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第2話 受かった……だと!?

「受かった……だと……ッ?」


 どういうことだってばよ。


 自宅、もとい妹との同居部屋に、届けられてしまったそれ。

 紛れもなく、Vtuber配信キットってやつですよね……?


「どういうことだってばよ?」


 心に思ってたことを、改めて口に出してしまう程度には驚いてるよあたしゃ。

 口をパクパクさせていると、しずくが覗き込んでくる。


「おーよかったじゃん。憧れのVtuber生活の始まりだね〜」


「いやいやいや、記念だってそういう話だったはずでは……?」


 受かるなんて思っていなかった。

 ビデオ審査で合格をもらった時も、書類審査をパスした時も、まさかここまでいくなんて想像すらしてなかった。


 運がいいなぁ。


 それくらいの気持ちだったのだ。


 あれよあれよと面接時、我ながら変なことばかり言ってしまった気がするし。


『どうして、この募集に参加したのですか?』


 ──はい! 美少女になりたいからです!


『ほう……美少女ですか……』


 ──そうです! 1期生の『リース』ちゃんのとはまた違ったベクトルの!


『なるほど、それが貴方の理想の姿なのですか?』


 ──その通りです! 美少女になれるなら本望です!




 ……何言ってんだろ自分。


「あんな面接でよく受かったな……『しなぷす』やばいよ……」


 というか、あれを言われてドン引かない人達しかいなかったですけど? やばい集団じゃん『しなぷす』。


 なんて嘆いても後の祭り。

 賽は投げられたわけで。


 箱を前に呆然とする私の後ろから、ひょこっとしずくが私に聞いてくる。


「お姉ちゃん、いつ初配信するの?」


「えーっとね、マネージャーさんと打ち合わせた結果……明後日だね」


「早いね。相当話進んでたんだ?」


「前々からねー。でも、実際にこれが届くといよいよ実感が持ててきてどうしようって感じ?」


 4期生として合格した後、マネージャーさんと連絡を密に取っていました。

 4期生は、1人のマネージャーさんが受け持ってくれるらしいので、都度ある連絡会のような電話では、4期生全員と交流しながらではあったけど。


 でもその時ですらふわふわしてて、実感はあまりなかったのだ。

 物が届くとようやく湧いてくるというもの。


「ふーん、もう身体もできてるんだよね?」


「そうだよ、見る?」


 Vtuberにとって身体は顔。

 命と言っても過言ではない。

 ちょっと自慢したい気持ちもあるので見せるのはやぶさかではない。むしろしたい!


「見てもいいの? 私部外者だし」


「いいのいいの、愛する妹特権ってことで。ほれ、どうぞ」


 なにを遠慮することがありますか、私との仲じゃないですかとばかりに、携帯に保存してある立ち絵をしずくに見せる。

 するとしずくは驚いた様子で。


「わっ、これもしかして、『さつきあんり』先生の?」


「えっ! しずく、絵師さんわかるの?」


 『さつきあんり』先生は、知る人ぞ知る絵師のトップに君臨する(と私が勝手に思ってる)お方であり、あの斜向翠様のデザインを担当した天上のお方なのである。


 しずくちゃん、いつのまに先生のファンに……?


「『さつきあんり』先生は、お姉ちゃんから散々イラスト見せられてるからねー。流石に特徴を分かってくるよね」


「私の布教の全てが報われたよ……!」


「すごく大げさ」


 大げさでもなんでもなく、妹をこっちに引き込むことができてお姉ちゃんは嬉しいです! ぐふふ。

 ため息をついて呆れ顔のしずくは、さらに質問を重ねてくる。


「『さつきあんり』先生にお姉ちゃんの身体を描いてもらったの? それってすごくない?」


「そ、そうなるね。正直私から言い出したけど、本当に実現するとは思ってなくてお姉ちゃん恐縮です……」


 つまり私の身体であるフィーナ・アストライアを描いてくださったのが『さつきあんり』先生──いや、もはや『さつきママ』と呼ばざるを得ないですかねこれ……!


 やだ、なにそれ嬉し恥ずかしい。


 いやーんと頬を押さえて、くねくね体を動かす私を横目に見て、うわっと言うのはやめなさい妹よ。照れちゃうじゃないか。


「……そういえば同期の人って何人いるの?」


 しずくが思い出したように聞いてくるので、私も思い出しながら。


「えーっと、2人って話だよ。だから、私を入れて3人が4期生ってことね」


 全体で何百人と募集されていたと聞いたので、その狭き門を潜り抜けた猛者たちが同期となる。つまり、キャラクター性が半端ない。


 実際に同期の人と話してみて、彼女達の強みが強烈に理解できてしまって「こりゃ人気が出そうな人達だわさ……」という気持ちで一杯なのだが。


 というか、私もよく入れたね……?


「なんて名前の人?」


「結構グイグイ聞いてくるね……もしかして興味出てきた?」


「そりゃ、お姉ちゃんがお世話になるとあっては。聞いておかないと後で困りそうだし」


「このしっかり者め! ありがとうしずく〜!」


「わっ、ちょっと!」


 なんて姉妹の微笑ましいやりとりをしてから、数日。

 いよいよ配信本番の日がやってこようとしていた。


 * * *



 フィーナ・アストライア

 @Fina_astlaia_


 いよいよ明日!

 もうたくさんの人がフォローしてくださってありがたい…っ!

 同期の2人と、リレーで初配信していくので、全部楽しんでいってくださいね!!

 ちなみに私が1番目!なぜ!頑張ります!!

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