ガラ悪い不良には優しさと護りたいものがある
奥ノ原高校。この学校には、個性が多い学校である。そんな主人公である彼、伊達政春とその仲間は、学校を見廻っていた。
「この学校、いろいろあるんだな……。スポーツや文系や理系の部活」
「なんでもありな学校だな、奥ノ原高校ってのは」
「そうみたいですね」
学校内を見ていると、目の前に誰かがやってきた。
「あ、アニキ~!」
前に、不良を撃退して助けた同じクラスの同級生・支倉常之だった。
「お前なぁ……、それはやめろって言ってるだろ?もし、誰かが聞いたらどうするんだ」
しかし、常之は言った。
「何言ってるんですか!アニキはアニキですから!」
政春は、常之のことでため息をした。
ワンコ。まさに、子犬のようなワンコだ。成三達は、そう思った。
「やっかいなやつと助けてしまったな、政春」
「なんで俺に言ってるの」
「だって、支倉くんを助けたのは、若様ですし……」
「そうだよねー」
愛は、頷いていった。
「いや、お前らも加勢しただろ……」
「そういわれましても……」
すると、そこへ…。
「おいゴラァ!」
「んっ?」
そこへ現れたのは、あの時の不良の3人組だった。
「あ、残念トリオ」
「誰が、残念だゴラァ!しばくぞ!」
「何の用なんだ?もしかして、あの時のリベンジか?」
不良は悪人面に笑う。
「前回はやられたが、今回はあの方を連れてきて、お前らを探したんだよ!」
「あの方?」
そこに、現れたのは金髪の不良だった。
「あんたが、伊達政春か?」
「おまえは?」
すると、常之は彼を見て驚いた。
「アニキ、この人はやばいですよ……!」
「やばい人……?」
「狂鬼の不良・鬼庭綱達ですよ!」
これに、政春は……。
「狂鬼?それって、どういう意味だよ」
常之は、綱達のうわさを言った。
「中学校時代に、不良50人も倒して、不良からも怖れている男、『狂鬼の不良』という通り名で有名な奴ですよ!」
「へぇー、そいつはすごいな……」
政春は、感心した。
「まさか、この学校に入学していたなんて……」
「……」
綱達は、政春をにらんだ。
「てめぇか、うちのモンをボコらしたのは……」
「や、やばいですよ……、アニキ……!」
しかし、政春は……。
「まぁ、そうなんだけどさぁ……、そっちが悪いんだからさ……。というか、俺は面倒ごとは嫌いなんで勘弁してくれないか?」
軽く謝って、綱達に言うが、これに彼は言った。
「ふざけんなよ、こうなったらぶっ飛ばして……」
すると、そこへ先生が来た。
「こら!なにしているんだ!」
「ちっ、命拾いしたな……」
綱達たちは、先生の顔を見て行ってしまった。
「なんだったんだ、あいつ……?」
政春達は、呆然とした。
家の竜組に帰宅した政春は、疲れていた。
「はぁー、疲れた……」
畳の上で大の字で寝ころんだ。
すると、インターホンが鳴った。
「お届け物でーす」
「ん?そういえば、親父が頼んでいたやつ今日届く日だったな」
政春は、出ていった。
「はーい、今出ますよーっと……」
すると、宅配便の人はまさかの人物だった。
「!?て、てめぇは……!」
「?……、あああああ!」
まさかの、鬼庭綱達だった。しかも、なぜか宅配業者の恰好をしていた。
「な、なんでここにいる……?」
「なんでって……、ここ俺ん家だけど」
「まじか……、お届け先の名前が『伊達』って書いてあったが、まさかお前のとこだったとは……」
綱達は、さすがにこれは思っていなかったらしい。
「まぁ……、うちの親父は通販が趣味だから。それ、うちの親父の名前だろ?」
「伊達輝夫って書いてあるが……」
「とりあえず、受け取りのサインを書かしてくれ。ペン持ってる?」
「あぁ」
綱達は、ペンを取り出し、政春に渡して書いた。
すると、政春は綱達のことで思った。
「というより、なんでお前バイトしてるの?学校では、狂鬼の不良と呼ばれていたのに」
「お前には関係ない」
サインを書き終えると、綱達はお届け物を政春に渡した。
綱達は、行こうとすると…。
「ひょっとして…、家族に何かあったのか……?」
「……」
綱達は口を開いた。
「……俺ん家には、親がいない」
彼の一言に、政春は驚いた。
「親が他界して、妹と一緒に暮らしている。それに、妹は小学生でまだ低学年だ。だがら、俺が妹を守って、育てながらバイトをしている。もちろん、あいつらも俺がバイトしてることは知らない」
あいつらとは、綱達と一緒にいた不良の3人のことだ。
「俺が、何とかしないと……」
「綱達……」
「じゃあな……」
政春は、綱達の背を見て言った。
「綱達!」
「なんだ?」
「お前の事情は分かった。もし困ったら、いつか駆けつけてやるよ。……絶対にな」
その言葉に、綱達は言った。
「余計なお世話だ」
そう言って、トラックの助手席に座って行った。
「……」
だが、その様子を見た人がいた。
翌日、学校にて……。
「……?あいつら、いないな……」
不良の3人の姿がなかった。
すると……、綱達の携帯電話が鳴った。
「非通知……?」
電話をかけると、相手の言葉に綱達は驚愕していた。
つづく