クリスマス特別編① フィーナ・アストライアのクリスマスボイス
クリスマス特別編です。
シチュエーションボイスの雰囲気でお楽しみください。
貴方は雑踏の中にいる。人々は賑やかにクリスマスを盛り上げている。
街中にて待ち合わせをしている中でも、不思議と鈴の音が聞こえてくるような気がしてくる。
そんな貴方は突然、目隠しをされる。
「ふふふっ、だーれだ! ……そう、私だ!」
私だと言われても、誰のことかわからない貴方は、その人に問いかける。
「え、誰かわからないって? なんでだよー、私だよ私! この声に聞き覚えがないとは言わせないぞ?」
たしかに、貴方にはその声に聞き覚えがある。その名前をその子に告げると。
「そうだよ、フィーナ・アストライアちゃんですよっと! おまたせ、待った?」
全然待ってないよ、と貴方は答える。
「うん、いい返事! まずはどこに行こうか? 今日は私に付き合ってくれるんでしょ?」
頷くと、フィーナも笑う。
「うんうん、そうだね。女の子のショッピングは長いからね、覚悟しておいてよ!」
にっこり笑って、ずびしっと貴方に指を刺してくるフィーナ。
「よーし、ではレッツゴー!」
貴方はフィーナに連れられて、移動する。
サクサクと歩いて行き、貴方は目的の場所に辿り着いた。多数の店舗があるショッピングモールである。
「……わぁ、すごい。クリスマスシーズンって感じがするね。これだけ飾りつけられてると」
花が咲くように、フィーナが喜んでいる。それに合わせて、ふわふわと、ぽよぽよと何かが浮かんでいるような音がする。
「……ふふっ、精霊さんも喜んでるみたい。お祭りだもんね、仕方ないね」
「え? 『クリスマスはお祭りって言うより、行事の方が近い』って? もー、細かいなぁ! いいんだよ、そういうところに気がつかなくて! そんなんだからモテないんだよー!」
モテない、という単語は聞き捨てならないと貴方は声をあげると、フィーナはさらに追撃する。
「ムキになると余計に、だよ! ほら、そんなことよりさっさと行こ! すぐ行こ! 今すぐ行こ!」
ぎゅっと、握られる音がする。
誤魔化されたような気もするが、貴方は引っ張られる勢いに押されてしまう。
「へへ、引っ張っちゃうよーん!」
そのまま笑顔のフィーナに釣られて、貴方はショッピングを楽しむことに。
「わー、見てこれ! かっわいい! あ、こっちも! ああっ、これもいいなぁ!」
洋服やアクセサリーを見て、はしゃぐフィーナ。色んなものを手に取って楽しんでいるようだ。
「長くなるって言ったでしょ? 女の子はオシャレに気を使うものなんですー! なんせ、私は美少女だからね!」
美少女、という言葉に思わず笑ってしまう貴方。それに対して、ぷんすかと心外そうに怒るフィーナ。
「あーっ、なんで笑う!? 笑ったのはこの口かー!? うりゃうりゃー!」
むにむにとほっぺをつねられる。いたいいたい。けれど、ほんのりと熱を持っているように感じた。
そんな戯れの後で、フィーナは2つの衣装を持って貴方に問いかけてくる。
「ねぇ、これとこれ、どっちが似合うと思う?」
「……えと、どうかな? え、『着てみてくれないとわからない』って? ……むむむ、わかった、見ててよね!」
シャーっ。試着室で、フィーナは着せ替えをしてくれる。着替え終わると、試着室のカーテンが開く。
「どうだ! これは似合うー? え、だめ? むむむっ、それなら次は〜!」
また試着室に戻り、すぐさま着替えて、フィーナはややドヤ顔で衣装を見せてくる。
「こっちはどうだ! あ、え、あー、そ、そうですか……これにしましゅ……」
思わず貴方は素直な賛辞をしてしまう。
そんな単語を拾って、小声でぼそぼそと。
「そんな『かわいい』だなんて、簡単に言っちゃうのずるいんだよなぁ……」
小声でフィーナが言う言葉は、聞こえないフリをした。
「はい、着替えたよ! これのまま、次行こ次! お会計お願いしまーす!」
ピピピッと会計を終わらせて、貴方はその場を後にしました。
服は、以前に新衣装として発表した衣装のようだ。とても似合っていて、そんな子が貴方の手を引いて歩いていること。それ自体が代え難い宝物のように感じた。
そうこうして、お買い物にたくさん付き合わされた貴方。すでにクタクタかもしれないが、フィーナの笑顔ひとつで、疲れも吹き飛ぶようだ。
「今日はありがとね。おかげで助かっちゃった! これは、お礼ってことで──」
──精霊の加護を、あなたに。
──ついでに、クリスマスの幸運も。
──メリークリスマス!
ちゅっ。
「うん、じゃ、またねー!」
とことことこーっと走っていく音がする。
フィーナは去ったようだ。
クリスマス、良いプレゼントをもらってしまった。そんな気持ちで、貴方はいっぱいになることでしょう。




