第27話 【突発リア凸コラボ】京ちゃんと会うのは同期の特権!【しなぷす】 ◯前半
配信回前半戦です。
京ちゃんを横に座らせて、配信画面を起動する。配信準備もぱぱぱっと終わらせて、はてさて、待機所はどうなっていることやら。
『うぉぉぉぉ』
『待機待機待機』
『早く早く!!!!』
コメントも賑わっていて、突発コラボも好意的に受け止められているようだ。
よかったぁ、正直予告もしてないし、どうかなと思ったんだけど、やっぱり持つべきものは良心のあるリスナーよ!
じゃ、始めるよーん!
挨拶は元気よく! いっくよー!
「こんふぃな! フィーナ・アストライアでーす!」
「こんばんは。しなぷす所属のバーチャルライバー、伊勢京です。ヨロシク」
『始まったな!』
『突発リア凸コラボってなんだよ! 予定空いててよかったわ!』
『よろしく〜』
京ちゃんの挨拶を生で聴くと良いですね! いつも画面の向こうでしか聴けなかったからね! 高まるぅ!
「ということで、突発すぎてほんとごめんなさい! でもせっかくリア凸したから、配信するしかないじゃんってことで!」
「主にウキウキで準備しとったのはフィーナなんやけどな。せめて事前にやるって言ってくれん?」
「サプライズだよん!」
「うわぁ」
それ今日だけで5回くらい聞いてるんだけど、えぇ? そんなに引かれるようなことはしてないよ! 僕、悪いスライムじゃないよ! ぷるぷる。
あと、ウキウキになるのは当たり前だよなぁ! 京ちゃんとお泊まり! 気分上々⤴︎
『なんで2人でリア凸してるの?』
『ウキウキのフィーナが想像に難くないw』
『なんて迷惑なサプライズww』
『アポはしっかりとりましょうね!』
なんだかんだと聞かれると、答えるのが難しい。世界の破壊を防ぐためだよ! 違うか!
「なんでリア凸してるのかって言われると……まぁ、あれよね。デートに誘ったからなんだよね」
『デート!?』
『な、なんだって!?』
『どういうことだってばよ!?』
おデートは、おデートだよ!
コメント欄が、よーざわついておるわ。ふっふっふ、羨ましいであろう(上から目線)!
「デートって言い方よ。普通に会ったって言えばええやん」
「いや、あれは正真正銘デートでしょ!」
『デートだと思えば、それはもうデートなのよ』
『これは間違いなくデートですね』
◇ベル・イエリス:『でぇと……』
「「あっ」」
コメント欄に突如現れた同期に、思わず私と京ちゃんの声がシンクロした。光差す道となれ!
『ベルきたwwww』
『なにこの気まずい感じwww』
『仲間はずれいくない!!』
き、気まずくないよ! 浮気がバレた夫みたいになってないよ! ぷるぷる。
なんて心の中で弁解マックスしていると、京ちゃんが先んじて誤解を解きにかかる。ずるいぞ!
「や、ベル違うんよ。これはな、たまたま予定があっただけでな?」
「ちょっと、なにそれ私とは遊びだったってこと!?」
「遊びや!!」
えぇ、そんなぁ。そうよ、私はどうせ弄ばれるだけのお・ん・なっ! うっふん! ……色気出ないかなぁ。無理だよなぁ。
『一切の嘘偽りなく遊びなんよなぁ』
『所詮、遊ばれる運命なのよ』
◇ベル・イエリス:『ずるいですわ。私も混ぜていただきませんと』
えーそんなこと言われても! 私も入れてよ光線されても困っちゃうんだよ! 私だってベルさんとも遊びたいんだからね!
「じゃあ、ベルさんも予定のいい日を教えてよね! 忙しいかもしれないけど」
「せやな、ウチにも教えてもらわんと」
京ちゃんも悪ノリしてくる。
◇ベル・イエリス:『わかりました、すけじゅーる送りますね』
『個人チャットでやらんかいwww』
『みっか組てぇてぇが量産されてるんだが!?』
ぴこん、と通知が鳴る。
ほんとにきたんだが! わくわく。
「あ、ウチのとこにもきたわ。レスポンスめちゃ早いやん」
◇ベル・イエリス:『てへ』
『か"わ"い"い"』
『今日イチのてぇてぇ配信はここですか?』
ここ! ベルここ! 京そこ! フィーナどこ! ……私だけ行方不明じゃん。
でもスケジュールを送ってもらって、ちらっと見るんだけど、えぇ、予定沢山あるね。
配信の時間とかもしっかり書いてあってマメだなぁ。
その点、私は全然スケジュールとか管理してないので、マネージャーさんの言われるがままである。や、多少はスケジュール知ってるけどね! やりたいことはマネさんに伝えて、そこから組み立ててもらうからね私。
……もしかして、みっか組で1番手がかかるの私? やだ、スケジュール管理しっかりしよう。
「じゃあ、ベルさんとの予定はまた後日組みまーす! みっか組で集まってもいいかもだけど、予定が合うかわからないからなぁ」
「それはあるかもしれんなぁ。段々忙しくなってきたしな」
「だよねぇ。特に忙しそうにしてるのベルさんだからね!」
その点、私はそこまで忙しくない。ライバーなんてお休みをもらえるわけでもないし。いつ配信してもいいとはあるけど、できる限り配信したいと思うのは普通じゃん?
