第28話 【突発リア凸コラボ】京ちゃんと会うのは同期の特権!【しなぷす】 ◯後半
配信回後半戦です。
ちょっと長くなりましたが、楽しんでいただければ幸いです。
『ってか、2人は今どこにいるの?』
配信を続けていると、そんなコメントが目に入る。
あれ、それ言ってなかったっけ?
「ウチ達がどこにいるかっちゅーと、あれやな、フィーナの家やな」
京ちゃんのその言葉で、爆発的にコメントが流れ去っていく。
『なにぃぃぃぃ!?』
『おぃぃい!!』
『お家!?』
『ほう、つまり2人はフィーナの家に2人っきりと、そういうことですか』
「え、違うよ。2人っきりなんて、そんな大それたことできないってば……やだ……ぐふふ」
「笑い方きも」
「ひどい!!」
キモいは言い過ぎだろぉ!!
『2人っきりじゃないとすると、一体?』
『あと誰がいるっていうんだ』
『マネージャーさんとか?』
ちっちっち、ちみたち、推理がまだまだのようだね。ワトソン君、教えてあげたまえ、と京ちゃんをチラ見すると、京ちゃんが眼力を目一杯込めて私を見ている。
なるほど、私がワトソンになるんだよ、と。
しょうがないなぁ、説明しよう! 今週のビックリドッキリ! 発進!
「いや、私の妹ちゃんがいらっしゃるんだよね。今はお料理してるけど」
『いもうと……』
『妹ぉ!?』
『姉妹ってこと!?』
『フィーナってお姉ちゃんだったのか……』
お姉ちゃんだったのか、だって?
てかこれも話したことなかったっけ? まぁ、ないか。
「え、見えない? しっかり者の姉ですよ!」
「しっかり者……はて?」
「はて、じゃないんだよ京ちゃん!」
京ちゃんのその反応はどういうことですかねぇ!? と驚愕していると、コメント欄も似たようなコメントがずらり。
『はてwww』
『お姉ちゃん? えぇ?』
『すっとぼけられとるwwww』
◇ベル・イエリス:『はて?』
『お姉ちゃんキャラとは恐れ入った』
『姉とは思わんかった』
『ベルもよう見とる』
そのコメント欄の流れを受け、京ちゃんがさらに追撃をかましてくる! 2連攻撃はずるいぞ!
「実際、妹の方がしっかりしとったしな。尻に敷かれとったやん」
「いやいや、そんなことないよぉ? 私が顎で使ったりすることも……」
「ないやろ」
「ぐうっ、見透かされている……っ!」
ちょっと盛ろうとしたけど、すかさず京ちゃんのスナイパーツッコミが刺さる刺さる。きゅうしょにあたった!
『妹に逆らえない姉、解釈一致やわ』
『容易に想像できるのでほんと笑う』
◇ベル・イエリス:『私も妹ちゃんに会いたいです!』
「えぁー、ベルさんも家に来る? 歓迎しまっせ?」
「えぁーて」
ち、違うんだ。マジシャンライバーさんを真似したわけじゃないんだ! 驚いたときに「えぁー」って言っちゃうわけじゃないんだ! あれ、どちゃくそ可愛いんよな。いずれ真似したい。
◇ベル・イエリス:『ぜひ! 菓子折りも持っていきませんと』
『ちょっとした女子会じゃんなにそれ見たい』
『壁になりたい』
『壁ww』
◇リース・ピュア・スノウ:『私も行きたぁい』
「え、リースちゃん!?」
ちょっとコメント多すぎて対処が難しい! マルチタスクは私には向いてないんじゃ!
先輩まで来たら、収拾つかねえぞ! なんて日だッ(歓喜)!
心の中で歓喜歓喜の雨嵐になっていると、京ちゃんが。
「あ、リース先輩。どうも、いつもウチのフィーナがお世話になっております」
「お世話になっておりますじゃないんだ!」
ずるいぞ、京ちゃん!
私も入れてよビームするよ??
