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第25話 さらっちゃうよ〜ん!

 お昼ご飯を終えた私達は、CDショップにやってきていた。


 最新の音楽チャートが、耳まで流れてきて心地いい。CDショップは宝の山。数多くのCDが並んでいて、目移りしそうになる。


 このたくさんの山から、目的の物を探すのは一苦労かな! ……こうして、私達の『三月さん』のオープニングを探す旅が始まった。


「あ、京ちゃん、あったよ」


 すぐ見つかりました。店頭に並ばれてたら流石にすぐだよね。すぐさまお買い物カゴに入れました!


「ほんまや。アニソンコーナーってあるんやな」


「そりゃ、日本を代表するカルチャーだからね!」


 京ちゃんが指し示したのは、一区切りされたアニメソングのコーナーである。


 そりゃあるよね。

 アニメーションは世界に誇るジャパニーズカルチャーだもん。


 マンガにアニメは、海外でも広く受け入れられていて、アニメのリアクション動画とか見てると楽しいよ! 私が作ったわけでもないけど、受け入れられてることに嬉しくなってくるからね。


「そうやなぁ、ウチこういうの全然関わらんかったからなぁ」


「ありゃ、そうなの?」


「嫌いってわけじゃないんやけど、なんとなく避けてたとこはあったな。まあ、今にして思えばどのジャンルも良さがあるわけやし」


「ふむ?」


 音楽に関してはプロのような意識の持ち主である京ちゃんが、"避けてた"なんて言うのはちょっと意外だ。


「それに、アニソンに関してはそれぞれのアニメを、どう音楽で表現しているかってだけの話やからな。ロックだろうとポップスだろうとクラシックだろうと、あんま変わらんのやろうなぁって。……あくまでウチが勝手にそう思っとるだけやけどな」


 なんか難しいこと考えとる!

 私はそこまで深く考えたことはないけど、アニソンって括って考えるにしても、その中身は膨大なんだろうなぁと常々思う。


 アイドルみたいなキュートな曲もあれば、バンドでカッコいい曲もあるわけだし。


 たまに昔のアニメを見て、「あれ、この曲、この人達が歌ってんの!?」ってなることもあるし! その時の衝撃ったらないよね……!


「フィーナは、アニソン聴くん?」


「んー、好きなアニメとか好きな声優さんの歌ならよく聴くかな?」


 アニメを見るたびにオープニングは流れるので、それで好きになった歌もあるし、声優さんを知っていく上でこの曲いいなってなることもあるし。


 今も配信してないタイミングには、部屋で流しているし、そのたびに「うるさいよ!」としずくちゃんが怒りに来たりする。ごめんよ〜!


 と、まあそんな感じで、一応私もオタクと呼ばれる人種ではあるので、そこそこ知っているくらいじゃないかなぁ。一般ピーポーよりは詳しいくらい、かな?


 それで言うと、『みっか組』の私以外は一般寄りな気がする。うわん! 仲間ハズレいくない! こうなったら他2人もこちら側にご案内するしかないじゃないか!


 内心息巻いていると、京ちゃんが首を傾げる。


「そうなん? フィーナのことやから、なんでも知ってるかと思ってたわ」


「私のことなんだと思ってるの? ねぇ?」


 完璧超人じゃないよ! 3分経ったら胸元のカラータイマー鳴っちゃうからね!?


「どう思うかって言われると……そうやなぁ、アホ?」


「シンプル罵倒やめな!?」


 我々の業界ではご褒美だけども! 京ちゃんから言われると思うと、こう、ゾクゾクしますけど!


「うん、アホはちゃうな。天然やな」


「言い直したけど、あんまり意味変わってないからね!?」


「親しみを込めた"天然"やって。三月さんみたいな感じよ」


「天然すぎる!?」


 親しみを込めて柔らかく豚野郎と呼ばれても、嬉しくないのと同じだよ! ブタさんって呼んでくれ!


 なんてごちゃごちゃしつつ物色を始める。目的のブツは手に入れたからね! あとはウィンドウショッピングを楽しもうじゃないか!



 京ちゃんがなにか発見して、私に聞いてくる。


「あ、フィーナ。これどんな曲?」


「これはねぇ、アニソンの歌姫って呼ばれてる人の曲でねぇ」


 アニソンの歌姫って肩書きだけで、もうどんなもんじゃいって感じだけど。アニメソングという大きな看板を背負ってるその子はすごいと言わざるを得ない!


「なんやそれ、すご」


「すごいよねぇ。声に勢いとハリがあるから、オープニングに引っ張りだこなんだってよ。これはその歌姫が最近歌った曲だね」


「へぇ、うまいんや?」


「上手いよ! でもこの人の歌だったら、別の曲の方がおすすめで……えーっと、あった。これこれ!」


 探して、その曲を手渡す。

 映画化もされたアニメで、彼女の代表曲である『(おぼろ)』というバラード調の曲である。


 主人公の成長と訣別、別れと死。

 月夜に涙流して、誓う未来の形。

 そんな感じの曲である。


 私は映画で泣きました!


「なら、これ買うか。帰ったら聴いてみるわ」


「お、やったぁ! 布教成功だ!」


「……急に聴く気、失せてきたわ」


「えぇ!? なんで!?」


 あいぇぇ、ナンデェェ!?

 ちゃんと聞いてくれよ!



 そして色々見て回ると、京ちゃんが何かCDを手に取って固まっている。


「ん? 京ちゃん気になる物でもあった?」


「え、あー、いや、そういうわけやないんやけど……」


 なーんか、歯切れが悪いな?

 ちょっとそのCD見せておーくれ? ギャルのパンティーおーくれ!


「あれ、これ……?」


 京ちゃんが手に取っていたのは、『little to sing』のシングル盤だった。歌っているのは、えっと、『加衣(かい)ミソノ』さんだっけ?


「京ちゃんが歌ってた曲だよね?」


「あー、そうなんよ、うん。許可取りやすかったから、この曲にしたんやけど。……うん、多少気になっただけやから」


 そう言って、京ちゃんはそのCDを元あった位置に戻した。


 許可取りやすかった? ……ほう?

 聞きたい気持ちもあるけど、なんか触れて欲しくなさそうな顔してる。ふむ。


 こういう時は。


「じゃ、欲しいものは揃ったから、レジへゴー! ゴーゴー!」


「なんや急にテンション上げるなぁ!」


 レッツトライ、ゴーゴー! さあやってみよう!


 と、こんな感じでレジでお買い物を済ませましたとさ。おしまいける。



 * * *



 私の車にお荷物を詰め込みまして、助手席には京ちゃん。私が運転してくよ!! サプライズ!!


「あ、京ちゃん。お家寄ってく?」


「ふぁ?」


 そんな間の抜けたような京ちゃんの声を聞き、私は家路を走る。


 あはっ、さらっちゃうよ〜ん!

フィーナ:「京ちゃんは、ロックをよく聴いてるの?」


京:「ロックなんか聴かない……とは言えんなぁ」


フィーナ:「なんでちょっと意地張ったの?」


京:「ネタが通じない辛さよ」


フィーナ:「……?」


こんなやりとりもあったとかなかったとか。

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