王妃様
ステラマリーは泣いていた。
隣国から留学し、王太子の婚約者となり王家に入った。味方の少ない中で隙を見せずずっと張り詰めて生きてきた。隣国の王族として侮られぬよう、そればかり考えて
味方を作り確固たる地位を築いたが、ステラマリーにとって学園時代のローズマリーとアンネマリーとの思い出は唯一の気のおけない友との輝かしい思い出としてまた蘇ったのだ。
「私はなんと愚かだったのか。親友の娘を試すような真似をするなんて。あぁローズマリー、ローズマリー・・・許して、ローズマリー」
「お母様・・・」
シャーロットも困惑するほどの号泣だ
「ローズマリーの娘、すまなかった。あぁ、ローズマリーの面影がある、何よりその真っ直ぐな気質がまさにローズマリーの娘だ」
その後しばらく涙を流したステラマリーだったが。
泣き止んだあとは柔らかな顔になっていた。
「お母様、その、お顔が、いえ、雰囲気がなにか変わったような気がします」
「片意地張っていたからかしら。シャーロット、貴女も学生時代にきちんと友達を作るのよ。」
「はい。いい友達を作ります」
マリーゴールドは
「ステラマリー王妃様。母はとても幸せでした。」
「ステラと、ローズの娘だろう?そう呼んでほしい」
「えっ?」
「母上様!」
シャーロットの知る限りステラと愛称で呼ぶのはこの国では父上である国王だけだ!
「ほら、呼んで。ローズの娘は商才もあって自立しててすごいわ!」
なんか口調も変わった!
「ステラ様。」
「マリーゴールド、貴女も学ぶ権利、色んな人と出会う権利があるわ学園に通いなさい。実家には返せないわね。うちで預かるか・・。」
うちって王宮じゃない!
マリーゴールドは慌てて
「ありがたい申し出ですが、実家の方は私が始末をつけます。そのあとで学園の方は通ってもいいと思っています」
「今の住まいはどこなのかしら?何かあればすぐ連絡したいから教えてくれない?」
「公爵家のタウンハウスの隣です。ステラ様」
「それは大胆不敵!さすがローズの娘ね!」
しきりに感心する王妃
マリーゴールドはあることを思い出して
「ステラ様、面白い体験ができるのですが、1週間後の夜ですが予定がなければお誘いしてもよろしいですか?」
いたずらっぽくマリーゴールドが詳しく話すと
「ふふふ、マリーゴールド貴女は本当に面白い子ね。まるで演劇のようだわ。ええ、何があっても行きますわ。シャーロットそなたも来なさい、なかなか体験できることではないわ」
「護衛は目立たぬようこちらで衣服は用意します。」
そうして王妃様と約束をしてお茶会は大成功で終わったのだった