◇リース・ピュア・スノウ:『いえいえ〜、こちらもフィーナちゃんにはお世話になってますよぉ』
お世話どころか!
「恐れ多いですけど! むしろお世話になりっぱなしなんです! 何かしらでお返しします!」
「先輩にどう返すつもりなん? 無理やない? ウチら後輩やし、先輩の方が色んなことできるやろ」
「身も蓋もない! でも私は諦めないよ! 具体的にはコラボとか……歌はちょっと勘弁したいんですけど、大抵のことなら私やりますよ!」
や、ほんとにそのぐらいの勢いである。すでに先を行くリースちゃんに私が何をできるかなんて、さっぱりピーマンである。
けれど、それで諦めたら試合は終わりなんだよぉ! 先生……ライバーがしたいですぅ!
『大抵てw』
『いまなんでもって言った?』
『歌は嫌なん、なんでや! 私は聞きたいぞ!』
◇リース・ピュア・スノウ:『良い企画あったら、呼びますねぇ。お楽しみに〜』
え、企画呼んでもらえるんですか! 行きます(即答)!
あと、なんでもとは言ってない! 大抵とは言ったけど! あれ、似たような意味?
「行きます!」
「脊髄反射で頷いとるやん。フィーナ、手を挙げるのやめい。見えへんから」
京ちゃんの言う通り、思わず左手を大きく天に掲げてしまった! でも、リースちゃんに報いられるのなら、我が生涯にいっぺんの悔いなし!
『手挙げてんのwww』
『フィーナってそういう感じ……w』
『挙手!』
『学校やん』
『京の実況ナイス。リスナーに優しいわ』
ラジオとかでもよくあるよね、マイクしかないから行動してても伝わらないってやつ。やっちまったのだ!
リースちゃんの企画というのは、あまり想像がつかないけれど、楽しいものになるのは間違いないわけで。あるいは先輩との絡みがあるかもしれないわけで。ワクワクさんだよ!
歌についての自信はノーコメント! 京ちゃんに教えを乞いたいとだけ言っておくね!
◇ベル・イエリス:『妹ちゃんを私にください』
「あげないよ!?」
ベルさん何言ってるの!?
手塩にかけて育てた愛する妹は、そう易々とは渡せないよ! 欲しければ、私を倒してからにするのだな!! ふははははっ!!
「フィーナのもんでもないやろ。ウチにちょーだい」
「京ちゃん、お前もか! 絶対に渡さないんだから!」
しかも京ちゃんは実際に会っている今、それを言うってことは、さてはうちのしずくちゃんの可愛さにやられたな!? プリチーだから気持ちはわかるけど、譲らないよ!
『なんでバトルが勃発してんの』
『ファイっ!』
『妹争奪戦始まっちゃー』
◇リース・ピュア・スノウ:『私も欲しい〜』
ちょっと待ってよ! リースちゃんまで!?
そんなことされてしまったら、私の隙間ないじゃん! そんなことするなんて、大人ってひどい! フィーナがぶっ飛ばしちゃうゾ☆
「後で妹に聞いてみよ」
「やめてよ! 私は捨てられたくない! 生きていけないから!」
「切実やし、捨てられる前提やん……」
『どれほど妹に依存してるんだ?』
『妹を取り合う女の子達……ふむ』
『これは中々……乙なものですな』
『百合愛好家が現れた!』
またそれは紅姫先生の同志みたいな人がいるなぁ! どんな愛好家やねん、私も好きだけどね!
◇紅姫:『呼びましたか?』
「うわっ、出た!!」
いや、怖いよ!!
心の中で思っただけなのに、出現しないで!? 超能力かなんかお持ちですか? φ難やめよ!!
ベルさんのママであり、百合好きとして有名な紅姫先生が現れた! フィーナは逃げ出した! だが、紅姫先生からは逃げられない!
フィーナは目の前が真っ暗になった!
