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第6話 【初配信】反省会始まるよ〜!【4期生リレー終幕】 ○前半

初配信リレーもこれで終わりです。

お付き合いありがとうございます。


日間ランキングで9位に入ってました。

皆様の応援のおかげです、ありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

「はーい、というわけでこんふぃな! 『しなぷす』4期生のフィーナ・アストライアでーす!」


「どうも、同じく伊勢京。ヨロシク」


「同じく4期生のベル・イエリスですわ。どうぞ最後までお楽しみ下さいませ」


 私、京ちゃん、ベルさんの順に挨拶をする。

 4期生全員が初配信を終えた今、その感想と反省をするための会合を始めようとしている。


『始まったぜベイベー!』

『いつも唐突だな!』

『リレーの最後といえば、反省会。常識だよなぁ!?』

『はじめまして、コラボヨロシクお願いします! って感じか』


 精霊さん……あーっと、今回の配信ではリスナーさんと呼んだ方がいいのかな? 京ちゃんとベルさんからのリスナーさんもいるっぽいしね。


 ともかく、司会業頑張らねば!


「はいはーい、それでは私、フィーナが進行していきますよーっと!」


 配信の枠を私が取っている以上、お姉さんとして2人をまとめねばなるまいよ! まあ、いうてそんなに年齢差はないっぽいけども。


 なんて考えている間も台本を読み上げる私。


「まず、流れとしては、それぞれの初配信をやってみての感想とか反省とか、あとその配信を聴いての感想とかをゆるく、茶会のように話していきますよ!」


「茶会というか、女子会の方がイメージ合うんやけど……」


 私の言葉に茶々を入れてくる京ちゃん。茶会だけに。……今のは我ながら上手くなかったな。


「京ちゃんー、そんな細かいことは言いっこなしだよ!」


「ん……? ちょ、ちょっと待って。今ウチのことなんて呼んだ?」


『京ちゃん?』

『ちゃん?』

『あれ、初配信では京さんだったような……?』

『ちゃん呼びとは、中々……』


 リスナーさん鋭い!

 しょうがないのだ、京ちゃんを見ていると、こう、お姉さんとして支えねばというか、母性が刺激されてしまうというか。


 だからこその"ちゃん"付けしてしまうのは、うん、そういうこともありますよね?


 私の思想に納得したのか、ベルさんも賛同してくれる。


「京ちゃん……うん、いいかもしれませんわね。私もそう呼んでも?」


「よくない! フィーナも呼び捨てでええから、ウチのことそんな呼び方するのはやめい!」


「おおう、そんなに嫌なんだ……ふむ」


 これはこれは。

 おもしろ……げふんげふん。


『京ちゃん』

『ちゃんがダメなら、もう様しかないな』

『ちゃん呼び嫌なんだw』

『これ、フィーナ絶対今後も呼び続けるやつだろ。俺にはわかるね』

『こうして、みんなにちゃん呼びされる伊勢京なのであった……』


 バレてら。

 そりゃ、こんなかわいい姿を見たら言わざるを得なくない!?


「なんでやねん! ぜっっったい嫌や!!」


「良いではないか、良いではないか〜」


「うふふ、"良いではないか〜"ですわ」


『なんだ、この微笑ましい光景は……』

『嫌がる猫をなだめる飼い主のようなこの暖かさは……』

『初っ端からてぇてぇは、早すぎるって!』

『いきなりキメてくるのずるいな』

『これ、ベル嬢はどう考えてもフィーナの言葉に被せにいったよな?』


「もう、知らんからね! ほら、はよ進めて!」


 照れてる京ちゃんは、私に先の話題を出すよう急かしてくる。

 ふむ、これは一旦その流れに沿ってみようかな。


「はーい。それじゃあ、まずは私からかな……」


『切り替え早いなw』

『ばっか、お前。定期的にいじるなら、1回に長くいじるんじゃなくて、何回も短くいじるのがいいんだよ!』

『お前、さては経験者だな?(なんの)』


 いじりのプロの方がいらっしゃいますね!? て、そんなことより、私の初配信での感想だよね……えーっと。


「そうだねぇ、だいぶ自分らしくできたってのが1番かなぁ……あんりママもきて大混乱したけど。というか、同期2人が来てくれなかったんですけど、そこんとこどうなんですか!?」


『そういえば、たしかに』

『もしかして不仲説?』

『その説出すには早すぎるのよ』


 不仲説できる人達、実際はめちゃ仲良い説を押していきたいけどね!!

 1年後にその説出てたらぶっ壊してやる!!


