竜と鬼の以心伝心なる絆
常之たちは、綱達を運んだ。
「大丈夫か、綱達?」
「お前ら……、なんで俺を……。こいつは、俺のケジメなのに…」
小三郎は言った。
「若様は、あなたのために思ってくれた。一人で、苦労をしていて。それを知った私達は、そして若様はあなたを放っておけないと」
「大丈夫かよ……、あいつ一人だぞ……」
「大丈夫だよ」
今度は愛が言った。
「春ちゃんは……、強いから。独眼竜の血を持っているから」
その一方では…。
「がはぁ……」
「う、嘘だろ……」
「こいつ、本当に高校生なのかよ……」
「つ、強すぎるだろ……」
全てのヤクザは、政春によって倒された。
「ば、馬鹿な……!こ、こんな奴に……」
「次はお前か」
山下は政春の恐ろしさに、逃げていく。
「ひ、ひぃ……!」
そこへ、一人の刑事がやってきた。
「随分とやりやがったな。うちの親友の息子さんよ」
「だ、誰だ今度は……!?」
政春は、刑事を見た。
「師匠……」
刑事でもあり政春の師匠・虎哉宗八だった。
「よっ、久しぶりだな。随分とあいつと似ていやがるな」
「言わないでください」
「いいじゃねぇか、うちの弟子がまさかのヤクザと相手しているなんてさぁ~」
宗八は政春の頭をなでなでした。
「いやあの……、子供じゃないんですけど……」
これに、山下は呆然としていた。
「な、何だ……?何がどうなってるんだ?」
状況がよくわからない山下。
すると……。
「ということで、ここまでだ。じたばたすんなよ」
「く、くそ……!」
宗八は、手錠を出して山下を逮捕した。
「でも、なんで師匠がここに?」
政春は、宗八を問いだした。
「そうだなぁ、……刑事の勘?」
「いや、なんでだよ。普通ここにぶらりと来ないだろ」
政春は、冷静にツッコんだ。
「お前のガールフレンドが、うちに電話して駆けつけたのさ。いや~、君のヒロインってよく気が利くねぇ。俺なんか若い頃は……」
「なんでそこから、若い時代が語るんですか。あと、愛は幼馴染なんですが」
「いいじゃねぇかよ、あの子とは……、これだろ?」
宗八は小指を出した。
(……うざっ、本当にこの人は……)
政春の師匠でも、本人は彼のことが少々苦手だった。
「というより、クラスメイトを責めた黒幕、警察署に連れて行かないのですか?」
「わかってるよ」
こうして、綱達の件にて、黒幕である山下とその手下たちは逮捕して、鬼庭種は解放をした。さらに、綱達を裏切った不良3人は、強制退学処分された。
さらに、鬼庭家の借金については、相手が悪徳のため全部なくなったという。
そして、2週間後……。綱達は、病院から退院し、翌日学校に登校した。
「よう、政春」
「綱達」
「あの時は、その……。ありがとな、もしお前が来なかったら。俺は今頃…」
これに政春は言った。
「俺は、お前を応援しただけさ」
「……、そうだよな……。でも、俺には信じるやつがここにいて、マジてよかった。サンキューな」
「……ふっ、その最後の言葉、どこかの芸人さんの言葉か?」
「あのなぁ……」
こうして、政春の仲間がまた一人増えたという。その男は狂鬼の不良であるが、根はやさしい不良の金髪少年だった。