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第9話 【精霊ってなに】ましゅまろを食べる!【精霊交信局】

総合評価200ptいってました。

ありがとうございます。

 第2回目の配信。

 今日も元気にいってみよー!


「はーい、どーもこんふぃな! 4期生のフィーナ・アストライアだよ!」


『こんふぃな!!』

『待ってたぜ!』

『あなたの精霊、ここに参上しました!』


「精霊さん達、やっほー! 来てくれてありがとうね。今日は雑談配信をしていくわけなんだけど、せっかく『ましゅまろ』がたくさん送られてきてるからね、それを読んでいこうかなと思ってるよ!」


 ましゅまろ、とはリスナーのみんなからその配信主に向けて送られた質問や感想やその他諸々。


 ましゅまろを読んでいくことを、この界隈では『ましゅまろを食べる』と言うみたい。

 食べ物のマシュマロと合わせたシャレ、のようなものだろうか。


『たくさん送りつけたよ』

『どんだけ食べれるか、それが問題だ』

『お残しは許しまへんで!?』


「食べ切れるかなぁそれ……、かなりの量があったから、出来る限り答えていくね、えーっと、まずはこれ!」


 早速、私は1つ目のましゅまろを画面に表示させる。


 《フィーナさん、初配信お疲れ様でした! リレーということで、4期生みんなの配信を追わせてもらいました。そこでなんですが、どうしてリレーになったんでしょうか? これまでに無かった試みだったので気になってます》


「はい、とのことで。私達の配信を全部追ってくれるの嬉しい! 全部で4時間とかそれくらいの長丁場だったと思うけど、みんなすごいねぇ」


 私達それぞれに1時間ずつ、さらに反省会で1時間とちょっと、合計で4時間の計算になる。

 それくらい初配信リレーは長丁場になって、私達4期生にとっても、リスナーにとっても負担が大きかったはずだけど。


『4時間くらいなら張り付いて見てるから大丈夫!』

『世の中には9時間配信で山作り出す人とかもいるからな……』

『これまで長時間配信に耐えてきた連中だ、面構えが違う』

『訓練されすぎなんよww』


 ありゃ、しっかり『しなぷす』に教育されてますねみんな。

 精霊のみんなを舐めてましたかね?


 仕事してる人もいるだろうに、よくぞ……やーい社畜! と笑うことはできまいて。


 長時間配信耐えれる人ばっかりで安心安心!


「で、えと、どうしてリレーになったのかだっけ。それはマネージャーさんのアドバイスのおかげだね。私達、特に京ちゃんと私なんて配信のはの字すらわからなかったから、フォローし合えるように初配信はタイミングずらそうねってことになって」


 ベルさんは配信の仕方とかある程度熟知してるみたいだったから、そういう経験があるのかも。詳しくは聞いてないけど、演者を集められる人脈や場所の確保など、経験者ならではのムーブはしてたような気がする。


 京ちゃんは、配信そのものに触れるのが初めてだったみたい。


『ふむふむ』

『京さんとフィーナはそんな感じかもね』

『でもそれを言うなら、ベルさんもそうじゃない?』

『つまりみんな配信初心者だったわけやね』


 あー、ベルさんそういう……忘れてた。

 ストーリーラインは守らねばなるまいよね。お口チャックで!

 私は話の流れを汲みつつ、進めていく。


「それで、せっかくなら配信の順番決めてリレーにしていくのがインパクトあっていいんじゃないかって。それでも私がトップバッターなのほんとびっくりって感じだけどね!」


 ほんとどうしてなのよって思うけど、京ちゃんやベルさんの後にやるのは、それはそれでハードル高いんじゃよね……結局この並びがベストだったんだろうなぁと思わされる。 


 でも私、ズブの素人でっせ!?


『誰が最初でも大変やと思うわ』

『むしろフィーナが最初で、リスナーの心の準備の時間ができて安心した』

『最初に京ちゃんの歌聴いてみ? 飛ぶぞ?』


「あとは、4期生の結束力を高めるためとか、リスナーの皆さんに私達3人組を意識してもらいたいとかいろんな理由があると思う! 私の想像でしかないけど!」


 たった3人しかいない4期生の絆……までは言い過ぎかもしれないけど、信頼関係を築く一助になるようにという計らいだったのかもしれないね。この繋がりは……断ち切れないよ……絆だからね……!