 なんて暗黒面に落ちかけたところで、京ちゃんの声が聞こえてくる。


「あー。……ウチは自分のことでいっぱいいっぱいやったし、そこまで余裕なかったなぁ。ちゃんと聴いてはいたんけど」


「え、京ちゃんいたの? もしかして、見逃した?」


 でも京ちゃんがいたら流石に私でも気づくと思うんだよね。そこんとこ、どうだろう?


「や、ウチは別名義のアカウントで入ったから気づかれんのも無理ないと思う」


「……」


 なんだよそんな理由かい!

 言ってくれよ水臭い! ……俺たちの仲だろぉ?


 なんて恨みがましい視線を表現していると、京ちゃんは言葉を重ねてくる。


「しょうがないやん、いきなり行ってもよー喋れんし!」


「……来てくれたら嬉しかったのに」


「うっ」


『なにこのてぇてぇ配信。いいぞ』

『過剰供給がすぎるんじゃ……』

『こんなん浴びたら溶けてしまう』


「ふふ、2人とも可愛いですわね」


 私と京ちゃんの会話を聞いて、楽しそうな声音のお方が1人。


「人ごとやと思って! そういえば、ベルはなんでフィーナの配信行かんかったん?」


 京ちゃんの問いに、あー……っと言葉を詰まらせるベルさん。

 え、なに、そんな深刻なあれ?

 京ちゃん、めっちゃ気楽に聞いてますけども?


 するとベルさんが、申し訳なさそうに理由を教えてくれる。


「私はあの動画の流れ上、あまり配信に入らないようにしてまして……」


『なるほどな。配信機材とかが部屋に置いてあって、はじめてみましたって流れだったから、そこで配信というものに触れるのが初めてって流れの方が自然だわな』

『裏事情聞いてしまって良いのか!?』

『こういう楽屋裏トークが、反省会の醍醐味よ』


 なるほど、そういう理由か!

 ベルさんは、ロールプレイの矛盾とかそういうことは気にするタイプだとは薄々気づいていたけど、そんなことまで気にしてたのね。

 私何にも考えてなかったわ。偉すぎる。


 納得と同時に同意もしておく。


「そうだよねぇ。……でもあれ? 京ちゃんの配信には来てたよね?」


 たしか私の記憶が正しければ、ベルさんも私と一緒に京ちゃんを応援していたはずだ。

 おや? これはなにやら問い詰めなければいけない気がしますね?


「あ」


『たしかに』

『図星つかれた?』


 ベルさんの配信の仕方の流れ的に、私の配信に入ると矛盾が発生するのはよくわかる。

 でもそれなら、京ちゃんの配信に現れてしまうのは問題なのではないだろうか! ずるい羨ましい!! 私も入れてよ!!


 などと脳内文句垂れ流しにしていると、本当に申し訳なさそうに、ベルさんは呟いた。


「……どうしても行きたかったんです……すみません……」


『ベルさんや?』

『伊勢ちゃんの配信来てしまったら、フィーナの我慢した意味がない…』

『でもあの歌声を聴きに行きたくなる気持ちはよくわかる』


 京ちゃんの歌声が聴きたくなったのかー。

 なるほど、さらに納得!

 怒りが浄化された瞬間であった。


「わかる、京ちゃんの配信は行きたいよね。わかるよ」


「なんでやねん」


 京ちゃんの鋭いツッコミ。


『わかるやろ!』

『どないやねん!』

『てやんでい!』

『江戸っ子は帰ってもろてww』

『テンポは好きだけどもwwww』


 私もそのテンポ好き!

 それはともかくとして、理由を述べていこうではないか!

 思い出すには時を遡らねばなるまいて……!


 あれは、機材届いてすぐのこと。


「だってさ……京ちゃん、配信の仕方わからないって私とベルさんに連絡くれたじゃん?」


「あー、そうやね」


「それで、その時にリハーサルでガッツリ聴いたからさ?」


 練習用に別のアカウントを使って、配信のリハーサルを行った時に、入れる人が限定されていたが、私とベルさんとマネージャーさんは入ることができ、コメント欄で音量の調整をしたり操作方法などを教えたりなどしていた。


 その時も、京ちゃんはリハーサルということで妥協せずに、スタジオを借りて行っていたので、そのついでに歌も何曲か歌ってもらったのだ。


「……だから?」


「そりゃ本番も来てしまうよねって話。ね、ベルさん?」


「そうなんです……本番で歌った『little to sing』だけじゃなくて、他にもたくさん歌ってもらったでしょう? だから使命感というか……『これは行かなければならない!』という気持ちになったと言うか……」


「わかる〜、あれよかったよね! 英語多くて、半分くらい意味分からなかったけど!」


「それ、ほんまによかったと思ってる……?」


 にっこり。

 口角をくっと上に伸ばして、私が笑っている。だってわっかんねぇんだもの! 英語は昔から苦手なのです……はうあばうとゆー!


