クリスマス特別編③ 伊勢京のクリスマスボイス
京ちゃんのクリスマスボイスです。
貴方は、京の部屋にいる。
そばには机に向かって鼻歌混じりに何かを書いている京の姿。傍らにはアコースティックギターがスタンドに立てかけられている。
「"ふふふーん、ふふーん、ふーん"……ん、なん? 何かウチに用事?」
貴方は、京にしては珍しいその様子に思わず声をかけます。
「え、『鼻歌歌ってご機嫌だね』って? ちゃうよ、ご機嫌なんやなくて、いいフレーズは口に馴染ませとかんと忘れるからな」
「え、『巫女なのに、音楽作るの』って、それは偏見すぎるからな! ウチはどっちかって言うと、作るより歌う方が得意やねんけど、まあ、たまにはな」
少し照れた様子の京。
進捗はどう?
「んー、進捗悪いなぁ。締め切りーとかあるわけやないんやけど、どーにも」
なにやら悩んでいるような様子に、どこら辺が躓いているのか貴方は聞いてみることに。
「特に詞がな。ウチあんまり詩的やないから、そういうの考えれんのよな。君はそういうん得意?」
貴方はそれについて答える。
「うん、分からんでも考えてくれるのは嬉しいよ。誰かと音を紡ぐってのもええもんやからな」
実感が篭ったような京の言葉に、貴方は頷く。
「先輩でも、『いつから朝でどこから友達なの?』は最高やったけど、あんなん考えつかんやん!」
うんうんと貴方はさらに頷く。あの才能には嫉妬せざるを得ない。
「んじゃ、一緒に考えよか?」
にやりと悪戯っ子のように、京は笑って。
その表情は、貴方に対しての挑戦でもあり、挑発でもあり、期待なのかもしれない。
いや、単純に同じ時間を共有できるのが嬉しいのかもしれない。
ともかく、そうしてそれぞれ創作をスタートさせる。
「んー、これは違うんよな。せっかくのクリスマスやし、それっぽいのがええよな」
あ、その自覚あったんだ、と貴方が呟くと、京はそれをキャッチする。
「『クリスマスって自覚あったのか』って、あるに決まってるやん! 1年に1回しかないのに、忘れるわけないやん! ただ、外に遊びにいくって柄でもないし、それならこっちの方がええなって思っとるだけやから」
ふーん。ほんとでござるかぁ?
「友達おらんとか、そういうんと違うからな!? その顔やめい!」
結構な勢いで、彼女は全否定する。
「ったく……ええから考えるよ!」
作業を促すので、貴方もそれに倣って歌詞を考えることに。
かきかき、メモメモ。
「"んーん、たららりらー、んー、あー?"」
時々、京から呑気な歌声も聞こえて。
役得な貴方も、ペンを走らせて彼女の歌を完成させていく。
「あー、ここはな。"ふーふふーふふー"って感じよ。イントロでな、静かに始まって盛り上げていこうかなと」
京からのアドバイスを受けて、そのテイストも取り入れて、貴方は歌詞を作り上げていく。
「うんうん、ええ感じやん。君、才能あるんやない?」
京にも好感触のようだ。やったね!
「ほー、そういう歌詞ね……それなら、"ふーふー、ふふふーふ"」
「……こういうメロディーの方がええ? お、よさげ? ならよかった」
京の口ずさむメロディーに歌詞が重なる。
2人の作り上げた音と詩が、絶妙なバランスでマッチしていく。これは、京の力が大きいのだろうと貴方は考える。
「お、ある程度できてきたな。んなら、試運転してみる?」
試しに、とピックを取り出して、京はアコースティックギターを手に取る。コツンコツンとギターを叩く音がする。
「タイトルはー、んーどしよかな。それなら、これかな。ウチからのプレゼントってことで、特別やで──」
──メリークリスマス、トゥーユー。
アコースティックギターの音色と、低音の彼女の歌声。貴方のために、貴方と共に作られたこのクリスマスソング。
2人だけの音楽会。
今、この瞬間は、貴方と京だけの世界で。
クリスマスに、2人で過ごせて幸せなのだと貴方は思うでしょう。
みっか組の3人分、クリスマスボイスが間に合ってよかったなと思いました。
次回はクリスマスボイスについての配信を、みっか組でしてもらおうかと思います。




