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第23話 デート・ア・ショッピング

総合評価900pt超えてました。ありがとうございます。


デート始まります。

 デート当日。

 ドキドキワクワクの日曜日。


 今日はオシャレに気を遣っておりますよ!


「それで、京ちゃん。どこから行こうか?」


「どこがええんかなぁ? ウチはそこんところあんま詳しくないから。知りたいことはたくさんあるけど」


「目的に沿うなら、本屋さんからかな」


「やな、どの階に本屋あるん?」


「3階だね。じゃあ、れっつごー!」


 今日訪れたのは、とある大型ショッピングセンターである。

 ここに来れば大抵の物はあるという、全3階からなるこの施設には、様々なお店が乱立している。ファッションから食用品までなんでもござれだ。


 今日は、京ちゃんたっての希望で、この場所にやってきていた。



 書店に入ると、そこはワンダーランド。

 この書店にはよく来ているので、なんとなくどこにどのジャンルの本があるかは知っている。


 漫画は奥だ! イクゾ!

 すたこらさっさーっと、文庫本コーナーやラノベコーナーを抜けてその奥に、私達のエデンが存在する!


「あ、これ新刊出てる! あぁ、この漫画読んでた〜! これも!」


 私が集めてる漫画ばっかりー、わー!

 あ、こんなところに隠れた名作が……チェックしなければ……!


「……フィーナ、楽しそうやな」


「めっちゃ楽しい!! 幸せ!!」


 幸せを謳歌してますよ!!

 なんて、心の中でも外でもテンションあげあげで話していると、京ちゃんがぽつり。


「うん、目的むっちゃ忘れとるやん」


「えぇ、……ワスレテナイヨ?」


「ほんまぁ?」


 ワタシ、ウソツカナイヨ。トトロいるもん!

 ちゃんと自分の好きなの見ながら、探してたもん! どせいさん、いるもんっ! 見たもんっ!


「で、えと、京ちゃんの欲しいものはーっと……あった!」


 探し当てたのは、最近話題になっている漫画の『三月さんは天然すぎる!』である。


 この作品は、今のところ10巻まで出版されている。天然でぽわぽわなクラスメイトの三月さんに、主人公がドギマギさせられるラブコメディで、アニメ化もされた人気作である。

 ほんわかな雰囲気で、『こんな青春が欲しかった……ッ!』と思わせられる、そんな作品。


 それをなぜ、京ちゃんが欲しているかというと理由があった。


『実は、今度このアニメの曲をな、歌うことになったんよ』


 簡潔な理由ですね!


 この『三月さんは天然すぎる!』のアニメがすでに放映されているわけだけども、このオープニングを京ちゃんが歌うと、そういうことになったらしい。


 とても可愛らしい曲なのだけど、京ちゃんの声はそんなキュートなメロディにも合うので、最強。


 で、それならそのオープニングを聴いたり、誰かが歌ってみた曲を聴いてみて、自分で歌ってみてはどうかと尋ねてみたのだけど。


『どうせなら、ちゃんと作品を知ってから歌いたいんよ』


 とのこと。まじめか!


 京ちゃんは既にアニメを履修済みで、更なる探求のために、漫画を買い揃える予定らしい。まじか。


 その理由をさらに深く追求すると、こんな答えが返ってきた。


『それが……アニメを見てたら、ハマってしまってな。続きも……その、読みたくなってしまったんよ』


 わかる、わかるよ君の気持ち!!

 あと、ちょっと照れながら言う京ちゃんは可愛かった。


 こんな理由があったんですよ奥さん!



 そして、買うべき漫画を見つけたということで、そそくさとレジへと赴く。


「あ、望月さんっ! 今日も買いにきたんですか?」


 レジに着くと、この書店員のお兄さんが話しかけてくる。


 私がこの本屋に通っているので顔馴染みになってしまった彼ですけども、私を見つけてにっこり笑ってくれるので、犬っぽくてとてもかわいい。


 こんな弟欲しかったよ!

 や、まぁ、私の家庭環境的に無理なんですけどね! 理想を抱くのは好きにさせてくれ!


「いや、今日は付き添いなんだよ。これお願いしてもいい?」


「任せてくださいっ!」


 私が10巻分の重みを手渡すと、にこにことそれを受け取ってくれる店員さん。


 尻尾ふりふり。みんなおいでよワンダーランドみたいでかわいい。ちょっとショタみがあっていいよね。


 なんか、普段からすごく明るく接客してくれて、お姉さんは嬉しいですよ。うん。

 なんて、ほんわかしていると、横で京ちゃんがまたしてもぽつり。


「あーあの子、絶対あれやん……うわ、かわいそう」


「ん? 京ちゃん、何か言った?」


「や、なんもないよ、うん」


 そう? 京ちゃんがそう言うんだったらいいんだけど。


 お支払いは現金で済ませ、袋に入れてもらう。10冊分も買うと、流石に紙袋もパンパンである。ずっしりとした存在感は、ちょっと女の子が持つには辛いですね、私が持ちます!


「あっ、よければカート使ってください。多分、この後もお買い物しますよね?」


「おー気がきくね。ありがと」


「あ、いえっ、どういたしましてっ」


 おー優しい。

 うんうん、持つべきものは気の利く知り合いだよ。腕がムキムキになるところだったわ。


 あれ、どしたの京ちゃん。そんな「うわぁ」と言わんばかりの顔して。どしたの?


「や、なんでもないわ……うん、なんでも……」


「……?」


 なんか隠してるなぁ?

 なんだなんだ? お姉さんにお話してみそ?


 まあ、買い物は終わったので、立ち去りましょうかね。親切にしてくれた店員さんに挨拶をする。


「うん、ありがと少年。また来るね」


「はい、お待ちしてますねっ!」


「もうやなんやけど……」


 うんざりするのやめなよ女子〜!

 え、ほんとになんで?


 よくわからないけど、ぐったりしてる京ちゃんと『三月さんは天然すぎる!』の重みを背負ったカートを携えて、ショッピングを再開することにした。


 次はどこに行こうかな!

次もデートの続きです。

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