王妃様と話をしよう
そして3日後、あっという間に王妃様と会う日だ。
マダムの服を着て、朝からメイドに磨かれて、令嬢って本当に大変だ。
「ようやくお嬢様を思う存分磨くことができますわ」
メイド達がかいがいしく世話をしてくれる
「さぁ、用意ができたら王城に行くわよメアリー!」
馬車は借りてきたが御者はトーマスだ。
「お嬢様、再びこうやってお会いできたこと嬉しゅうございます。」
馬車に揺られ、王城につく。
メアリーが門番に先日の手紙と招待状を手渡した
「王妃様がお待ちです、こちらに」
そう言って城の中に入り侍女に取り次ぎをする。
侍女がメアリーからの荷物をチェックする。
チェックが終わると荷物をメアリーに返した。
「王妃様のもとに案内します」
侍女が歩き出す。王城は広い、しばらく歩いたところで侍女が止まり
「王妃様、マリーゴールド・エリンシュタイン様をお連れしました。」
そう言うと中から扉が開く。
そこは庭園であった。緑豊かで、芝生と花が咲き誇っている。
す
「そなたがマリーゴールド・エリンシュタインか?」
「お初にお目にかかります。我が国の宝石であられるステラマリー様、そして妖精姫であられるシャーロット様。マリーゴールド・エリンシュタインと申します、本日はまことにありがとうございます。」
「うむ、さぁ座るがいい。そしてまずは詫びよう。先日はそちの侍女に酷なことをした、メアリーといったな、すまなかった。」
王妃が侍女に詫びる、前代未聞だ。王宮の王妃つきの侍女達も目を見張る
「過分なお言葉真にありがとうございます。その言葉メアリーに何よりの褒美となりましょう」
そう言ってお辞儀をした。
「この国の第一王女シャーロットよ。今日はお母様に無理を言ってご一緒させてもらったの」
さらにお辞儀をしてシャーロットは座る
「色々聞きたいことがあるのだが、とりあえずはお茶にしよう。」
侍女が素早く動きお茶の用意もする。メアリーも動こうとしたがマリーゴールドが止めた。
「お茶菓子をおもちしました、メアリー用意して」
貴族のお茶会ではお茶は用意した同じものを使うが基本自分の家の侍女がお茶を入れる。
毒の混入を恐れるためだ。それを止めたということは王妃を信用していることの証となる
「かしこまりました」
「ふむ、そなたの侍女は全く揺るがぬ、その心は鉄のようだ。それに初対面なのに随分と信用してくれるのだな」
「王妃様にはお願いしたいこともありますので」
そう答えると
「お願いとは家の事か?」
「まさか!家のことは自分でなんとでもできますわ。私は今の自由を満喫しております」
あの火災のこと、あれは予定通りだっだのだろうか?王妃は思考する。
「こちらは私が開発した新たなお菓子となります。ご賞味ください」
そこには皿にきれいに盛り付けられたショートケーキとプリン、
侍女が毒見をする。
「えっ、なにこれ!」
そして赤面し
「しっ失礼しました!」
毒見役が声を出すなどありえない
「よいよい、そなたが声を出すほどのものとは、楽しみだ。いただくとしよう」
「こちらは王妃様の侍女達に」
メアリーがそう言ってプリンを差し出した。
プリンとショートケーキを食べた王妃と王女が驚愕している
「口にするもので驚愕するのは初体験だな。」
そしてステラマリー王妃は堪えきれず笑い出した
「ふふ、あはは!シャーロット、そなたのそのような顔見るのはいついらいか」
「お母様!」
シャーロットの顔は真っ赤だ。
「失礼しました。それで、こちらのお菓子はどこで購入できるのかしら?」
「こちらは私オリジナルの菓子ですので今は店を作っている最中ですわ。そこでお願いなのですけど、王妃様の名前をお借りしたいのです」
「なるほど。高位貴族への抑制だな。それで私のメリットは?」
「このお菓子を売り出すと瞬く間に売れて入手困難になるかと思います。ですから月に数度、王妃様に献上いたします。大切なお客様が来られるときはお声掛けくだされば対応いたします。そして新たな菓子を開発したときも献上します。」
「ふむ、メリットがいささか多い気がするが。もし私が断ればいかがする?」
「その時はアンネマリー侯爵夫人に庇護を願います」
そこで王妃の眉が歪む
「アンネマリーだと」
アンネマリー・ノワゼット侯爵婦人、ステラマリーに並ぶほどの王国の至宝と言われる婦人だ。社交界の双璧。ライバルとも言える関係だ。
「ここでそなたを拘束してレシピを独り占めするといえばどうするつもりだ?」
マリーゴールドは
「その心配にはおよびません、誰も私を捕らえることはできませんから。」
「タウンハウスの火災から生きのびたのは何か理由があるのだな」
シャーロットは身震いしていた。未だかつてお母様にこのような口を聞くものは見たことない。
「そうですね、そこの侍女はボディーガードもかねているでしょうけど、試してみますか?」
剣呑な空気が増していく
マリーゴールドはそんな空気を読まずに
「私はめんどくさくなったら全て捨てて違う国に行って色んなところ見て回って、いろんな美味しいもの食べて、商人か、冒険者にでもなって、誰にも気遣わず生きるのが夢なんです」
王妃はさらに凄みを増す
「爵位を捨てるだと?貴族に生まれた責任はどうする?」
「王妃様、私がいなくとも親戚の子などなんとでもなりましょう。何なら王家直轄地にしてもよろしいじゃありませんか?それに私は公爵家から貴族扱いされてませんし。生きにくいなら国を捨てるの当たり前ですわ、私はどこででも生きていけますもの」
ステラマリーは一瞬寂しそうな顔をした。
「そなたは自由なのだな。」
「商人と言いましたが、実はこのような品をお持ちしました。メアリー。」
そう声をかけると、メアリーがマリーゴールドの頭から水をぶっかけた!
あまりのことに固まる侍女たち
「な!」
流石に王妃も王女も絶句している
「皆様、湯浴みしたあと髪を乾かす魔道具でございます。」
そう言ってメアリーがドライヤーを取り出す。
「髪も艶々になるのです。使い方は侍女にお伝えしていきます」
「これは!素晴らしい!」
「そしてこちらはヘアアイロンと申しましてこうすると」
髪にきれいなウェーブがつく。
ゆるふわな髪型に変身
「巻き方により色々なアレンジが楽しめます」
「なんと優雅な髪型なのだ。」
「そしてこれが縦ロール!」
そう。この世界縦ロールが存在しない!やっぱこういう世界は縦ロールないとね。
「そなたは商人としても生きていけるというのは本当なのだな」
「最後にこちらを。防犯装置になります」
「これは?」
説明をすると、騎士団長に説明をするよう言われメアリーが説明のため退席する。
「どれも素晴らしい品であった。褒美を取らせよう。なにか言ってみよ」
マリーゴールドはすました顔をして
「ありがとうございます。王妃様が私の菓子を使って茶会を開く最初のお客様をアンネマリー様一人を招いていただきたく存じます」
流石に王妃の眉が釣り上がる!
「マリーゴールド、心して答えよ、何ゆえだ??」
マリーゴールドは数冊のノートを取り出した。
「このノートゆえでございます。」
「このノートは?」
「母、ローズマリーの日記でございます」
マリーゴールドは王妃を見つめながら答えた。




