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僕の中に住む人  作者: はるはる02
3/5

持たざる者と捨てた者



「そうよ、あたしいろいろ調べたんだから。昔から稀だけどいるんだって。1ヶ月前に分離したって話題になったじゃない」


「知らなかった」


「お、ようやく反応したな」


サキコが笑う。


ハヤタはユーリルの事を全て自分から遠ざけていたため、何も知らなかった。


「何処にいるのその人?」


「地方に引っ込んだって言うから、どっかの田舎にでもいるんじゃない?なんだったら調べて来てあげるわ」


この日初めてハヤタはサキコに感謝した。




(どんな人なんだろう?なんで分離したんだろう?ユーリルは生涯のパートナーだっていうのに)


ハヤタはサキコが調べて来た住所を頼りに、都市からずっと離れた田舎の集落にやって来た。


とても小さな村で、見かけるのは老人が多かった。


ハヤタは2日前にフードをかぶって夜の闇にまぎれて家を出た。近ごろ感じたことのない高揚感がハヤタを包んでいた。それに後押しされて、ここまでやって来たのだ。


白髪頭の老人に道を尋ねる。


言われた通りに行くと、村のはずれに小さな小屋があった。畑に隣接している。その畑には青々とした野菜が育っていた。



『その人』はすぐわかった。


サキコがニュース記事をプリントアウトして渡してくれたからだ。


「ショーターさん?」


畑仕事をしていた若い男性が振り向く。


思っていたよりずっと健康そうな顔立ちであった。日焼けしているせいでそう見えるのかもしれない。長く伸ばした髪が世捨て人を感じさせる。


ハヤタが事情を話すと、彼はにこやかに迎えてくれた。




つづく




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