『そんな難しい英語のある曲……?』

『そのシチュ羨ましすぎるんだが』

『おい、そこ代われ!聴きてぇよ!』


 代われと言われても、代わらないよ! この席はうちのもんだー!! ふははは! ここは僕達だけのアリーナだからね!?


 と、まあそんな幸運もあり、事前に私とベルさんは京ちゃんの歌声を目の当たりにしていたというわけだったのだ。


 リハーサル中には、『little to sing』と他数曲。リハーサル後の通話では音質はやや悪いものの、権利的に配信には乗せられない数曲を歌ってもらっていた。

 これがまた最高でね! たまらんばい!


「え、みんな聴きたいん?」


 京ちゃんは、キョトンとした顔でリスナーに問いかける。


『当たり前だろ!?』

『聴きたくないやつなんてここにはいないぞ!?』

『むしろいたら引っ叩いてやる』

『引っ叩くくらいで満足なのか……?』

『過激派が湧いてきたww』


 京ちゃんリスナーから、猛烈な反応が返ってくる。


「ほら、みんなも聴きたいって!」


 なんかちょっとやばそうな人もいるけど……まあ、それだけ京ちゃんの歌が人を惹きつける力があるってことだ。


 あーとかえーとか、声を彷徨わせて、京ちゃんはやや迷いながらも、それならばと提案してくれる。


「……そしたら、また権利関係上手くクリアしたら『歌ってみた』する、かも」


「権利……最大の敵だよ……!」


『権利さんがなにをしたというんだ』

『権利さん冤罪やん』

『権利さん……惜しい人を失くしたな』


 権利さえなければ、あの素晴らしい歌どもをリスナーに聴かせることができるというのに! 口惜しい!


 あれ、でもその分私達で独占できると考えれば悪くは……ない?

 これは、ワンチャン有るのでは?


 なんて思っていると、ベルさんが手を上げて切り込んでくる。


「あのー、いつの間にか京ちゃんの話になってしまいましたけど……」


「「あっ」」


『そういえばwww』

『フィーナの初配信の話はどこへいったんだ……』


 ほんとどこ行ったんだよ私の話。帰っておいで私の話!

 でもこの流れ壊すのは良くないと、私の心が轟叫ぶぜ!


「あー、えっと、京ちゃんの話が続いてるので、京ちゃん、初配信どうでした? ……ってざっくりした質問だけど」


『フィーナ、舵取り下手すぎるのよ』

『動揺が現れてるのよ』

『どういうことかしら』

『君ら仲良いなww』


 さっきから思ってたけど、リスナーのみんなのこの団結力の高さはなんなの!?

 ドリルロリみたいな口調で揃えてくるのずるくない??


「うーん、そうやね……ウチは、さっきも言ったけど緊張であっぷあっぷしてたから、フィーナとかベルとか、リスナーのみんなの力あってなんとか持ち直したって感じやね」


「つまり私のおかげと、なるほど」


「いえいえ、フィーナ。私のおかげです」


 あ? やるか? お?


『お、バトルか?』

『磯野! 開始の宣言をしろ!』

『デュエルさせるんじゃないw』

『キャットファイト開幕!!』


「みんなのって言ってるやん」


『ばっさり』

『切れ味抜群ね』

『ガッチャ! 楽しいデュエルだったぜ!』

『だから、デュエルはやめろとwww』


 京ちゃんってそういうとこあるよね。でもそういうとこも嫌いじゃないわ!! でも私の力もそこそこ大きいと思うんだよね……。


「あからさまにシュンとしない! ……あー、ウチはさっきからある程度感想はもらっとるから、次行ってもええよ?」


「京ちゃん、褒められて恥ずかしいのはわかるけど、そんな露骨に話題逸らししなくても……わかってる、皆まで言わなくても」


「全然わかっとらんやん!?」


 わかってるわかってる。

 照れ屋さんなんだから、もう。

 決して嫌がらせとか、京ちゃんのツッコミ期待してたとか、さっきバッサリ落とされたから仕返し……なんてことはないからね?


『照れ隠しなんだww』

『気を利かせて進行を助けてくれてるんだと思ってたけど、なるほど、照れてたのね』


「照れてないからな!? いいから次!」


 これ以上いくと、流石の京ちゃんでも爆発しそうなので、次の話題いきますね!

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