鋼鉄のメアリーと暗部の侍女
「さぁ、こちらにマリーゴールド様、リリーシャ様」
シャロットの案内でまた違う庭園に案内された。
そこは色とりどりのバラが咲き誇り、見事な庭園だった
「ここは私が管理している庭なの。お客様を招いたのは初めてね」
シャーロットがそう言って座るよう皆を勧めた。
「不躾なのだが、すまない、どうやって母上を変えたのだろう?」
第一王子サミュエル。金髪、碧眼。整った容姿だがとても凛々しく。いかにも第一王子といった見た目だ
「兄上、性急過ぎますよ、たしかに聞きたいことたくさんありますけど。私は同じ歳ですので学園で会えるの楽しみにしています」
第二王子ルイス、金髪、碧眼は同じだが優しい雰囲気だ。
「派閥の関係でなかなか話す機会がなかったのだが、私もいていいのだろうか?」
ルルーディア侯爵令息。黒髪、赤眼。顔も凛々しく騎士のように所作のきれいだ。
「派閥と言っても周りが騒いでるだけですから」
シャーロットが取りなすと、
「これから仲良くしてくれると嬉しい」
そう言ってサミュエルが微笑みながら手を差し出した。
「殿下ありがとうございます」
ルルーディアはそう言って手を取った
マリーゴールドは椅子に座り、サミュエルに答えた
「先程の質問に答えますが、母の思いを伝えただけです。」
「そうなのか、ずっと張り詰めていた母上の顔付きが柔らかくなって最近はよく笑うのだ。感謝する」
リリーシャはずっと緊張してるが、
「やっぱりお姉様はすごい人だったんだ。」
「リリーシャ様もこれから学園でもよろしくお願いしますね」
シャーロットは優しくリリーシャにも声をかける
「は、はい!でも私は・・」
「リリーシャ、大丈夫よ」
マリーゴールドは優しくリリーシャの手を取り微笑んだ。
リリーシャはそれを見て頷く
「姉だけでなく私にもそのような言葉ありがとうございます。」
流石に貴族の娘、リリーシャがようやく落ち着いてくれたわ。
「マリーゴールド・エリンシュタイン令嬢、秘密であるなら申し訳ないのだが、多分ここにいる者は知っていると思うので言わせてもらうが、貴女はあの黒騎士なのだろうか??」
みんながルルーディアを見る。侯爵家とはいえ騎士を多く輩出するノワゼット候爵家。真っ直ぐな瞳でマリーゴールドを見つめる。それは恋するかのように熱い瞳だった。
「隠しても仕方ないですが、初対面で乙女の秘密を公然と話すのは感心しませんわ」
そう言ってルルーディアに近寄って耳元で
「悪い人ね、ルルーディア様」
と囁いた
ルルーディアの顔が真っ赤に染まり
「そ、それは、申し訳ない、しかしどうしても貴方とその強さの秘密を知りたくて。」
「ふふふ、かまいませんわ」
前世の記憶を持つアラサー女子をなめるなよ、このくらい余裕余裕。ちょっと悪役令嬢みたいじゃない?
