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第7話 【初配信】反省会始まるよ〜!【4期生リレー終幕】 ○後半

ブックマーク50件いってました。

ありがとうございます!

「はいはーい、次はベルの初配信についてかな?」


 京ちゃんの話が終わり、続いてはベル・イエリスの初配信の感想について尋ねる。


『酒が進む配信だなこれは、グビッ』

『フィーナの引き際が潔いな』

『晩酌のお供にする猛者が現れたw』


「私の初配信について……そうですわね、正直、リレーの3番手ということもあって、それなりにインパクトが欲しいなと思ってはいました。なので、始まり方を私らしく、かつ印象に残るものにできたとは思いますね」


 ベルさんらしく。

 その言葉の示す通り、あの配信はそれなりのコネクションと経験、実力も必要になったはず。

 それら全ては、ベルさんの力によるもの。


 “演技”という、彼女の力だ。


「あの導入は、ベルさんも動いてて、お父様も動いててすごく豪華だったよね! 準備大変じゃなかった?」


「そうですわね。各所への委託、依頼、許可取りなどやることは多かったですわね。同期がキャラが濃いことは分かっていましたので、並び立つにはこのくらいの努力はしないとなと思いまして」


「キャラが濃い……?」


「……ウチはそうでもないと思うけど?」


 ……はて?

 京ちゃんは濃い方だと思うけど、私はパンピーなので、そんなことはないんだよね。


『お前らみんなキャラ濃いよ!!』

『フィーナはなんで、キョトンとしてんだ、おかしいだろ』

『ベルさんの演技力たるや』

『京ちゃん、激歌ウマVtuberという強烈な個性なんだよなぁ』

『悲報、4期生キャラ濃ゆい問題』


 あれぇ、おかしいなぁ?

 京ちゃんとベルさんが個性ありまくりなのはわかるけど、私も? 私もなの?


「えぇ……? 私、どこにでもいる美少女だから、そんな個性ないでしょ?」


『こんな美少女がいてたまるか!』

『自分で美少女って言うのはどうなの…』


「自画自賛なにが悪い! ママが生み出してくれたこの外見が不細工なわけないでしょ!」


 あんりママの実力舐めんなよ!!

 ……この話題、私の中のオタクソウルが爆発し続けそうでちょっとやばい。ソウルがダークになって、デモンズになりそう。


『それはそうなんだけど』

『さつきママの実力を疑ってるんじゃなくて、中身が強烈なんよ』

『クロクママも美少女生み出すの得意よな、京を見て確信した』


「あ、京ちゃんのママの話だって! クロクマさんだよね?」


 クロクマさんは、京ちゃんを描いてくれたお母様である。クロクマさんにママを足して『クロクママ』さんという安直ながら語呂の良い名前が流行ってるらしい。


「せやね、ウチの声を聴いて、『ぜひ描きたい』って言ってくれたみたいで。あんまり女の人描く人やないから、すごく驚いたわ」


「確かに、クロクマ先生が女性や少女を描くというのはあまり印象にありませんね。それほど、京さ……京ちゃんの声に惹かれたということなのでしょうか?」


「別に京さんでよかったし、言い直さんでよかったよ!?」


『わざわざ言い直してるのかわいいなw』


 ベルさんナイス! 良いぞもっとやれ!

 そんな気持ちでサムズアップしておきました!

 と、そんなところに。



 ◇クロクマ:『呼びました〜?』



 !?!?


 ご本人登場じゃないですか!?


「え、クロクマさん本人!? 本人だねこれ! すごい、神絵師が配信に来てくれる世界線……たまらねぇ!」


 京ちゃんを見に来たと思われるけども、私が配信の枠を取っているので、実質私の配信に来てくれたってことでおけ??