 あと私達の売り方として、マーケティング的? 戦略があったのかもしれないなぁって、そんなことを私は考えていたのだった。


『なるほど、4期生で1つの企画を終えたって感じだもんね』

『リレーでバトンを繋いだことで結束力を高める……青春だね』

『アオハルかよ』

『フィーナと京とベルの3人組を? それはカップル爆誕ってことでいい?』


「青春、かぁ」


 私は、あまりそういう青春とかできなかったけど。だから、しずくから聞く話とか、物語上のものくらいしか分からない。

 けど、まぁ、遅れてやってきた青春だと思うと、ちょっと嬉しい。


 ……話が逸れた!


「んーと、それじゃあ次のましゅまろいきまーす」


 私は次のましゅまろを表示させた。


 《こんばんは、初配信とてもおもしろかったです! 4期生の3人はとても仲がいいように見えましたが、配信前から交流はあったのでしょうか?》


『異様に仲良いよね4期生』

『これ気になってた!』


 精霊のみんなも、私達の関係性について気になってるみたい。でも、そんな仲良く見えたかなぁ? もし仲良く見えてるんだったらとても嬉しいけど。


「はい、そうですね……前々から、というわけじゃないですけど、電話したりはしてましたよ。4期生になりました! って後に同期になる2人を紹介されて……って流れですね」


 前々からの知り合いってことでもない。

 京ちゃんもベルさんも写真でお姿を拝見したくらいで、あとは電話で会話を重ねていった、という感じだろうかね?


『同期になってからね』

『ほんとにそれだけぇ?』

『それにしては仲良すぎじゃない?』


「えー、そうかなぁ。あ、でもベルさんとは会ってるから、それが仲良く見える理由かも?」


 リア凸してるしね、ベルさんとは。


『え! なにそれ!』

『まあ、2人は知り合いだもんね』

『ベルちがそんなこと言ってたっけね』


 ……あっ。


 ベルさんの配信にて、“ベルとフィーナは小さい頃からの付き合い”であることが仄めかされたので、その設定には則らなければならない。あれ、これ説明すごく難しいじゃん??


「あー、そうなんですよね。だからベルさんとは仲良く見えるかもって感じですかね!」


『でもベルのことさん付けなんだね?』

『幼き頃からの付き合いなのに?』

『ばっかお前ら、突っ込むんじゃないよフィーナさんだぞ?』


 蔑称みたいに使われるのは納得いかないんだが!?


「どういう意味!? ベルさんはベルさんだよ。貴族様にそんな呼び捨てとかできないでしょ? イエリスセイバーで首チョンパだよ!」


 ベルさんに新しい属性を付与してしまった。


『イエリスセイバーなんぞww』

『貴族様やもんなぁ!! 呼び捨てできないよなぁ!?』

『圧がすごいな』

『イエリスセイバーが気になりすぎる』


「イエリスセイバーは、イエリス侯爵家に代々伝わる神剣……って言われてる剣のことだよ! 詳しいことはわかんないけど!」


『イエリス……セイバーァァァァァァァァ!!』

『ものすごいビーム放ちそう』

『真剣な神剣……なんつってな』

『ツンドラ地帯錬金するのやめろ?』


 いや、私も知らないから。なに、イエリスセイバーって。なんぞ? こわ。こんな設定が知らずの間に生まれてしまう私の口が怖いよ。

 やっべぇ、ベルさんに怒られそう! オラワクワクすっぞ!


 ……ほんとごめんなさい。


「まあ、馴れ初め……というか、ベルさんとの出会いについてはベルさんの配信をお待ちよ! って感じかな」


『合点承知!』

『ストーリーに絡むってことですねわかります』


 ベルさんが、出会いを動画にするって言ってたからね。その時はまたボイスを録るらしいので、私の出番はまだまだあるのだよ! ワトソンくん!


「あ、そうだ、ベルさんの話が出たから、それに合わせてこのましゅまろも出しとくね」


 《ベルさんの配信の最後に出てきた子について一言!》


「私からは何も言えません! 以上!」


『おいwwww』

『一言が過ぎるんじゃwww』

『黙秘しおったw』


「いやー、だってベルさんが隠してるのに私からバラすわけにはいかないじゃん! 出直せ出直せ!」


『ぶーけちー!』

『バラすってことは知ってるってことですかい?』


 ぎくっ。

 知ってるよ? 知ってるけどね?


 ここは逃げの一手!!

 これは最善の一手でも、最強の一手でもない、試している手だ……遥かな高みから……!


「えーなんのことかな、フィーナわかんなーい〜ひゅーひゅー」


『誤魔化すの下手なんよ』

『口笛吹けてないぞ!』


 口笛できねぇんじゃ!!


