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鎧を作ってもらおう!

タウンハウスとはいってもしばらく人が住んでいないので庭は荒れ放題、でも建物は流石にしっかりしている



馬車を降りると御者が


「お嬢様、わずかですがお役に立ててください」


そう言って結構なお金とパンと干し肉を渡してきた。


「お嬢様の力になりたくても私に力がなくて申し訳ありません。」


御者の気持ちが嬉しい



「トーマスありがとう、この恩は必ず返すわ」



マリーゴルドは涙ぐんでしまった



「お嬢様!わたしのなまえを知っているんですか!」



驚く御者



「もちろんよ、お母様と一緒によく馬車に乗ったもの」




「お嬢様!いつでも駆けつけますから」



トーマスは泣き出した。



「お嬢様!明日から仕事の合間にこちらにも顔を出します!」


「無理しないでね。継母に目を付けられたらクビになるわよ」


「もうこの歳です。好きに生きますよ」



そう言ってトーマスは帰っていった




さぁ家に入りましょうか




タウンハウスに入って裏口から出て、隣の家に入る



うん、めんどくさいわ



ソファーに座って落ち着く


こちらは家具も全て揃っている。事前に準備をしていたのだ


「やっと自由になれたわ、メアリーのおかげね」




「おめでとうございますお嬢様」




「とりあえず食事にしましょう。明日には5人をこちらによびます。」


台所に向かうメアリー



「五人も呼んで大丈夫かしら?」



「新人のメイドなど誰も覚えていませんよ」



「あの三人ならそうよね」




簡単な食事をしながら、


「カラード家の方は順調に回復しているのかしら?」



「お嬢様のお陰でお兄様も元気になっております。」



そう言って深々と頭を下げるメアリー



「もちろん領内の死病の方も回復しております。この恩は必ず返します!」



「カラード領内で信用できる男の人で冒険者ギルドに登録して私と行動してくれる人とかいてるかしら?別に弱くても構わないの。」



「では速達でお父様に打診してみます。」



「それと、メイド達に来る途中に私のサイズでフルプレートの鎧を作ってもらうように依頼してきて。そうね、見た目は優雅にしてもらって重くてもらっても構わないわ、頑丈なの作ってもらって」



「かしこまりました」




「あとは商会と話がしたいわ。何軒か見繕って」




「それも調べてみます。少し時間がかかるかもしれません」



「かまわないわ。私もなにか売れる商品を考えてみるから」



「お嬢様が商品を作られるのですか??」



「もちろんよ、これからは自分で稼ぐわ」




〜〜〜~~~~~~~~~~~~~



次の日、メイド5人と御者は佇んでいた。



やけに視線を感じる。目立ちまくっている



冒険者ギルドの近くの工房に入る



「ごめんください!鎧を作ってほしくてお訪ねしました。」


店員が手を止め愛想よく答える


「ようこそいらっしゃいました。鎧でしたらこちらはいかがですか?」


笑顔で対応する店員。


「いえ、特注でフルプレートメイルを、重くてもいいので頑丈に作って欲しいのです。」



「特注ですか・・。お時間がかかってしまいますが、よろしいですか?」



「作ってくれる工房を紹介していただけませんか?お礼はします。」



店員は考える素振りを見せて


「町外れのガルシア工房、主人は偏屈ですが腕は確かです。作ってもらえるかは交渉次第になりますが」


「ありがとうございます。これはお礼です」


「え!こんな大金?」


メイドは金貨を握らせて店を出た。



外に出てガルシア工房の噂を集めると、ガルシア工房は腕はいいが気に入った相手にしか作らないという偏屈な人らしい。本人がいないのに作ってくれる可能性は低そうだ。さて、どうしたものかとメアリーは考えた。



ガルシア工房は予想に反してきれいな工房だった。



「ごめんください、フルプレートアーマーを作っていただきたくお訪ねしました」


中から筋肉たくましい中年の男性が出てくる



「どいつの鎧作ればいいんだ??」



「本日はこちらにいらしてない私共のお嬢様の鎧です」



「お嬢様???そんなか弱い奴に鎧なんて着れるかよ」



そう言って手をヒラヒラさせた。



「お待ち下さい、ご主人の仰ることは最もでございます。しかしながらお嬢様は重くて頑丈な優美な鎧を所望です。」



ガルシアが立ち止まる




「俺には関係ない話だな」




さらにメアリーは続ける




「お嬢様は鎧を着て動けないだろうと職人がおっしゃるならこう言うようにと言付かっています。」



「動けるわけ無いだろ。で、何て言ってるんだ?」



「もし鎧を着て動けないなら料金は10倍払うと、そして、貴方の作った鎧を着た戦士は世界に名を轟かせるだろうとおっしゃいました」



「はぁ??お前ら、鎧がいくらするかわかってんのか??、それに貴族のお嬢様が戦士になるってのかい?」



「お嬢様は聡明なお方です。きっと鎧を着て動けると確信されておられるのです。払うことのないお金ですから10倍でも20倍でもお約束されるかと思います」



ガルシアは意地悪な顔をしてにやりと笑い


「大きく出たじゃねえか、なら100倍でも文句ねえよな?」



メアリーは躊躇なく答える



「もちろんでございます」



流石にギョッとして



「お嬢様に確認しなくていいのか??」




「お嬢様を信じておりますので」



「おもしれぇ!お前はここに来て一度も揺るがなかった!その態度が気に入った!お前さんの慌てるところを見たいものだぜ。そしてその主にも興味が出たぜ」



「それではお作りいただけると?」



「あぁ。職人の誇りにかけて全力で作ってやる。頑丈に重く作るから文句言うなよ!」



「それと重い剣もついでに作って欲しいと仰せつかっております。斬れ味より叩き潰すような剣がいいと」



流石に目を丸くしたガルシアは


「あんたのお嬢様って人間か??」

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