第17話 【アス雪コラボ】フィーナちゃんをしなぷすサーバーにご案内〜【しなぷす】 ◯前半
リースちゃんとの配信前半です。
「粉雪のみんな〜こんばんはぁ。冬に舞い落ちる雪の妖精、リースだよぉ〜」
「どうもこんふぃな! 4期生のフィーナです! リース先輩、お邪魔します!」
『わぁい』
『こんばんゆき〜』
『リースちゃんとフィーナのコラボは誰も予想してなかったよね』
『意外や意外』
『アス雪という新たな概念が生まれた……』
『コラボしたいと言ってはいたけど、まさかこんな早く実現するとは!』
事前に告知をしていた、リース先輩とのコラボ配信が始まった。始まってしまった……!
今回、リース先輩のチャンネルにて配信枠を取ってもらっている。ありがてぇ、ありがてぇ……!
くぅ! 初期から追いかけてた者としては、なんだろう、天上人と会う感動と言いますか、いや、数ある先輩の中から選ばせてもらったのは私なのですけれども!
どの先輩も交わることのなかった線だと、そう思っていたのに。
こんなことってあるんですねぇ! あたしゃツイてるねぇ!
リース・ピュア・スノウ先輩。
『しなぷす』の1期生にして、チャンネル登録者数はもうすぐ100万人の大台に突入するという売れっ子さんである。
リスナーの呼び方は"粉雪"。
雪の世界に住む『雪の妖精』であり、雪をモチーフにデザインされている。
白銀の髪は長く長く伸ばされており、雪の結晶の形をした髪留めによってまとめられている。水色の瞳に透き通るような肌はミドルネームの"ピュア"に準じて、純粋さを感じさせる。
妖精であるがゆえに、背中には羽が生えており、幻想の住人であることをリスナーに伝えていて、可愛らしさにプラスの作用を与えている。白いドレスも、フリフリも彼女のためにあるような可憐さを備えている。
魔法的な力で人間大の大きさになっているが、本来の大きさは掌サイズだというから、もうその可愛さは留まるところを知らない。誰か止めないといけないですねこれは! 私が来た!
彼女の強みは、その柔らかな声とトーク。
母のような包み込む暖かさ、清楚オブ清楚、女子の中の女子、可愛いの集合体、そんなあれこれが詰め合わさって、彼女の大いなる魅力へと昇華されている。
つまり、真の美少女なのである……!
面接の時には『リースちゃんとは別のベクトルの美少女に、私はなる!』と啖呵を切ったけど、ぶっちゃけここまでの清楚さの前に、私は霞んで消えてしまうよ。およよ。
でも私、負けない! 足が傷だらけでも頑張るの!
と頭で思いつつも、尊敬する先輩なので、学ばせていただくことも片隅に置いておきたい。でも楽しむのが1番だからね!
私、メインクラフト堪能するんだ!
「みんな驚いてるみたいだけど〜、うーん、コラボしたいと思ったらするじゃないですか〜?」
「そう言ってもらえるのは嬉しい……! でも私、新参者なので、リース先輩に迷惑かけないといいなぁと……」
「? なんでですかぁ? 私からお話したいと思って声かけたんですから、迷惑も何もないですよ〜?」
「な、なんていい先輩なんだ……!」
『優しすぎる先輩よ』
『1番最初にコラボする先輩としてこれ以上はないのよ』
『しなぷすの清楚担当だから』
感動に打ち震えているし、会いたくて会いたくて震えてもいた。実際に話せて、遠く感じてた存在が、ぐっと近づいたように思えて、すごく嬉しいの。
「それと、普通にリースちゃんって呼んでいいですよぉ?」
「ふぇぇ、そんな、恐れ多い……! リース先輩にそんな」
1期生で、とても人気のある先輩に新参がそんな呼び方したら、いじめられちゃいますけども!? 名前の両端に炎とかされない? 火廻りそう!
「リースちゃん、ですよぉ? 復唱して、さんはい!」
強制じゃないですかー、嬉しいけど、複雑な心境です。例えるなら、校内でも有数の美人な先輩と親しくしているようなそんな感じ。周りからのやっかみがこえぇ!