ルイス第二王子が第一王子に
「本当に引きこもってたの??なんか色々すごいんだけど??」
「なんか色気がすごい。傾国の美女のようだな」
第一王子も驚いている
「マリーゴールド様!からかわないでください。洒落になってませんわ」
シャーロットが慌てる
「一度こういうセリフ言ってみたかったの。ごめんなさい、私が強いかと言われたら強いですが無敵ではありませんわ」
頭を下げながらルルーディアに話をする
「それはどういうことでしょうか?」
「相性があると言うことですわ。例えば、今から私とメアリーが戦えば私が負けることはありえません。」
メアリーを見ながら話すと、メアリーは軽く頭を下げる
「しかし、初見で一対一の勝負をしたらメアリーに勝てる方はほぼいないでしょう。たとえそれが近衛騎士だとしても、ねぇメアリー貴女負けないわよね?」
「お嬢様、私はたとえ相手が騎士だろうと負けません」
「証明してほしいが、とは言っても今から騎士と模擬戦するわけにはいかないし」
サミュエルが口をはさむ。
「こちらの侍女は護衛も兼ねてらっしゃるようですから、侍女対メアリーでいかがかしら?血で穢すわけにはいきませんから、カラトリーのナイフを使いましょう、ナイフを首に突き付けた方の勝ということでいかがかしら?」
皆がシャーロットを見る
思案するシャーロット。
それを見た侍女が
「発言お許しくださいシャーロット様、その勝負させていただきたく。」
「フィーネ!本当にやるの?」
フィーネと呼ばれた侍女は頷く。孤児で暗部出身だったが、シャーロットに見出されこうして侍女として、護衛としてシャーロットに仕えている。暗殺を得意とする、それだけに暗殺者の行動は読めるのだ。そのための護衛。初めて人として接してくれた慈悲深いシャーロット。その恩に報いたい。
ナイフの勝負なら勝ち目はあると、そう思った。
鋼鉄のメアリー
そう王妃様が称賛した侍女が目の前にいる。
王妃にこれほどの侍女がいればと言わしめた
シャーロット様は私達の侍女も優秀ですと、
優秀ですと言ってくれた!それを証明するためにも!
勝ちたい!
「わかりました。フィーネ約束して、勝っても負けても私の侍女としての誇りを持ちなさい。変わらず仕えるのですよ」
「わかりましたシャーロット様、私は生涯お仕えします。負けてもお仕えすることをお許しください」
「だめよ生涯なんて、貴女は結婚して幸せになって子供産んで、私の子供の乳母になって貰う予定なの。」
部屋の端へ移動する2人。
フィーネはメアリーを見るが、どう見ても強者のオーラがない。素人なの?でも油断はできない。
「はじめ!」
サミュエルが合図するとメアリーが無造作にフィーネに向かって歩きだした。
「むっ?」
ルルーディアが怪訝な目メアリーを見る。
『まるで無警戒だ。いや、自然体というのか。メアリーが達人すぎて普通に見えてしまっているのか?どうするフィーネ』
ルルーディアは武門の侯爵家。それなりの心得はある。
フィーネもジリジリとメアリーに近寄りながら間合いをはかる。
ここだ!
フィーネが地面を蹴り、メアリーに飛び込んだ。
メアリーの右手を抑えて・・抑え??
次の瞬間、フィーネの首にナイフを突きつけたメアリーの姿があった
「え??なんで??完璧なタイミングだったのに??」
呆然とするフィーネ。
いや、この場にいる皆が呆然としていた
フィーネに悔しさが込み上げてくる
「シャーロット殿下、不甲斐なく負けてしまいました」
涙をボロボロ流すフィーネ。
「いいえ、フィーネ、素晴らしい動きでした」
ねぎらいの声をかけるがフィーネは顔を振るばかりだ。
「メアリー、フィーネさんはどうでしたか?」
マリーゴールドが問うと
「素晴らしい踏み込み速度でした。このような素晴らしい侍女が仕えているとシャーロット殿下も安心でございましょう。」
そう言ってメアリーは頭を下げた。
そこに、ソワソワとしたルルーディアが
「俺もやらせてもらえないか??」
挑戦するもフィーネ同様負けてしまった。
「どういうことだ?たしかにつかんだと思ったらすり抜けて。気がつけば首にナイフが・・。」
呆然とするルルーディア
「発言よろしいでしょうか?」
メアリーが許可を求める。サミュエルが頷いたので
「まずは誤解なきように、私がフィーネさんに勝てる事はとても少ないということです。私が勝てる勝負をしたというだけです」
さらに
「私の魔法は光魔法。私の居場所を誤認させる魔法を使っています。この魔法はマリーゴールド様から教えていただきました。」
「ルイスは知っているか?」
「聞いたことありません、光魔法は暗いところを照らす。眩しい光を出して目眩ましするくらいしか・・・。魔法局局長に聞いて見ないと」




