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第10話 マネージャーさんからの呼び出し

「フィーナさん、なぜ呼ばれたのかわかりますか?」


「わかりません」


 『しなぷす』の事務所の会議室の中で、さながら圧迫面接かのような静かな威圧を感じる。


 長机の向こうにいるのが、我らがみっか組のマネージャー──石宮さんである。

 手を顔の前で組み、どこぞの司令官のようにメガネを携えて、石宮さんは私を見据えている。出撃準備とか言いそう。


 石宮さんは、はぁとため息をつく。


 え、なに、私悪いことした?


「……安心してください。フィーナさんを怒るために呼んだわけではないので、いつも通りでいいですよ」


「あ、そうなんですか? はーよかった」


 心当たりがないでもなかったから、ちょっと心配した。殊勝な態度とっちゃったりしてね。

 ほっと一息つくのを見て、石宮さんはメガネをくいっと上げて話の続きを始める。


「はい、むしろフィーナさんはよくやっていると贔屓目なしに思います。さて、話したいことというのは他でもないみっか組のことです」


「なんでしょう……?」


「いえ、せっかくグループ名も決まったので、お披露目の意味も込めまして──」


 ──みっか組のオリジナルソングを披露するというのはどうでしょうか。


 石宮さんはそんな提案をしてきたのだった。


 お、オリジナルソングぅ〜??



 * * *



 少し話は遡って。


「『メインクラフト』の操作にだいぶ慣れてきたかなぁ、パソコンでゲームってのもあんまりしたことなかったから難しかったけど、さすがに慣れてきたね!」


『慣れるの早いなぁ……』

『マグマ遊泳する先輩もいるから……』

『早く"フィーナの隠れ家"作っておくれ』


「やーこの何回かで探索しかしてないからなぁ……先輩と絡むこともできたけど。ゼクスさん優しかった〜」


『フィーナがペコペコしてて面白かった』

『ゼクスはしなぷすの良心だからな……』


 食べ物やピッケルなどの道具を分けてくれたゼクスパイセンには頭が上がりませんね!


「あとウィズ先輩も! ちょっと無言での圧力凄かったけど、素敵な図書館を見せてくれたし。あんな建築したいなー」


『あの人はガチ勢すぎるのよ』

『魔道図書の賢者様だからなぁ……』

『一級建築士だからあの人』

『教えを乞うしかないな』


「だよねー! あ、そろそろ時間だ。じゃあ今日はこの辺で、また明日も引き続きメインクラフトやってくからよろしくね」


『おつふぃな』

『おつあす〜』

『メインクラフトまた見にきまーす』


「はーい、お疲れ様でしたー!」



 ……ふぅ。

 配信を終えると、一息つく。


「やー今日も大変な配信でしたなー!」


 配信時間にして3時間強。

 メインクラフト配信にしては短い方だと自負がある。でもこうしてちょっとずつ配信に慣れていきたい所存です!


 ずっと話しているだけでも意外と疲れる。

 学校でだって、ここまで話しっぱなしということはなかった。だから、少なくない体力を消耗することにはなっている。


 まだフィーナはそこまで動きが細かいわけでもないので、左右に少し揺れ、表情も簡易的に読み取ってくれるくらいで、そういう意味では楽チンではある。


 さらにさらに先の話ではあるけど、バージョンアップや3Dになって動きがより詳細にわかるようになったらどうなってしまうんだろうという不安もないわけではない。


 とらぬ狸のなんとやらかもしれんけどね!

 まだ初配信終わって少ししか経ってない。まだそんな心配をするには早いのです!

 これからこれから〜!


 2回目の配信が終わってから、かれこれ数日が経過している。

 その間にはゲーム配信をして、しなぷすの定番となりつつある『メインクラフト』配信を進め、早く合流できるように努めていきたいと、そんな風に考えているのだった。


 メインクラフトは、1つの世界に複数の人がログインできるため、他のライバーさんと絡みやすいという特色があったりする。


 クラフトしている間は、リスナーさんと会話を楽しむこともできるし、突飛な行動をすれば、それはそれで楽しませることにもつながる。


 たまにリスナーですらも困惑するようなことするライバーさんもいたりするけどね!

 山作ったり、家を再建したり、神殿に侵入して出られなくなったり……あげるとキリがないな!


 ともかく、利点の多いゲームではあるのだ。

 多少苦手でも、手を出すに躊躇いはないのだよ……!


「はうあー、これはみっか組で集まってプレイした方が楽しかったかもなぁ」


 1人で淡々と、というのも面白かったけど。でも探検するなら賑やかな方が良かったなぁと反省点はある。


 でもそれぞれに配信ペースがあるのだ。私の気分だけで動かしていいわけもない、と私は思ってる。


 代わりにこれまで絡んだことなかった先輩との絡みがあったのだから、良しとしよう!


 反省点を次に生かそうと、どんな配信にしようか考えていると、不意に携帯の通知が鳴る。


 マネージャーさんからだった。


『配信お疲れ様でした。ご相談があるので、近日中に事務所までお越し下さい』


「ドストレートにきたな!? なんだこの呼び出し!? 拒否権なさそう!」


 前置きも一切ないじゃないですか!

 ご相談ってなに……怖いんじゃけど。


 えぇ、行かなきゃダメ?


「行かないと、だよねぇ。なんかしたかなぁ」


 私にしては、いいトークができていたように思うんだよねぇ。変に口を滑らせたりはしてないはず……はずったらはず……!


 え、怒られる?

 ……やだぁ。


 戦々恐々としながらも、アポは取っておくことにした。アポイント大事!


 そして冒頭に戻るというわけなのだった。

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