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第14話 すりーでいず☆ファンタジア 

『それでは、フィーナさん、よろしくお願いします』


「はーい、お願いします!」


 さて、待ちに待った私のレコーディングである。

 と言ってもベルさんも収録にあんまり時間かかってないから、実質0カロリーみたいなとこある。


『それじゃあ、Aメロから。元気にお願いします』


 スタッフさんから指示が飛んでくる。

 プロのレコーディングエンジニアさん? という職業の方らしい。『しなぷす』専属のスタッフとして働いているそうで、我が事務所の手広さには驚かされる。

 外部にも受注することがあるようだけど、自前でできてしまうのは強みでしかない。


 意思疎通がスムーズに行くという点でも、非常によききまるです!


 さて、スタッフさんの指示にもあった通り、元気に歌わねばなるまいよ!


 唇もぷるぷる震わせたし、肩の力も抜けている。コンディションとしては良さそう。ぷるるるるる。

 声出しがてらお家でタオルを口に当てて歌ってきたし、大丈夫っしょ! それあるー!



 耳に装着しているヘッドホンから、メロディーが流れ始める。


 曲名は『すりーでいず☆ファンタジア』。

 幻想と現実の入り混じった私達のキャラクターに合ったタイトルだ。

 みっか組の()()にちなんだ"すりーでいず"ということで、ひらがなで表現することでポップで可愛らしい仕上がりとなっている。


「話したいこと、たくさんあるの!」


 トレーナー先生に言われたことを意識しつつ、オーダーに則って声を出していく。


『机合わせて、話そうか?』

『チョコもクッキーも用意して ほら』


 耳には、先程収録していた京ちゃん、ベルさんの歌声。今はブースの外で見ているけれど、一緒に歌っているような気持ちになる。


 あ、楽しい。


『『「みんなで騒ぎましょう!」』』


 声を揃えるところなんて、テンションマックスいっけー! って感じですごく楽しいぃぃぃ!


 歌うのって、こんなに楽しいんだ!

 いや、みんなと歌ってるから、かな?


 今この場に私がいれることが、心の底から嬉しい。そう思えた。


 だからこそ全力で、出来る限りいっちゃうよーん!


「私達が、ここにいるから──」



 * * *



 結局、とても時間かかりました! てへぺろ!

 なんでって? ……そこには海より深い事情がね。


 と、いうよりも私がテンション上がりすぎちゃって、まともにテンポが取れなくなったのが原因だったんだけどね! 申し訳ねぇ!


 ただ、スタッフさんの想定している音を録ることはできたようで、ホクホク顔でした。


 なんでも、音を調整する作業であるMIX作業で、ある程度はどうにかなってしまうらしい。歌声にキャラクター性とか味が乗ってれば、なんとかなるとは、スタッフさんの談である。


 プロってすごい!


 それを実感した瞬間だったフィーナであった。後半に続く。



 今回収録した『すりーでいず☆ファンタジア』は、今度発売される事となる『しなぷす』のライバーさんがカバーした曲や、オリジナルソングを収録する『しなぷすparty mix vol.2』に追加されることになった。


 え、これ売りに出されるんですか!? まじぃ?


 や、まぁ、せっかく収録したし? 京ちゃんもベルさんもサイコーだったし? 曲も素晴らしいからね? やぶさかではないんだけど、なんか頭が置いていかれてる。


 ちゃんとマネージャーの石宮さんとベルさんと京ちゃんとで話し合ったとはいえ、ボキにはちょっとついていけないよ……!


 ちなみにvol.1の方はちゃんと買ってるからね私! 誰に言うでもないけれど!


「えぇ……まじでこれ売られるの?」


「まじです♡」


 と石宮さんに言われてしまうと、ボクは……ボクはっ!


 はい、ギルティ。



「いつまで、引きずってるん?」


「いやだって、私パンピーよ? 一般人よ? そんな有名人みたいな! アーティストさんみたいなことできないんだけど!?」


「ライバーやん」


「それはそうなんだけど……!」


 京ちゃんの鋭いツッコミが刺さる刺さる。


 まだ配信回数1桁なんですけども?

 有名なんですか? そうなんですか? 救ってもらっていいですか?


「フィーナ、諦めた方がいいと思いますよ」


「ふぇぇ」


 京ちゃんの横にいるベルさんもトドメを刺しにきた。勘弁しておくれよ。


 今、みっか組は揃って駅まで向かっている最中だった。

 右から、ベルさん、京ちゃん、そして私と横並びになっていて、仲良く帰っちゃうとか学校帰りかー? オラ、ワクワクしてます!


「でもよかったですよ、フィーナの歌」


「そ、そうかなぁ? ふひひひ」


「気持ち悪い笑い方やめて」


「京ちゃんひどい!?」


 ワン○ースの笑い方よりまだ現実的でしょ!? ゴットゴットゴット!

 あ、そう言う問題じゃないって? 知ってる。


「あ、そうだ。この近くに美味しいカフェがあるんですけど、行きませんか?」


「お、いいねぇ!」


「ベル、そういうの詳しそうやね」


「たまたまですよ。たまたま懇意にしているところなだけで」


 なるほど。

 ベルさんは行きやすいお店とか知ってるイメージを勝手に持ってるけど、ほんとにその通りだったみたい。


 あてぃしの予想通りだった……!


「じゃあ行ってみよう!」


 との号令で、私達は打ち上げを兼ねた女子会へと赴くことになったのだった。


 感想を一言。


 破茶滅茶に楽しかった! 以上!

歌詞自体はふわっとあります。


次はベル視点です。

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