でも、せっかくだから。
「え、あ、えと、リース、ちゃん?」
「よくできましたぁ! えらいよフィーナちゃん!」
なんてことだ! "ちゃん"と呼び合う仲に!? なにそれやばい! すごい嬉しい! すごい嬉しい! 語彙力が著しく下がりますね!
『リースちゃんの優しさに包み込まれてるわ』
『溶けてしまう……』
『てぇてぇ!』
『メルトダウンしてしまう……』
だめだ、こんな暖気あふれる環境には耐えられない! 私は部屋に戻らせてもらう!
リースちゃんにおずおずと。
「あの、えっと、企画説明を……」
「あぁ、そうでしたねぇ〜。それじゃあ簡単に説明しますねぇ」
粉雪の皆さんに向けての説明が始まる。
「今回は、『しなぷすサーバー』の案内をして行きますねぇ。フィーナちゃんのチャンネルの方でも探検をしていたことと思いますけども〜、今回はライバーさんが建築した建物を順番に巡る『しなぷす巡りの旅』になることと思いますぅ。これでフィーナちゃんのメイクラ配信のお手伝いになればなぁと、そんなところですかね〜」
『しなぷすサーバー』は、その名の通り、しなぷすが管理するメインクラフトのサーバーで、ここがリースちゃんや私を含めたしなぷすライバーの主な活動場所となっている。
ここで建築や資材集めなどを行うことで、新たなストーリーや事件が生まれたりもするけれど、それはまたどこかで。
「リースせ……リースちゃん、お世話になります!」
「はぁい、しっかりお世話しちゃいますよぉ〜」
ママ〜、お世話になりますー!
『しっかりお世話……一体なにをお世話する……おっと誰か来たようだ』
『やめろ、扉開けるんじゃない!』
◇レイン・ドロップ:『刑罰、執行!』
『ぎゃぁぁぁぁあ!!』
『レインちゃん!?』
『その後、彼の姿を見るものはなかったという……』
「レインちゃんの刑罰はいつも通りなのでぇ、気にせず行きましょう〜」
「えぇ……?」
レイン・ドロップ先輩、変態が現れると即座に始末するという執行人の方である。
これがいつも通りとは?
私の困惑をよそに、リースちゃんはずんずんと先へと進んでいく。
「それじゃあ、まずは移動して行きましょうかねぇ。私に付いてきてくださぁい」
「えぇと、……りょうかいです! レイン先輩、来てくださってありがとうございます!」
せっかく来てもらったんだし、一言くらいはかけたいよね。
◇レイン・ドロップ:『可愛い後輩と先輩のため、この程度、造作もない』
『レインちゃんの執行スピード早すぎるw』
『どうやって捕捉してんだwww』
ワキ潰し配慮助かる!
そして、テクテク、トコトコ。
辿り着いたのは、かまくらのような白いドーム状の場所。
ドームの周りは雪を表すように淡い白色の地面が顔を見せている。そして表には表札らしき看板が置かれており[リース・ピュア・スノウの家]と書かれている。その横には雪の結晶と、至る所にこだわりを感じる造形になっている。
「到着で〜す、フィーナちゃんもどうぞ〜」
「は、はい。お邪魔します」
そこにずんずんと入っていくリースちゃんに続いて、私も入っていく。
「ここは私のお家ですぅ。それじゃあ、フィーナちゃん、そこのボタンを押してくれる?」
「はい! ……これ? では、ぽちっとな!」
わ! なにこれ! すごいんだけど!
かまくらの内部、ちょこんと設置されていたスイッチを入れると、ごごご……。
床が動いて、長い階段が現れる。
これが、噂の隠し階段!
「わぁ!! すごい!!」
「ふふ、そう言ってもらえると、作った甲斐がありますねぇ」
実際すごい。
この階段も、壁も一面『透明なブロック』によって製作されており、これからたどり着く『白と青の地下施設』が見えるようになっている。
これがなんとも綺麗なんですね!
非常にビューティフル!