「うるさいよ精霊さん達! 次行くよ次!」


『罵倒たすかる』

『ないす』

『出たな、たすかるマン! ハーヒフーヘホ!』


 それ敵と味方ごっちゃになってない?

 スターライトアン○ンマン最強!!


 そんなことより、次次!!

 私はコメント欄のア〇パンマン騒動を横目に、次のましゅまろを食べる準備を始める。


 《フィーナさん、こんばんは&初配信お疲れ様でした。反省会でのお三方を見ていて、とても面白く尊かったので、早くグループ名ついて欲しいなぁと願っていますが、なにか決まっていますか?》


「……とのことで。えーっと、決まってないです! これは2人と相談しつつ決めたいなと思いますね」


『3人で決めておくんなまし』

『なんて名前になるか予想大会しようぜ』

『女子ーズと予想』

『クソダサくて草』


 女の子はたくさんいるから、私達だけでその名前独占できないよね、女子ーズ。売れないバンドマンみたいな名前だな。今夜は焼肉っしょ!!


「なんて名前になるかなー、うーん……ベルさんは発想力すごいから、そこでぶっ飛んだのが出そうな気もするけど……」


 はてさて、どんな名前がいいかなぁ。正直私はそこらへんのアイデアには乏しいので、とんと検討つかないんだけど、まあなんとかなるっしょ!


「じゃー次いきまーす。これ!」


 《フィーナさんは精霊師とのことですが、精霊ってどんなものなんですか?》


 むむ、これは設定に関わる難しい質問やで工藤。こんな時は、秘技『質問返し』ッ!! ドドン!!


「はい、えと、そうですね……精霊のみんなはって、ややこしい! みんなは精霊ってどんなものだと思う?」


『えー、むっず』

『アストラル体の幽霊みたいなもの』

『自然の体現者みたいな?』

『魔法使うのうまそう』


 コメント欄にちらほら近しいものが出てくる。


「あすとらる……はちょっとよくわからないけど、精神生命体ってことかな?」


『フィーナが精神生命体なんていかつい言葉使うの意外すぎて笑う』


「意外ってなんぞ!? 私だって言葉くらい知ってるぞ!?」


 舐めくさっとんな!? 表出ろ!!

 ……十分表だなここは!! 


 さて。


 そも、精霊という概念は、古今東西様々な作品に変容しながらあり続けているので、定義は難しい。

 なので、私の扱う精霊は、特性が少し変わっている。けれど、リスナーのイメージとそこまで乖離しない程度に留める。


「えと、精霊について詳しく話すと長くなるんだけど、大まかに言えばみんなのイメージ通りでいいと思う。意思を持った魔力、精神性の強い存在、ふわふわ宙に浮いて漂う存在、おおむねそんな感じです! あっちの世界では意思を共有する生命体ってのもあるんだけど、まあ難しい話は私もわからないし!」


『解説あざす』

『意思を共有するって怖いな、1人の精霊にバレたら全部の精霊に筒抜けってことでしょ?』

『つまり俺らは一蓮托生なわけか』

『俺ら精霊は考えてることが一緒なわけだな? つまり……お前らバカだな!?』

『な、なぜバレた……!?』


 精霊達、やっぱりバカなのか!


 ……ダメダメ、落ち着くの。みんなちょっとテンション振り切れてるけど、根はいい人たちだよきっと。そうに違いない!

 だから、フィーナ仲裁に入ります!


「ちょっとコメントの流れが不穏すぎるな! カットカット! それじゃあ、そろそろ最後のましゅまろにいこうかな……」


『え、もう終わり!?』

『まだだ、まだ終わらんよ!』


「終わるよ! また明日も配信あるからね、それじゃあいきます!」


 もうゴールしてもいいよね……?

 そんな気持ちで最後のましゅまろを食べていこう。


 《フィーナちゃんが、『しなぷす』で気になるライバー、あるいは推しなどはいますか? よければ教えてください》


 とのことだけど、いるんだよなぁ!


「そうですね! しなぷすでの推し、いますよ!」


 推しがいる、その言葉で興味を惹かれたのか、コメントが流れる速度が加速する! アクセルシンクロ!!


『お、それはいったい誰なんだい? お兄さんに教えてみそ?』

『気になるですです』

『フィーナが推すライバー?』

『めっちゃ声キラキラしてるの伝わってくるんだがww』


 仕方ないなぁ、そんなに知りたい?

 なら教えてしんぜよう! その名は!