『フィーナの反応が、俺たちすぎるwww』

『もはやリスナー』

『たまらねぇ、ってこっちのセリフなんだよな』

 ◇クロクマ:『神よりもクマの方が好き〜』


 クロクマさんは、京ちゃんの言にもあった通り、基本的に男の人を描くことが多い絵師さんとして知られている。

 老若男女問わず、様々な男性を描くことに余念がなく、最近ではとある有名なソーシャルゲームに絵を提供したとか。


 そのくらいすごい絵師さんではあるのだが、普段の言動などから、クロクマさんは変わり者として有名になっている。

 コメントもちょっとズレてるし、天然と言うのが相応しいだろうか。


 考え込んでいると、コメント欄に気になるものを見つける。


『クロクマ先生、京ちゃんに姿をプレゼントしたのは、やっぱり声が良かったからですか?』


「プレゼント、粋な言い方ですわね。私もそれは気になっておりました、どうなのでしょう?」


 ◇クロクマ:『ビビッときたから〜』


 ベルさんも私と同じコメントに気がついたのか、クロクマさんにそう尋ねる。が、それに対して一言、なんかすっごいふわっとした答えが返ってきた。


「ビビッと? ええと、なにか感じるものがあったということでしょうか?」


「ベルさん、ここ掘っても多分わからないと思うんだよね」


 天才の感覚的なアレは、凡人の私には難しいんじゃよ……。わかろうとするんじゃない、感じるんだ……!


『クロクマ先生は、天然だから……』

『天然というか、感覚肌というか』

『常人では測れないんだよ……』


 ◇クロクマ:『そう〜ピカッとしたんだよ』


 だめだ、わからない……ッ!


 ピカッとピカピカ? ……ドーンだYO!?

 もしくは電気ネズミのことだろうか?

 どっちもしっくりこないんじゃ!


『光り輝くもの、才能があったってことか……?』

『翻訳ニキたすかるぅ!』

『そうだったのか……?』

『控えめに言って天才じゃん?』


「そういうことなのですか……?」


「そういうことだよ、そういうことにしとこう!」


『勢いで乗り切ろうとしてるww』

『司会力たったの5か……』

『司会戦闘力測るんじゃないw』


 いや、だって真相は闇の中なんだもの! ここは乗っかるのが吉!


 ◇クロクマ:『むむむ』


 むくれてるのかわいいけど、わからないんです……話進まないから……すまないっ!!


 話を戻さなければ……えーっと。


「えーっと、なんの話してたっけ? ……あー、ママさんの話かな。ベルさんの生みの親は?」


「私は、紅姫先生ですわね。先生の描く絵が好きなので、お声かけさせていただきました」


「紅姫先生といえば、顔出しもしとる人やったよね? めっちゃ別嬪さんだったような?」


「そうだね、紅姫先生は自分の配信チャンネル持ってるし、生配信とかもしてるから、かなりアクティブな人だよね?」


『アクティブで済ませていいのか……?』

『紅姫さんもぶっ壊れ』

『系統としては、ヒカリ生徒会長みたいな……』

『え、そんな感じなの?』


「ヒカリ先輩とはまた違う気もするんだけどなぁ……」


 『日乃(ひの)ヒカリ』さんは、しなぷす1期生の中でも異質なキャラであり、荒れ狂うタイプのライバーさんではあるが、あんまり関係ない気もするので、横に置いておく。


 ◇紅姫:「呼びました?」


 ぎゃー!! きたーー! その入り方流行ってるの!?


『ぎゃー! シリアスクラッシャーだ!』

『逃げろ! センシティブに巻き込まれるぞ!!』

『パターン紅!!』


 コメント欄は、阿鼻叫喚となっている。悲鳴や怒号で弾幕ができてしまうレベルだ。

 リスナーが、そんな反応を示してしまう理由、それは紅姫先生の性質に起因している。


 ◇紅姫:「もう、そんなに喜ばれると照れてしまいます……///」


『『『「喜んでないんだよ!!」』』』


 コメント欄と私の声が一致するくらいには、紅姫先生はだいぶ『危ない人』認定されているのだ。

 その理由が、そもそも紅姫先生の作風に大問題があるためだ。


 ◇紅姫:『で、この3Pを私に描けというのですね? 分かりました、任せてください!』


『『『「任せられないよ!?」』』』


 こら、そこのコメント! もっとやれじゃないんだよ!! 京ちゃんが混乱してるでしょうが!!



 そう、紅姫先生は『百合モノ大好き先生』なのだ。それも18禁レベルのどろっどろなのだ。



 紅姫先生が描く絵に男性がほとんどいないのは、『女の子同士の絡みを描きたい人だから』という理由が大部分を占めている。


 いや、18禁じゃないのもあるけどね?