でも、ベルさんからの頼み事の件とか、コラボの件とか色々やることはある。時期を見てのことにはなるけど、そろそろ手を出したほうがいいかなぁ、まだいいか!
たまに1日なにもしない時もあるし! 休みは人を強くする! 働いたら負け!
『あ、やっぱり忙しくなるんや』
『配信のスケジュール確保でもそれなりに苦労しそうだよなぁ』
◇ベル・イエリス:『申し訳ないです……』
あ、え、ベルさん、そんな。
あわあわしていると、京ちゃんの鋭い視線を浴びる。
「フィーナのその言い方あかんで」
「ごめんなさい。……違うんだ! 別に前に遊びに誘ったのを断られたのを根に持ってるわけじゃないんだ!」
『うわぁ』
『引くわぁ』
『誘ってるんやw』
「や、仲良し同期だから誘うじゃん!?」
「ウチら仲良し同期なんや……」
え、ちょっと京ちゃん。
その認識ないのは後でお仕置きだべぇ!
◇ベル・イエリス:『仲良しです!』
『君ら仲良いやんw』
『京は自覚がないのか……?』
『かと言って自認するのもちょっとw』
「仲良しでしょ! よく電話するし、メッセージもよく飛ぶじゃん!」
「あー、それはそやね。グループのとこにも、よく行き交うもんな。フィーナが発起人やけど」
いや、ほんとそれな。
グループチャットを創造したのは私だし、大抵のメッセージを送るのは私だし、なんなんまじで! 私はこんなに好きなのに!!
「こーの人たち、全然メッセージ送らないんだもん! 私はッ! 2人とッ! 仲良くし"た"い"ッ!!」
これが私と2人の愛の違いだよ!! こんなにも想ってるのに!!
……重い女になってしまう。カットカット!
「勢いこわ」
ポツリと京ちゃんが呟く。や、ごめんて。今のは私でもちょっと引いた。
コメント欄を見ると、ざわついてやがる。ザワザワ……! 悔しい! だが、それでいい!
『音圧音圧ww』
『割れてる割れてるwww』
『熱量がすごいんよ』
『音圧芸やめwww』
『草』
『鼓膜が死ぬんよ』
◇ベル・イエリス:『耳が痛いです。助けてくださいイニちゃん』
ごめんて!! そんな音割れした!?
申し訳なさすぎてジャパニーズ土下座も辞さないよ! 見えないからしないけど!
てかベルさん、そんな伏線ここで張るぅ!?
え、アドリブぶちかました方がいい?? エチュードするの? まじ?
「えと、イニちゃん、お仕事増やしてごめんよ! 後で奮発するから!」
『イニちゃん?』
『誰?』
『イニ?』
『既存のライバーじゃないな?』
『え、ストーリーに進展ある感じ?』
──イニ。
ベルさんの物語にいるキャラクターであり、私にも関係のある女の子のことである。
すでに登場を果たしているけれど、未だにその正体を掴めてる人が少ないというシークレットなあの子。内緒!
それもベルさんからお願いもあるので、いつかお披露目できればなぁと思ってはいる。その時が楽しみだぜ!
なんて陽気に考えてたのがまずかったなぁ。
◇ベル・イエリス:『イニちゃんが、ボーナス要求してますよ』
「ひぇ! が、頑張るよ!」
ボーナスはやばいぜ! 俺は元気だぜ! 日差しが熱いぜ!
『なになに』
『なにを頑張るの?』
『ひぇ助かる』
悲鳴が助かるってなに!?
や、これ以上はちょっと私のアドリブ力じゃ足りないんだ! 脳細胞をフルスロットルしてトップギアなんだよ!!
「ウチ、話に入っていけんなぁ」
「あぁ、ごめんて! イニちゃんの話はお終いです! デートの話に戻ろっか?」
「それはもうええわ」
ぴえん!
デートの惚気話もっとしたいのよ私は! でもでもコメントの流れもちょっと変わってきたし、また別の機会にするしかないか……!
つらいけど、雑談配信は続いていくのよ! めげない負けない挫けない! 勝利勝利、完全勝利! 暴力校歌斉唱するしかない!
そんな退廃的な考えもありつつ、京ちゃんとのお喋りはまだまだ続く。続くったら続く!
後半に続くんじゃ。




