自分がやりたいものに創りたいものがそこにある
ある日、学校から部活申告書のプリントがやってきた。それは、どの部活に入るかの申告書であり、奥ノ原高校にある部活に入るか、創るか、特に入らないという三択だった。
政春は、部活申告書が来たことに悩んでいた。
「はぁ~……」
政春はため息をして、どうしようかと考えていた。
「こいつは、まいったなぁ……」
政春は、どの部活に入るか首を傾げていた。
(部活の申告かぁ……、サッカー部や野球部、テニスにフェンシング、文化には演劇部に軽音部、美術部などのエトセトラ……。どの部活に入るか迷うなぁ……)
そこへ……。
「どうした、政春」
「成三か。それが……、部活どうするか考えていてさぁ…。すごく悩んでいるんだよ」
これに成三は、政春の理由に頷いた。
「わかる……、俺なんかまだなんだよ……」
「お前も……?」
「どの部活に入るのか分かんねぇ、すぐ悩む……」
政春と成三は、ため息をした。
「どうしましょうかね」
「どうするかだなぁ」
二人は、頭を抱えていた。
「……」
その様子を、愛は見ていた。
昼休み、政春は自動販売機にて飲み物を買いに行っていた。
「さぁって、今日は何の飲み物にしようかな……っと」
政春はコーヒー牛乳を買い、すぐに飲もうとすると……。
「春ちゃん」
愛がやってきた。
「愛か、どうした?」
「春ちゃん、部活悩んでいるんだってね」
「なんでわかったんだよ」
政春は図星された。
「部活のことでまだ出してないんでしょ?」
「申告書のことか」
「春ちゃん、どうするの?どこかに入るとか、もしくば帰宅部とか」
政春は頭をボリボリかいた。
「俺がやりたいこと、それは分かんないな。自分がどこに行きたいとか、そういうのは全く」
「やっぱり、春ちゃんは春ちゃんね」
愛は笑うと、政春は言った。
「……何が言いたいんだよ」
「春ちゃんは、昔から優柔不断なところあるんだもんね」
「……」
愛は上を向いて言った。
「だけど、放っておけなかったし。私がいじめられた時に、春ちゃんは駆けつけたよね。そんな、誰でも何かを解決してくれる春ちゃん。今も昔も変わっていないよ」
「そうか……」
政春は、愛の言葉に何かを感じていた。
「放っておけないか……」
政春はボソッと口を出した。
「?春ちゃん?」
そして、決意をした。
「決めたぞ、愛。俺は…」
政春は決まった。自分が何をやりたいのかを。
翌日。政春は、愛、小三郎、成三、常之を呼んで、政春がやりたいことを言った。
「部活を創る!?」
4人は、政春の言葉にびっくりした。
「悩みを抱えている奴ら、そいつの依頼を解決するという部活だ」
「アニキ、それって本気ですか?」
常之は唖然としながら言うのだが、これに成三は……。
「なるほどな。困っている奴らをなんとかする、ことわざに言えば『猫の手も借りたい』・・・か?」
「まぁ、猫の手というよりも……、俺は『竜』だな」
政春の理由に、小三郎は言った。
「竜……ですか。若らしいことです」
「だったら、名前なんて言うのですか?部活名とかは?」
政春は部活名を言った。
「名前は『竜解部』だ」
竜解部。竜の如く、解決する部活。政春が考えている部活はこうだった。
そして、政春率いる竜解部の噂が広まった。
「竜のように解決する……?面白れぇことするじゃねぇか、政春」
綱達は、竜解部のチラシを見て興味がわいていた。
さらに……。
「部長、このチラシって……」
「ん?こいつは……」
ロボット研究部の孫寺達は見た。
「この学校でも、本気を出すか?政春にしては、上等だな。俺も、負けてらんないな」
孫寺も好評だった。
その噂は、学校内で広がった。
その頃……。
「しかし、若様。こんなことして、依頼来ますか?」
「わからん」
政春は即答に言った。
「即答かよ」
成三は冷静にツッコんだ。
「だが、ぶらりぶらりと来たらそいつは必ず来るさ」
「つまり?」
政春は言った。
「変えて見せてやるよ、この個性がある学校でな」
奥ノ原高校には、個性が多い学校。何かが起ころうとしているのはあるかもしれないと。
その数日後に、竜解部の初めての部活の事件が始まろうとしていた。