 それでも女の子同士の友情とか、そのシーンだけボカされてたりとかしてる時もあるけども、それはそれとして内容に多少そういった成分のものが含まれている。


 そんな作風故か、紅姫先生は発言にブレーキがない。立てば卑猥、座ればセンシティブ、歩く姿は百合の花といった具合だ。


 そんなセンシティブモンスターたる紅姫先生の発言で、何人ものライバーが生贄となった哀しい事件もあったりなかったりする。


 そも、紅姫先生が来たということは、そういうこと。

 この配信に百合の可能性──『百合の波動』を感じて、見に来たということなのだ。


 てぇてぇ以上はやめてくれ!?

 せいへきコンビじゃねぇんだぞ!?


 ◇紅姫:『なるほど、今のところフィーナ×京が優勢のようですね。ベル×京も捨てがたいのですけど……』


 組み合わせを考えてる……やだ、怖い……。


 いや、実際はそこまで怖くはないけど、それにしたってストレートな物言いすぎやしません?


「……?」


 多少そういった文化にも造詣がある私だからまだアレだけど、ベルさんはともかく、京ちゃんは話についていけてないよ?


 ◇クロクマ:『あー、紅ちゃんこんちゃ〜』

 ◇紅姫:『クロクマ先生! こんばんは』


 お、え、意外な組み合わせだよ?


「クロクマ先生と紅姫先生って親交があるんですか……?」


 ◇紅姫:『親交と言いますか……私がクロクマ先生のファンで、ご縁があって知り合うことができたという感じです』

『なるほど……ってファン!?』

『衝撃の事実』

『ファンにしてはジャンルが違いすぎるな……』

『あれ、でも紅姫さんって百合好きなのに……なぜクロクマさん?』


 クロクマさんのファン……だと!?

 あの紅姫先生が? なぜ? 何故? ファイ!?


 大混乱してしまう私をよそに、話は進んでいく。


「紅姫先生って女の子好きなんですよね? どうしてクロクマ先生を?」


 何度も言うが、クロクマ先生は男の子、成人男性を描くことに定評のある先生だ。

 男をカッコよく描くことのできる先生、というのが概ね世間の意見だろうと思う。


 ベルさんの疑問も、最もという話だ。


 ◇クロクマ:『くまだって女の子描くときはあるよ〜』

『なるほど?』

 ◇紅姫:『クロクマ先生の描いた女の子が可愛すぎて、どハマりしてしまったんですよね。新しい扉開きました……ジュルリ』

『新しい扉!? ちょっとまずいですよ!』

『よだれ拭きな!』


「だめだ……手がつけられない……ええい! 次の話題!!」


「露骨な話題逸らしやん……」


「うるせい! こんなん私の手には余るんだよ! ということで、私が気になってるのはあれよ、ベルさんのストーリー!」


 ◇クロクマ:『お父様いい声だった〜』

『私もストーリー気になるですです』

『ベルさんのファンタジーな世界観、確実に他のライバーも巻き込みそうでワクワクしてる自分がいる』

『てか、フィーナも関係してるよね? あの話聞く限り』


「え、私? いやいや、何をおっしゃいますやら、全く知らねぇでございますとも!」


『ほんとぉ?』

『うそじゃないのぉ?』

『しんでるんじゃないのぉ?』

『コックを出すなwww』

『でも最後の……』


「えーっと……」


 最後の、でぴくりとした。

 ベルさんの初配信の最後の方で、ベルさんに向けて声をかけていた少女がいた。


 ──ベル、そろそろ時間、早くして。


 たった一言ではあったけど、確かに私は彼女の声を収録していたし、その際にはベルさんにも監修してもらって納得のいくキャラができたのだ。


 でも、これって話していいものかね?

 一応段取りとかあるかもだし、情報を小出しにするパターンかもしれないから、うーん、どうしたものか……。


 そう声を詰まらせると、ベルさんが口を開いていた。


「あの子はフィーナではないですよ。今後、またどこかで紹介できればいいと思いますけれど、お楽しみにということにしておきましょう?」


『ええー!お預けなの!』

『考察が捗りますね……』

『声はフィーナと同じような感じだったから、人格が違う?』

『いや、親近者という可能性も……』


 コメント欄が活気付いていく。

 みんなそんなに気になるもんなんだねぇ。まぁ、私は知ってるんですけどね!? どや!


