようじゃないか」

「おぉ、そりゃいいな!久々に酒が飲めそうだぜ」


酒か、、前世では酒に弱すぎて、いつも3杯目ぐらいでリタイアしてたな。


「それじゃあさっそく村のやつらに知らせてくるぜ」

そう言ってライルは足早に家を出ていった。


「お主は私の家で休んでいるといい」

「分かりました、歓迎会楽しみにしてます」



藁のベットだが、うん、野宿よりは圧倒的にマシだ。あのクソ硬い地面で寝るのは二度と御免だ。

おし、少し寝るとするか...



「おい、おい、起きろ」

「あ、ライルさん?どうしたんですか?」

「お前の歓迎会の準備が整ったから呼びに来たんだ」

「何から何までありがとうございます」


さて、この世界の食文化はどんなもんかな~



多種多様な獣人が一つの焚火を囲み団欒をしている。こう見るとほんとに全員家族みたい

だ。


「皆よ、この者が今日から村に住むことになった...名前はなんていうんだ?」

「それが、自分、名前がなくてですね...」

「...このマンドラゴラと仲良くしてやってほしい」

「紹介に預かりました、マンドラゴラです。昼間の件につきましてはすみませんでした」

「「「..........」」」


やっぱり昼間の件で警戒されてるのかな?


だが、そんな俺の心配を裏切るように住民たちが口を開く。


「すげぇ~植物が喋ってるぞ」

「マンドラゴラと暮らすことになるとはな」

「マンドラゴラのあんちゃん、これからよろしくな!」


よかった〜この人たちの当たり障りない性格に感謝だ。


「皆、今日は久々の宴だ!羽目を外しまくるぞ~」


ライルさんってリーダー的存在なんだな。


ところで、疑問に思ったのだが、植物ってお酒を飲んでいいものなのだろうか?

うーん、でもまぁいちよう俺って魔物に分類されるようだし..少しぐらいいいよな


魔獣と魔物の違いは知性があるかどうからしい。


ごくり。


う、なんだこの酒、まったく美味しくないぞ。

生ぬるくて、アルコール度数が無駄に高いだけの水を飲んでるようだ。


あー、やばいフラフラしてきた。


「マンドラゴラ、あんまり酒が進んでないようだが苦手なのか?」

「そうなんだよ、少しクラクラしてきた」

「そいつは良くないな、酒はやめて飯を食うのはどうだ?」

「頂こうかな」

「ほら、今朝狩った鹿肉だ」


おぉ、すごい、マンガ肉なんて初めて見た!男なら誰しもが一度は食べてみたいと思ったことだろう。やばい、涎が...


では、いただきまーす

ガブッ!


う、美味い。肉汁が溢れ出てくる、味が薄いのが難点だが十分だ。

俺は空腹無効のスキルを持ってるのだが、お腹が空かないだけであって、飯はおいしく食えるらしい。


宴はそのあとも2,3時間ほど続いた。

宴の最中に聞いたのだが、主にこの村での仕事は、男性が狩猟、鍛冶、畑仕事、女性は家事、育児、織物といったところらしい。


あれ?マンドラゴラにできる仕事なくないか?狩猟ならギリギリできるかもだが、鍛冶や畑仕事といった力仕事は無理だ、桑すら持てないだろうし...さすがに異世界版ニートになって追い出されるなんていうのは嫌だな。


投稿間隔、そして文字数はバラバラですが楽しんでいただけたらと思います

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