第7話 転がり続けたポールポジション 第2戦富士・予選
どうも!ラドロです!今回は模試があったので木曜日に更新となりました…
それでは、どうぞ!
波乱の開幕戦から1ヶ月。再びVRサーキットへと俺たちーーKONーーは足を踏み入れていた。このVR世界はなんと現地の気温と路温をリアルタイムで反映させる素晴らしい機能までついているのだがそのせいか暑い。
今戦から各車には自身のドライバーズポイントに基づき、1ポイントあたり2キロのハンディウエイトを積まなければならなくなった(例外として第7戦では1ポイントにつき1キロ、最終戦は0キロ)。またハンディの仕組みとしてはマシンの後方におもりを乗せるというシンプルなものだが、ウエイトが50キロを超えるとその50キロ分は燃料リストリクターという装置の装着になる。燃料リストリクター、通称燃リスは1秒間にエンジンに流入されるガソリンの量を90%にカットすることで最高速を半減させる。ただ一方で燃費が良くなったりコーナーでのスピードが上がったりとメリットもゼロではない。例を出すなら24ポイントで48キロ、26ポイントで燃リス+2キロとなる。
そこでマシンの変化に対応するため予選の前に10分間のフリー走行が可能となった。早速マシンの調子を確かめるべく俺ーー 創一 ーーはマシンのエンジンを起動させ、コースへと入った。その感想としては
(おっも…)
いや、ハンドル等ではなくマシンの動きが。俺たちは岡山で2位、15ポイントを獲得した。つまりハンディウエイトは30キロ。加速がかなり鈍い。5分経過し、ステアリングを交代した大祐も同じ感想だった。そしてフリー走行から10分の調整時間を経て予選Q1が始まった。
入念にタイヤを温めアタックした結果
『最終コーナーを立ち上がった!KON、岡田大祐がストレートを現在走っているがタイムはどうだ!…1分26秒1!11番手です!』
Q1敗退。やはりハンディがきつすぎた。Q2の間、決勝での作戦を丹念に練ることにした。
ちなみにQ1敗退勢は順位順にイン・ウィダー、ブルーホーク、KON、タキオン、モジューロ、ザ・ファウスト、VRレーシングとなった。
Q2開始時に私ーー高島由衣ーーの運転するクイーンは真っ先にコースへと入った。ハンディを16キロ背負っていながらQ1を望美は6番手で突破した。その努力に報いるべく、またチームメイトでありながらライバルでもある彼女の記録を上回るべくアクセルを踏み込んだ。
『さあ。各車のラップタイムが一気に縮まりました。現在トップは前回もポールを獲得した、アミューズメントGRスープラで1分25秒5。2番手にノーハンディのマザー空力NSX、3番手にクイーンZが登ってきました。残り1分。残り1回のアタックでどんなドラマが
待ち受けているのでしょうか』
私ーー望美ーーは由衣のアタックを見守る。
『まずはアミューズメントがコントロールラインを通過。1分25秒3!コンマ2縮めてきた!そしてさらにはクイーンが自己ベストを塗り替えて最終コーナー!』
(ポールを取れる!)
半ば確信めいた思いをもちながら緋色のZを見つめる。しかしその期待は一瞬で砕け散ることとなる。
『ああああああああ!!Zが最終コーナーの立ち上がりでスピーン!カーナンバー105番のポール獲得の夢は潰えました!』
無言でため息をつく私だった。
そしてポールポジションは誰なのか。今の私たちーーマザー空力ーーの注目はそこだった。
『いまチェッカーです!Zのスピンにより最終コーナーでファースターが詰まった!そして…ああ、もうアタックをやめてピットに入りました。っ!そしてマザーNSXが全体ベストだ!セクター1,2でアミューズメントのそれのコンマ1プラスだったのをセクター3で一気にコンマ5上回った!』
「これセカンドロウ(前から2列目。3,4番手を指す)行けるかもですね」
私ー山本千尋ーは監督であり今アタックしている凛の母親である楓さんに話しかける。
「そうね。もしかしたら2番手に食い込めるかもよ?」
そう返して彼女は画面に視線を戻す。
『そしてメインストレート!パッシングしながらコントロールラインを通過します…1分25秒2!ポールポジションだ!前回ギリギリのところで達成できなかった、ホンダ勢のポールを、マザー空力NSXが達成しました!』
「えええええええ!!」
「っっっよし!!」
二人して絶叫する。前者は私、後者は楓さんのものだ。彼女はすぐさま無線を飛ばす。
「やったね。凛!アンタ、ポールポジションだよ!!」
楓さんの男勝りな祝福の言葉をよそに喜びで頭がいっぱいになる私だった。
最終的にスターティンググリッドはマザー空力、アミューズメント、クイーン、楽天、NTT、チーム無双、ダッシュ、ファースターとなった。
(続く)
さぁ今週も残すところあと3日ですがちゃんと週2投稿はしますよ!明後日頃更新予定です!
今回も読んでいただきありがとうございました。もし本作品を高く評価してくださるなら次回以降も読んでいただけたらと思います。それでは!