『うわぁぁぁ』
『この配信はもう終わりだぁ!!』
『紅姫先生もよーみとる』
◇ベル・イエリス:『お母様、ご無沙汰しております』
『正式な挨拶ww』
コメント欄は阿鼻叫喚である。
やはり、こうなる定めなのか……戦う定めなのか……! オンデゥルルラギッタンディスカー!
「どうしよう……配信がカオスになってきたよ……」
「や、まぁ、普段通りにしとけば問題ないんちゃう?」
ま、それはそうだけど。紅姫先生がくると、なんか騒がずにはいられないというか、コメント欄もそんな雰囲気なんで、つい絶叫してしまうことって、あるよね?
『いや、百合の波動感じられちゃってるしなぁ』
『実際そんな百合かっていわれると、そんなことないんだけどさ』
『同期てぇてぇとしか思わない』
そうだ精霊さん達! もっと言ってやってくれ!
◇紅姫:『あら、皆様はまだお分かりになられないようですね。そんなことでは、こちらのステージまでは辿り着けませんことよ』
こちらのステージってなに!? 何段階の進化を残しているっていうんだまじで!? 紅姫先生にはどんな景色が見えているんだってばよ!
『なん、だと』
『俺たちはまだまだ精進が足りないというのか……』
「精進の必要ないからね!?」
あれ、リスナー洗脳されてない!? 紅姫先生の術中にハマってない!? え、やばない?
誰か助けて!
心の中でぷいきゅあがんばぇーと唱えていると、助け舟はあっさりと出された。祈りは通じるんや!
◇リース・ピュア・スノウ:『紅ちゃん相変わらずですねぇ。フィーナちゃん達を困らせるのは感心しませんよぉ』
◇紅姫:『女神様、ごめんなさいお許しを』
「変わり身早いな!?」
女神様て。確かにリースちゃんは女神のような慈愛もあるし、母性も感じさせるけども! わかる、わかるよ! これが親というものなんだって、フィーナでもわかるよ!
『仕方ないよ、紅姫先生はリースちゃんにシメられてるから……』
『あれは、悲しい事件だったなぁ……』
『幼女は犠牲になったのだ、犠牲の犠牲にな……』
コメント欄を見て、なるほどと見当がついた。例のあの事件ですね!
リースちゃんと言えば母性であるが、相反する幼女という属性の先輩が1期生には存在する。
それが『城井マナコ』先輩である。みんなからは『マナちゃん』という愛称で親しまれている、プロの幼女様である。
何が言いたいかというと、リースちゃんとマナちゃんの組み合わせは、母子揃った親子のような尊さを感じさせるのである……!
お母さんがリースちゃんで、子どもがマナちゃんという完璧な組み合わせに全米が泣いた。私も泣いた。あまりの尊さに。
けれど、それは見守るべきものであって、茶々を入れるものでないというのは周知の通り。壁になって見守るのが正解なのだけど、間に挟まろうとした罪人がいた。
そう、紅姫先生である。
あまりの尊さに暴走状態に入った初号機紅姫は、ヴォォォォァァァと突貫攻撃を敢行し、見事に撃沈したというのが大まかなあらましである。それ以上に語ることないし!
そんなこんなで、リースちゃんに折檻もとい説教をくらい、多少丸くなった今の紅姫先生である。それでもなお、百合レーダーは健在だし、そのサーチ力は凄まじいのだけれど。
見守るという本来の在り方を理解した紅姫先生は、ある意味無敵だった。無敵潜水艦レイダーンだった。スクランブル、浮上せよ!
曰く『あれ、これ、私が茶々を入れるんじゃなくて、描いちゃえばいいのでは?』なんて。
現実にいるカップリングをどうこうするのではなく、自らの筆でもって新たなカップリング妄想を創造する方が肌に合うと理解したのか。ちょっとそこら辺はあんまりよくわからないけど、まあそんな感じで今の紅姫先生がいるわけで。
ともかく、リースちゃんに頭が上がらないというのは、そういう所に理由があるのだった。
お母さんには強く言えない娘とか、妹には強く言えない姉みたいな構図だろうか。
私としずくちゃんみたいな感じですね! それある! むしろそれしかないまである。ソースは私。
──おーい、お姉ちゃん達〜、ご飯できたよ!
