第26話 京ちゃんに我が家をご案内〜!
誤字報告助かってます。ありがとうございます。
玄関を開け放つ。たでーま!
そこには、私の愛しの妹の姿があった。エプロンをつけていて、ベリーベリーキュート! 料理しようとしてた所だったのかな?
「お姉ちゃん、おかえ……り?」
「しずくちゃんただいまー! お客様をご案内&拉致してきました!」
「なにしてんのぉぉ!?」
しずくちゃん、大絶叫である。てへぺろ!
そんな妹のスクリームを聞いて、京ちゃんは不安がる。
「来てもよかったん……?」
「あ、お客様はお気になさらずで。全部このおたんこなすお姉ちゃんが悪いので。ねぇ!」
「いひぁい!」
ほっぺたつねらないでぇ! 赤くなっちゃう!
あと、おたんこなすってきょうびきかないね!
私の妹、こういう所あるからさ……ふっ。
気が強いというか、なんというか。すっかり我が家のお母さんみたいになっちゃって。あんなにちっちゃかったのに……うぅ。
私は捻られたほっぺたをさする。さすさす。
痛みと戦っている私を置いといて、しずくちゃんは京ちゃんに声をかけている。
「とりあえずあがってください。お姉ちゃんはそこで正座。いいね?」
「あい」
しずくちゃんが怖いです……しくしく。
大人しく正座しときますか。刀との対話しとくしかないかな!
「お、お邪魔します」
「はいどーぞ」
しずくちゃんが、京ちゃんの荷物を引き取って、そのままリビングに案内している。
やだ、イケメン! なんでそんなイケメンなムーブできるの? そんな子に育てた覚えはあります! 抱いて!
* * *
リビングで、京ちゃんと私が隣同士。キッチンではしずくちゃんが料理の準備を整えていた。
京ちゃんとしずくちゃんが主で会話していて、私は相槌打つbotになっている。わかる〜それな〜!
「ふーん、お姉ちゃんの同業者さんなんですね……」
「そうやね。えと、かなたさん? とは同期ってことになるかな」
「名前で呼ばれるの、なんか新鮮だ!」
「いつも名前で呼んどるやん」
「それとはまた違うの!」
フィーナって呼ばれるのも嬉しいけど、本名で呼ばれるのも嬉しいのよ!
この喜び分かち合いたいけど、私が他のライバーさんの名前知ったら配信でうっかりしそうだから、聞かない! 知りたいし、超能力者に会いに行きたいけど!
そこの所、京ちゃんは分別ありそうなので、名前を教えておきました。
「伊勢さん、いつも姉がすみません」
ぺこりとお辞儀をするしずくちゃん。礼儀正しくて100点! お姉ちゃん、花丸あげちゃう!
それに対して、京ちゃんは少し照れたように。
「や、まぁ、そうやな。ウチも困らされることもあるけど、楽しくやらせてもらってるからなぁ」
「そう言ってもらえると……姉は普段からこんな感じなので……」
「お互い苦労してるんやな……」
「すごく不名誉な話し合いがなされてる気がするんですけど!」
私、なんかやっちゃいましたかぁ?
え、待って。私ってそんなトラブルメイカー? えぇ、そんなこともないでしょ! 私ほどの常識人はいないでしょうよ!
そして夕飯時の時間になったこともあり、ご飯のお話に。
「あ、お姉ちゃん。私、ご飯作ろっか?」
「わー助かる! しずくちゃんの料理は絶品だからなぁ」
なんといっても私達は姉妹。
健やかなる時も病める時も、家事の役割分担してきましたからね! 時代は分業ですよ分業!
料理という分野の内、手の込んだ料理を作らせればしずくちゃんに軍配が上がる。え、私? 肉じゃがとかなら作れる、よ?
「ご馳走になっていいん?」
「どうぞどうぞ。今日は泊まってきます?」
お、ナイスしずくちゃん!
いいぞいいぞ、もっといけ! 突発お泊まり会じゃ! ベルさんも呼びてぇ!
「え、や、そこまでお世話になってもうても……」
「いいじゃん、泊まってきなよ! あっ、買ってきたパジャマ着る?」
「ウチにあれ着せようとするんやめろ!」
えー、似合うでしょー!
私が買ったやつだけど、京ちゃんも似合うと思うんだよぉ。ボーイッシュな女の子がお家では可愛いモコモコの服を着るって、良くないですかぁ!?
あ、そういえば。
「しずくちゃん、なに作るの〜?」
「せっかくお客さんがいるからさ、グラタンとー、ハンバーグとー、デザートまでつけちゃおうかな」
「わぉ、さすが! デザートなにがある? 僕プリン!」
僕プリンお願いします! そんな気持ちを込めるけど、しずくちゃんは残念ながらと言ったように首を振る。
「プリンはないね。お姉ちゃん、こないだ作ったチョコケーキならあるよ」
「お、やったあ。それを京ちゃんにもお出ししてあげてね!」
「おまかせを〜」
気楽な返事なんだよね。つけまつける黒棺。棒読みちゃん好きなんだわ〜!
「なぁ、ほんまにええん? 申し訳なくなってくるんやけど」
「構わんのやで、京ちゃん。作るのしずくちゃんだし!」
私が作っても、同じこと言ってたと思うけど! でも人が作ってくれるご飯って美味しいからさ、お任せしたくなっちゃうんだよね!
なんて気楽に考えていたからか、キッチンから押しつぶされそうな霊圧を感じる。鬼道で押しつぶされる! 黒棺!
「お姉ちゃんが作る? ん?」
「全面的にお任せします!」
「んっ、よろしい」
「この家でのヒエラルキー理解したわ」
えへ。バレたか。
その通り。私ニートだから、しずくちゃんには逆らえないのよ。これまでの蓄えが少しあるとはいえね。
養ってもらってるあてぃしはニート。しぃチキン!
「じゃあ、お姉ちゃん。お部屋まで伊勢さんを案内してあげてね。その間にご飯作っとくから」
「あい。京ちゃん、私のお部屋こっちだから、来てもらってもいい?」
「え、あぁ。妹ちゃん、また後で」
「はい、ごゆっくり」
ん? 2人で視線交わして意思疎通してない? あれれ、どゆこと?
「……んー? まぁ、いいか」
部屋に行ってすることと言えば。
私達はライバーだよね? そう、答えは自ずとわかるはずだ。初歩的なことだよ、レディ!
さぁ、私達の配信を始めよう!
* * *
フィーナ・アストライア
@Fina_astlaia_
突発なんだけど、京ちゃんとリア凸コラボ配信しまーす!!
私の配信枠でやるので、精霊さんも京ちゃんリスナーも来たれ!
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伊勢京
@ISE_KYO
@Fina_astlaia_
や、ほんと突発すぎるわ。拉致されたり、誘拐されたり、今日すごい忙しいんやけど!
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フィーナ・アストライア
@Fina_astlaia_
@ISE_KYO
てへぺろ?
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伊勢京
@ISE_KYO
@Fina_astlaia_
脳死てへぺろやめな!
次回、配信回です。




