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第11話 意外とお茶目なマネージャーさん

総合評価300pt超えてました。

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ありがとうございます!

「はいぃぃぃぃ!?」


 回想から戻ってきた私は叫んだ。

 おりじなる、そんぐってなんだ?


 ……はっ! 意識が無限のかなたに行くところだった、かなただけに。

 ナイスシャレ。いいぞ私、慣れないことはするものじゃないな!


 痛みを伴って正気に戻ると、石宮さんが焦った様子で口元に人差し指を持ってきていた。


「静かにしてください、ここ遮音性があるので向こう側まで音が響いたりしないですけど、それでも事務所内なので……」


「あ、ごめんなさい」


 ほんとに申し訳ねぇ!

 でも、驚いてしまう理由が理由なのだ。


「でも、オリジナルソングってどーいうことなんですか!? そこんとこ、説明プリーズ!」


「……ほんとにフィーナさんなんですね、安心しました」


 どーいう意味ですかそれは!?

 今はリアルの身体とはいえ、魂はフィーナそのものですが何か!?

 私の憤慨ぷんすかぷんを華麗にスルーして、石宮さんは話を続ける。


「はい、オリジナルソングというのはその名の通りです。『みっか組』という名前をより知ってもらえるためのデビューソング、あるいはイメージソングのようなもの、といえばなんとなく分かりますでしょうか?」


 みっか組という名前を広めるための爆薬、そのような役割だろうか?


「え、えーっと、それはわかります。わかりますけど、その、イメージソング? を作ってどうするんですか?」


「どうするもなにも、『しなぷす』の公式チャンネルの方で載せます。みっか組の簡単な紹介も含めて、ね」


 話を聞く限り、主の目的はみっか組のことを知ってもらうことのようだった。


 『しなぷす』の公式チャンネルには、ライバーの面白いシーンを抽出した“切り取り漫画”であったり、記念配信前の広告、新しいライバーの紹介など、その用途は多岐にわたっている。


 だからこそ、このタイミングでのオリジナルソングなのだということで、納得はできる。


 いやー、でもなぁ……


「安心してください。公式チャンネルの方に載せるのはフルバージョンではなく、ショートバージョンになる予定です。フルバージョンは、みっか組の皆さんと私とで話し合って決めていいそうなので」


「そこを不安に思ってるわけじゃないですよ!? 私のチャンネルで載せたかったなーとか思ってないですからね!?」


「そうですか」


 そうなんです!

 そもそも私が歌うなんて、全然考えたこともなかったよ。雑談とか、ゲームとか、そういう方面でしかビジョンがありませんでしたが!


 歌なんて、カラオケでちょこーっと歌ったくらいで、そんな行く余裕もなかったですし! 付き合いで少し行ったくらいですし!


「フィーナさんは声質も綺麗ですし、歌を出したら視聴数稼げると思いますが?」


「視聴数とか生々しいよ! 企業としては大事やけども!」


 大事やけども!! 見られること、新しい顧客を手に入れることは必要なことやけども!! リアルだなぁ……!


「いや、ですか?」


「全然これっぽっちも嫌じゃないです!」


 その上目遣いはずるくないですか!?

 瞳をうるうるさせるのはやめるんだ!


 思わず即答してしまうほどに、何というか、石宮さんのクールな面からのこのあざとい面のギャップがなんとも……たまらないですね、はい!


 返事をしてしまってから、石宮さんはニヤリと口角を上げる。騙したなぁぁぁッ!? ひどい! 精霊使いの純情返して!


「はい、では決定ということで」


「えー、でも私、ご存知の通りど素人ですけど……」


「そうですね。なので、ボイストレーニングは受けていただきます」


「うぇぇ、ボイトレって本当にあるんだ……」


 しなぷすのみんなが歌上手いのはそういう理由だったのか。だよね、世に出すものだもんね。


 ストーリー勢の一部を除いて、しなぷすのライバーは歌ってみた動画に1つは参加している。ライバーみんなで歌う曲もあるし。


 私の推しは歌ってくれないけどね! どうしてだお! ぷんぷん!


 ともかく、ライバーになった私もそれを受ける必要がある、ということはなんとなく分かった、分かったけれど。


「えーっと、それっていつから?」


 心構えくらいはさせてもらえるかなーと思って尋ねると、石宮さんがにっこりと微笑んで。


「今からです」


「え、今から?」


 にっこり。

 無言でこちらをじっと見てくる石宮さんは、微笑んでいるのに。


「圧が、圧が強い! だから、アポイント取った時に時間かかりますよって言ったんだ!?」


「正解です♡」


「可愛く言うなんてずるいぞ!!」


 かわいいは正義だけども!!

 わ、私は、そんなエサには……釣られ……クマー!


 屈しました。ぐすん。


「はい、それでは近くのスタジオでレッスンしましょうね」


「……あい」


 かわいいには……勝てないんだよ……ずるいぞ……!


 それから、私はボイトレでこってり絞られました……とほほ。


 そのおかげか、歌唱力はぐんぐん伸び、レッスンを重ねていくうちに上達を感じてきて、だんだん楽しくなってきたのはここだけの話。


 その間もオリジナルソングの企画は進んでいて、いよいよレコーディングを残すのみとなったのだった。

次回から、レコーディング始まっていきます。

まずは、3人で集合から。

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