「「……え」」
あ、あらら。
『だ、誰の声だ!?』
『声入っとるよww』
◇紅姫:『もしや噂の妹ちゃんです?』
『フィーナ妹ぉ! 配信中やぞ! もっと喋って!』
それはオプション外でしょ!! だめですよ! 密です!
「待ってー! まだ配信中!!」
遠くから「わかったぁ、早めにねー」という声が聞こえてくる。ここまでは配信に乗ったなこれは。うん、仕方ない。
後で誰か切り抜き職人さんが、この場面を切り取って動画にしてくれたのを、しずくちゃんに見せるとしよう。多分恥ずかしがってくれるはず……ぐふふ。
ともかく終わりの時間になってしまった、ということだろう。喧嘩したって泣きべそかいたって、明日になったら笑えるってことで! お姉ちゃんといっしょ!
目配せをすると、京ちゃんも同じ気持ちだったようだ。
「……お腹すいたし。配信終わろか」
「……だね。じゃ、妹に呼ばれたので、配信はここまでということで! 京ちゃんは今日お泊まりです、よろしくお願いします!」
「お泊まりは決定やったんか!?」
「そうだよ! 楽しみだねぇ!!」
「……そやね」
お、今照れた? 京ちゃん照れなかった?
ツンの中に見せるデレ! 大好物ですありがとうございます! ご飯3杯はいけるぜぇ!
『お泊まり!?』
『ほう、何をするんですかねぇ』
『お泊まりといえば、枕投げでしょ!』
あ、それやろうと思ってたのに! でも多分2人ともノリノリで乗ってくれない気がする! 私はノリノリで行っちゃうぜ! ゼロ速!
『おつふぃな!』
◇リース・ピュア・スノウ:『お疲れ様ぁ』
『おつ〜』
『終わらないでぇ!』
終わらないでと言われても終わってしまうのだよ。それが人生というものだ。……うん、言い過ぎた!
「あーん、リースちゃんありがと!」
「あーんて」
つい変な声が出ちゃう時もあるよね!
『ご飯はいつでもできるでしょ! 毎秒配信しよ!』
『センシティブ助かる』
『おつふぃな』
『強引なやついて草』
◇ベル・イエリス:『おつふぃな、おつきょうですわ』
いや、ほんと続きを願ってくれるのは嬉しいけどもね、お腹は空くんだよ? あと人気があれば当然またやるし! そこは安心して!
「ベルもありがとうね。今度はベルとも遊びたいで!」
「そうそう! 時間割を教えるんやで!」
『時間割てw』
◇ベル・イエリス:『了解しましたわ。予定を空けておきます』
『スケジュールと言いなさいww』
予定空けてくれるってさ! やったね京ちゃん、家族が増えるよ!
「はい、じゃ、お疲れ様〜またね!」
こうして、私と京ちゃんのリア凸配信は終了した。
さて、ごっはん!! 今日の晩ご飯は何かな! グラタンですね! 知ってた!
配信は、まぁ、色々あったけど終わり、あとはお泊まりを楽しむだけですね! 目一杯遊んじゃうぞ!! お姉ちゃん、頑張っちゃうぞい!
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フィーナ・アストライア
@Fina_astlaia_
突発リア凸コラボおつふぃなでした〜!
やー楽しかった! みんなもそうでしょ!
今、京ちゃんは妹の作ったグラタンを食べておりますよ!
お泊まりたっのしいなぁ!!(ドヤ顔)
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ベル・イエリス
@bell_ieris
@Fina_astlaia_
いいなぁ、私も食べてみたいです。
今度お邪魔する際には、妹さんにお声掛けお願いしますね!
─────
フィーナ・アストライア
@Fina_astlaia_
@bell_ieris
お任せあれ!!
絶品だから、ぜひ食べに来ておくれ!!
配信お付き合い、ありがとうございました。
次回、間話です。