「フィーナ、そろそろ時間やで」


 心の中でドヤ顔をしていると、タイムキーパー京ちゃんが配信終了のお時間であると告げてくれた。


「え、もうそんな時間!? ほんとだ、もう1時間経ってるし! はい、ということで4期生反省会も終盤ですね! では各々1人ずつなにか言いたいことありますか?」


「えーっと、そうやなぁ。まずは来てくれたみんな、ほんまにありがとう」


『こちらこそ』

『楽しかったよん』

 ◇クロクマ:『京ちゃんかわいかった〜』


「……っ! えーっと、その、あんまりこういうの慣れてないんで、控えめでお願いします。あと、今後も歌と雑談とやってくつもりなので、楽しみに待ってもらえると嬉しい、かな」


「かっわいいなぁ、ほんとに」


「そうですわね」


「やめてやめて!? もう、次はベルの番やで!」


「ふふ、はーい」


 照れた京ちゃんと、からかう私達の構図。

 これ完璧に流れできましたね! この流れ維持していこう!


『最後までてぇてぇたっぷり』

『フィーナとベルが京を愛でるという完璧な流れ』

『初配信で、ここまでてぇてぇを発揮するライバーいたか?』

 ◇紅姫:『よきですわ、よきですわ……!』


 そして、京ちゃんの感想からバトンを渡されたベルさんが口を開いた。


「そうですね、ここまでお付き合いくださったリスナーの皆様に改めて感謝を。私は、勉強していく身ではあるので、今後ともお付き合いお願いしますね」


『任せてくれ』

『お勉強に付き合うとしますか』

『お、お付き合い……ドゥフ』

『おーい、古き良きオタク沸いてんぞ』


 簡潔ながらしっかりとした言葉に、さすが貴族様やでぇと、脳内の関西弁おじさんが頬杖つきながら関心しておる。

 なんて余裕もなく、バトンは私の元に回ってくるようだ。


「それじゃあ、最後は主催のフィーナ。お願いしますね」


「はいはーい。うーん、そうだなぁ……」


『ワクテカ』

『さて、大トリはどんな名言残してくれるのだろうか』

 ◇クロクマ:『あすちん、ファイト!』


 アストライアだから、あすちん……なるほど新しい。

 というか!


「ハードル上げられた!? うーん、まずはそうだね、ここまで見てくれて本当に、本当にありがとうございました! 作者の次回作にご期待ください!」


『最終回やめろwww』

『その終わり方は絶望しかないぞ』

『なんなのだこれは、どうすればいいのだ!』

『大惨事ベビーブームはやめてもろて』

『もっとなんかないのかww』


 え、不満です?


「えーまだいる? むーん、それじゃあ、なんだろうな。……私は私らしく雑談やらゲーム配信やらやっていきたいかなって。ゆくゆくはみんなから美少女と崇められるようになっていきたいですね!」


「それは無理ちゃう?」


『せやよなぁ』

『言動が言動すぎるんよなぁ』


「なんで!? かわいいでしょうが!?」


「フィーナは、喋らなければ可愛いんですけどね……」


「それ立ち絵じゃん!?」


『立ち絵www』

『仕方ねぇ、そういう運命だと思って諦めるんだ……』

『初配信後でここまで扱い方が分かる人もなかなかいない』

『美少女と呼ばれる日は来るのか……?』


「来るよ!? ねぇ!?」


「「うーん、それはないわなぁ(ですわね)」」


「ハモられた!? ちくしょう!! 絶対認めさせるんだからな!? それじゃあ配信終わり!! またね!!」


 こうして、初配信と初コラボ配信は終了した。


 この日、私は決意を固めた。


 ──美少女Vtuberに、私はなる!!



 * * *



 フィーナ・アストライア

 @Fina_astlaia_


 反省会終了!!

 いやー完璧な司会っぷりでしたねー私!!

 おつべる、おつきょう、おつふぃなでしたわ!!


 #しなぷす4期生反省会


 ─────


 ベル・イエリス

 @bell_ieris


 @Fina_astlaia_


 おつふぃなですわ。

 これから4期生、力を合わせて頑張っていきましょうね!


 ─────


 伊勢京

 @ISE_KYO


 @Fina_astlaia_

 @bell_ieris


 ボケ破壊しおった…ベルこわ。

 おつふぃなやで。


 ─────


 フィーナ・アストライア

 @Fina_astlaia_


 @bell_ieris

 @ISE_KYO


 ボケ? してないよ?


 ─────


 伊勢京

 @ISE_KYO


 @Fina_astlaia_

 @bell_ieris


 素で言ってるのが1番怖いわ。

初配信リレー長らくお付き合いありがとうございました。

次は配信後の妹ちゃんです。

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