「もち、斜向翠(はすむかいみどり)様です!!」


『翠ぃ!?』

『まさかの、みどりん!?』

『ナナメくんじゃん!?』

『みどりだと!?』

『wwwwwww』


 発表し終えると、コメントに草林などが生い茂っておりますわ。ええ?

 あと呼び方たくさんあるのよね、翠様。

 愛称がある、それだけみんなに愛されてる証でもあるわけで。


「そう、しなぷす初期から追っかけてるから、みんな好きなんだけど……やはり推すとしたら斜向翠様だよね。うん、そうなんだよ」


『誰に向かって言ってるんだww』

『初期勢だったか……』

『ゴリッゴリのしなぷす沼にハマってるじゃないですか、やだー』

『様付け草』


 様付けせざるを得ないんだよね……毎日の生きる活力をもらってるから……!

 それに。


「大先輩だし、めちゃくちゃおこがましいんだけど……翠様ってめっちゃ可愛いよね」


『わかる』

『わかるマン』

『わかりみしかない』

『なんだろね、見守りたくなるよね』


 コメント欄が共感示しまくってて、やはり翠様の魅力は万国共通なのだと確信しました! 私、動きます!


「そうなんだよねぇ、これまでの配信追ってきてて、私より多分歳下っぽいから、余計に可愛いなぁって思って」


 なんだろうね、お姉さんとしての血が騒いじゃうのだろうかね?


『え、歳下? フィーナより?』

『フィーナ何歳なの』

『こらそこの男子ぃ! 女の子に年を聞くのはだめだゾ!』


 うげ、年齢もあんまり言うとあれか、フィーナちゃんとずれちゃうかもなのか。むず!

 秘技、『誤魔化しの術』ッ! ドロン!


「あーうん、そこはね、乙女の秘密だから! ということで、ましゅまろ食べたけど、これ以上にたくさんあったから、ちょっとだけ紹介するね」


 さっさと会話を終わらせてネクストステップへと。私じゃなきゃ見逃しちゃうよね。


 さて、思っていたよりも沢山のましゅまろがうちに直送されてきたわけなんだけど。

 中にはこんなよくわからないものもあった。


 《フィーナちゃんの使ってるシャンプーってなに?》


「精霊さんが魔法で生成してくれる泡を使ってますね。メリ〇トみたいな感じです。……ってこの質問意味あります?」


『意味はないけど、変態の登竜門というか……』

『つまりはメ〇ットか、ちょっと買ってくる』

『変態湧いてんぞ!?』


 わかった、君たちはエッチな人だ!


「あとこれ!」


 《デュフフ……フィーナ氏はアニメとか、見るで、ござるか?》


「古き良きオタクだし、これ系の口調のやつめっちゃきてたけどなんで!?」


 私こんな口調で喋ったことありましたっけ?

 それが伝播した訳なのかな?? してないと思うんだけど! そこのところどうなの? 教えてエロい人!!


『デュフ、それは我らが古きオタクだからでは』

『古き良きオタクであり精霊だから……デュフ』

『オタクで精霊はパンチ強すぎる』

『デュフフでござる』


「おちょくってるよね? 口調のせいで損してるからね! 私は全然読めるけど! 他の人にしたらだめだからね!? ……ちなみにアニメはゴリゴリ見ます」


 つまり、私云々ではなく、うちの精霊さん達はすでにゴリゴリでイニシエのオタクだったという新事実が明らかになった。まじぃ?


『なんやかんや受け入れるの、ママみを感じる』

『フィーナママ……? ちょっと想像つきませんねぇ』


「誰がママじゃい!」


 まだママには早いのよ私は! ピッチピチなのよ! ぴちぴちピッチなのよ!


「はい、じゃあぼちぼち終わろうと思いまーす。明日は、たぶんゲーム配信します! とりあえず『メインクラフト』やってこうかなと思ってるので、よろしく!」


『もう終わりかー』

『あすかれー』

『メインクラフトはあく』

『ましゅまろ増やしとくね、たくさんお食べ』


「はーい、あすかれー!」


 こうして、2回目の配信も無事? に終えることができたのだった。


 それにしても挨拶浸透してるな……よきよき。



 * * *



 フィーナ・アストライア

 @Fina_astlaia_


 おつあす〜!

 たくさん喋ると喉からからになるね、今度からお水用意しとく!


 次回はゲームやるぞー! 家を建てるんじゃわ!


 #精霊交信局 #しなぷす

次はまたしても間話です。

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