しかも、透明ブロックであるがゆえに、空中浮遊のようなふわふわ感を演出しており、異世界に迷いこんだような、そんな気持ちにさせられる。
「どう? すごいでしょ〜」
「すごすぎますよこれ! あ、灯りがあるから、行くべき方向わかるや……」
なんて配慮ロードだ!
透明だけど、行く場所はわかる。
リースちゃんと灯りの先導がありつつ、階段を降り切ることができた。
「ふぇぇ、すごーい!」
目の前に広がっていたのは、氷のブロックで支配された雪の世界。コンセプトに忠実!
雪の世界ではあるけど、上との違いは水があることだろうか。
雪の下には、綺麗で透明な水がある。春の雪解けで、ほろりと溶けていくように。
階段を降り切った場所の中心には、ガラスドームに覆われた噴水が絶えず流れている。この噴水のある広場を中心にして、それぞれの部屋に繋がる扉があるようだ。
いくつかの区画に分けられているため、それぞれの部屋の様子までは確認できない。上からは見たのである程度はわかるけど、やはり間近に見て感動を味わいたいとそう思うのだ。
「そうでしょ、そうでしょぉ〜! ここはね、同期のウーくん監修だから、すごく綺麗にできてると思うんだよねぇ〜」
「え、ウーくん? ……それって、もしかして」
「あぁ〜、そうウーくんはウィズくんね」
『さすがすぎんよwwww』
『建築スキルAだからなぁ』
あぁ、あのウィズ先輩!
いつだったか、賢者の図書館を見せてくれたあの先輩である。
異世界の賢者様であり、魔導図書館を管理する司書さんでもある。
このメインクラフトでも知識量はずば抜けていて、建築のことやアイテムのことなど、ウィズ先輩に聞けば大抵のことは分かるという、歩くウィ◯ぺディア先輩なのである。
図書館を管理しているということで、本を寄贈されることもあるようで、他のライバーさんに小説を書いてもらい寄贈してもらうイベントをたまに開催していることもあるとか。
参加してぇなぁ!
夢小説出しちゃうよ!
「それじゃあ、こっちこっち〜」
リースちゃんに案内され、扉を開けてもらうと、そこには新しい光景が広がっていた。
「ここ、は?」
「緑あふれる花畑ですよぉ〜」
そう、説明通りの光景が広がっている。
地上は雪で覆われ植物の姿は見えていなかった。しかし、雪の下には緑があったと!
おっしゃれー! 雪解きから春も退き、後には恵みの雨があるということか……! やっはろー!
「すごい、アングレカム、カトレアにカランコエ……スイセンにツバキ……? こんなに沢山の種類あるんですね!」
名前の知らない花がいくつも。
「メイクラはねぇ、アイテムの数が膨大だからね〜。せっかくだから冬の花だけ集めてみたんだよぉ〜」
「これって、全部冬の花なんだ知らなかった……」
しかもこの一面が!?
どんだけの根気で集めたんだろ……
『大丈夫だ、俺たちも知らなかった』
『花に興味ある人は一定数いるだろうけど、まあ知らんよね』
『フィーナも知ってそうなイメージあった』
どんなイメージやねん!
いや、まあ、たしかに? フィーナちゃんは精霊師ですし? 自然の体現者と言ってもいいので? 知ってるっぽいと言われるのもわかるけどね?
でも、知らないものは知らない! 後で調べておきますね!
「ほほう? フィーナちゃんはお花に興味はないんですかぁ?」
「興味は、ないとは言いませんね! 私も女の子なので! 教えて欲しいです!」
「わかりましたぁ、きちんと説明しませんとねぇ〜。腕が鳴りますぅ」
『大丈夫か、先輩のお花話は長いぞ? まあ、僕は大丈夫なんですけど』
『構文やめちwwww』
ご教授お願いします!!
これで私は女の子力を上げるんやで!
その後、1つ1つ丁寧に生態まで教えてくれたリースちゃん。声が弾んでて可愛かったということはここに追記しておきますね!
そして、他の部屋も見せてもらうことになったのだった。
後半に続く。




