第44話 フィーナ、リハーサルリポートするってよ!
前半がフィーナ視点、後半は第三者目線です。
「わぁ、すごい会場だ」
フィーナ、ライブ会場に立つ!
字面だけ見ると、まるで主役かのような言い草だけど、無論そんなことはない。
私が屋内ステージに立っているのは、【D'ream】の方々のリポートをするための、下見のためだ。
私に課された任務は全部で3つ。
まず1つ目が、各種アナウンスの録音。
これは単純で「本日は【D'ream】2nd LIVE 《No-blesse》へのご来場、誠にありがとうございます!」に始まる、会場で流されるアナウンスを任されるという大役で、流石の私もドキドキしながらの録音となった。でも案外すんなりと終わった。なぜだ。
次に2つ目は、ライブリポート。これが1番の難所であり、重要な所で、【D'ream】の皆さんにインタビューを敢行したり、ライブの裏側でのスタッフさんの頑張りを記録したり、グッズの宣伝をしたりなど。
ライブ会場の様子、ライブ本番のリポートも欠かせない。むしろ本番だからね。全力でサイリウム振っちゃいますとも!
リポートに関しては、30分程度にまとめた編集版を作ってくださるみたいだ。
ナレーションをどなたか、ライバーさんがやってくださるという話なんだけど……なぜか、私には教えてくれなかった。
リポートを前日に撮り、さらにはナレーションまでつけてライブ当日の昼までにはアップするとのことで、かなりのハードスケジュールですけど……? でもそれならグッズの販促にもなるからいいのか……?
ともかくスタッフさん達、しなぷすの関係者の気合いの入れようを強く感じる。負けないようにしなきゃね!
そして3つ目は、後日『しなぷす』公式チャンネルにて配信される、『【D'ream】2nd LIVE 《No-blesse》 〜ウラバナシ〜』に私も出演すること。
これはライブであったことなどを出演者の方々でトークしていくという番組で、【D'ream】の3人とゲストのライバーさんも出演する。そこに私も参加するわけだけど、ええんかなぁ。でも先輩方とコラボする機会、逃すわけにはいかないのよ!
と、大まかにこのようなミッションをこなし、ライブを盛り上げるのに貢献していきたいと思います!
せっかく選ばれたからにはね、期待に応えていきたい所存です!
そして私が、今何をしているのかというと、ライブ会場の下見……という建前でステージの上に立ってみたかっただけである。てへ!
や、まあ、私が本番でステージに立つことはないんですけども、ええ。だから、どさくさに立ってみるのもいいんじゃないかなぁという知的好奇心が疼いた結果ですね、はい。
実際に立ってみると、その大きさにびっくりする。観客席を一望できるこの景色で、ちょっとしたスター気分を味わえる。
実際にどのくらいの人がこのライブを観れるのかは定かではないが、ライブが有料配信されることも含めると相当数いるんじゃないかと思う。
ステージには3枚のスクリーンが設置されていて、ここにVtuberさんが映し出される仕組みとなっている。最新の機器は性能が素晴らしいので、実際にステージ上にいると言っても過言ではない迫力を備えている。
これはワクワクが止まりませんなぁ!
「フィーナさん、そろそろリハーサル始まるみたいなので、観客席いきましょう」
「わかりました!」
スタッフさんの声に、私は了解の意を示す。
今からゲネプロが始まるそうなので、観客席に準備されているビデオカメラの横に。
本格的な、テレビとかでしか見たことないビデオカメラが準備されているのは壮観で、ちょっと萎縮しそうになる。
これから、リハーサルが始まるということは、実際にライブの先取りができるということでもあって。一部ではあっても見ることができて、とても嬉しいのである!
や、お仕事はお仕事としてもね、いちファンとして楽しむくらいの役得は許されるんじゃないかなーと思いましてね!
ではでは、リポートしていきましょうかね!
* * *
『【D'ream】2nd LIVE 《No-blesse》現場リポート!』
会場の様子がいくつか映し出される。
まだ客の入っていないステージの風景や、グッズ販売所、さらにVtuberの【D'ream】やアンジェラ、祈里めばえなどの出演者が次々に映し出され、これからのライブを彷彿とさせる。
そして、とある男性ライバーのナレーションと共に進行されていく。
『──では、現地でのリポートしてくれるライバーさんから声を届けてもらいましょう! フィーナさーん?』
パッと画面にはフィーナが映されるが、バーチャルの姿ではなく、モコモコ。布で作られたフィーナ・アストライア(ぬいぐるみver)が誰かに握られて小刻みに揺れている。
「はいー、どうもどうも、フィーナ・アストライアだよ〜! ん? 姿がいつもと違うって? そうです、今回はぬいぐるみバージョンでお届けしますよ!」
『なんとなんと、バーチャルを飛び出して、現地リポートをしてくれるフィーナ。今回はぬいぐるみ姿でお楽しみください。これはこれで美少女でしょう?』
お茶目なナレーションが挟まる。
フィーナがこれをきちんと聴いていれば小躍りして喜んでいたかもしれないが、これが配信されたライブ当日はまだ忙しく動き回っていたので、そんなタイミングはなかった。残念。
「今からリハーサルが始まる所ですー! ここは私の特等席なので、リスナーのみんなには見せませーん! 私のリアクションだけでお楽しみくださいね! あしからず!」
『……ということで、本番前のリハーサルを、フィーナのリアクションと共にお楽しみください。さて、どんなリアクションが飛び出すんでしょうね? 期待してますよ、フィーナさん!』
そうして、リハーサルが幕を開ける。
音と光、動き回るライバーの姿を視聴者は観ることはできなかったが、代わりにそれを観て興奮しているフィーナの姿を見ることはできた。
「うぉぉぉ!! レインちゃーん! こっち向いてー! きゃー!!」
「あぁ、ルナ先輩、そんな……流し目は反則じゃないですかー!?」
「メアちゃん! ぴょこぴょこしてて可愛すぎるー! お姉ちゃんはここだよー! あ、目があった!」
「アンジェラ先輩!! かっこいい!! イケメン!! なにそのがなり最高では!?」
「るうちゃん! どこからそんな高音出してるのー!? このあくまー! 私の魂持ってけー!」
「かなでてるぅー! ピアノなんて、ぴったりじゃないですかー! 花奏先輩サイコー!!」
「!? え、なにこれ!? なんですかこれ、私聞いてないんですけど!? え、これ■■ってことですか!?」
『おっと、ここはネタバレになるので、ピー音で隠さないといけませんね! ぜひライブをお楽しみにしていてくださいね? そうこうしているうちに、リハーサルは終了したようです』
「……はぁ、すごくよかった。こんなん泣いてしまう……」
『フィーナ、早く次に行かないと時間ありませんよ!』
「あ、はい! ということで、リハーサルが終わりまして、次はグッズを見ていきたいなと思います! 新しく出てくる物もあるので、必見ですよ!」
ぬいぐるみがひゅーんと動いて、次の場所に移動したようだ。
『それは楽しみですね? では、行ってみましょうか』
ナレーションに急かされるように、次の場所へと向かうフィーナ。
何を見せてくれるのか、楽しみですね。




